定年後 年金前 の空白期間(その2)
毎週土曜日、日経ラジオで放送している『集まれ!ほっとエイジ』。
早いもので今日(12月3日)で第10回目を迎えました。
この番組を始めた10月1日頃は年金問題などについて一般の方々の関心はさほどは高くなかったのですが、その後
「政府は年金の支給開始を68歳もしくは70歳に変更することを検討している」
などと報じられるに及んで、俄然世間の注目を浴びるようになりました。
こういった社会情勢の変化もあって、ラジオNIKKEIでも日経新聞11月24日号に下記のような広告を掲載(第17面)、番組の後押しをしてくれています。
さて今日のテーマは、「定年後 年金前 の空白期間(その2)」。
現在「年金の支給開始時期」はかつての60歳から65歳に移行されていく上での「過渡期」にあります。
しかしそれだけでは足りず、以下のような抜本策の何れかがこれから先、講じられなければなりません。
① 年金の保険料率を上げる ② 年金の支給額を下げる ③ 年金の支給年齢を更に引き上げる ④ 税と年金との一体改革
そもそも2004年に年金の大改革を行った際、政府は「これで100年は安心だ」と言っていました(「100年安心プラン」)。
それがなぜ7年で再度抜本策を講じることが必要になったのでしょうか。
甘めの前提で制度設計をしたからです。
たとえば① 集めた保険料は年4.1%で運用する(→それで安全に運用できるのであれば、銀行や機関投資家は1~2%の利回りの日本国債をこんなにたくさん買い込んだりしません)。
② 国民の賃金は年2.5%で上昇していき、それに従って徴収する保険料も増加する(→現実には賃金が下がっているケースも出てきています)。
この間の事情について、お役所の方が書いた文章などを見てみますと、「①政治家の圧力に屈してしまった」、「②長期にわたった制度を設計する場合、日本国が成長していくという前提で制度設計をせざるをえない、国家が衰退するとの前提では制度は設計できない」などとしています。
気持ちは分かりますが、やはり現実を直視したうえで制度設計しないと国民が不幸になります。
さらに、いまの年金制度にはもう一つ大きな問題があります。
かつて年金は我々が積み立てたものを老後に使うといった積み立て方式が取られていました。
それが過去のある時点から「若い世代が払う保険料を高齢者が年金として使う」といった「賦課方式」に変わりました。
これは自転車操業方式にほかなりません。
そしてその結果、1940年生まれと2010年生まれの間の世代間格差は5000万円以上になるという試算結果(学習院大学鈴木教授)も出てきました。
残念ながら我々は高度経済成長時代に生きているのではありません。
賦課方式は成熟経済、少子化の世の中では若い世代に酷に働きます。
現実的な立場に則した制度の抜本的な再設計を早く取りまとめる必要があります。
番組ではこの辺を出来るだけ分かりやすく説明しました。聞き逃された方は今からでもポッドキャストで聴くことができます(15分間です)。
『こちら(日経ラジオ)』のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)
iTunes でも聞けます(無料です)。『こちら』です。
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