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2012年2月12日 (日)

日本版401Kの仕組み・運用商品の選び方

昨日の日経ラジオ『集まれ!ほっとエイジ』では、『日本版401Kの仕組み・運用商品の選び方』について説明しました。

昨日は実は盛りだくさんの内容でしたので、いま聞き返してみますと、かなり早口で話していました。

そこで以下、その内容を簡単に振り返ってみます(時間の制約上、放送の上では一部カットされた内容も含みます)。

【Q1】多くの企業が日本版401Kを導入してきている背景

多くの企業で年金制度を維持していくのが大変になってきています。これまでの、「会社としては何%で運用して、年金を月にいくらお出ししますよ」という制度は、実は、多くの会社では、回らなくなってきています(約束した運用利回りでの運用が難しくなってきている)。

そこで企業としては、「確定給付型から確定拠出型」に変えてしまおう、という大きな流れがあるのです。

【Q2】年金の積み立て不足に苦しんでいる会社も多いとのことでしたが、なんで急にこの話が出てきたのでしょう?

会計制度変更の話が進んでいることも大きな理由の一つです。

年金の積み立て不足額は、現行の日本の会計基準上、一括ではなくて、「10~15年間」といった、長期にわたっての不足分の費用処理が可能でした。

このため不足額の多くは企業のバランス・シート(貸借対照表)に反映されず、「隠れ債務」となってきたのです。

投資家にとっては、こういった会計処理は企業の実態を見えにくくするものですから、現在、会計基準見直しの動きが進んでいます。

積み立て不足額を企業の貸借対照表の負債に反映させようというもので、これが導入されれば、 年金積み立て不足額の多い企業は多大な負債を表面化せざるをえなくなります

【Q3】日本版401Kの制度ですが、税法上、有利な点も多いようですね。手元にパンフレットがあるのですが、①積立金に対する課税が無い。所得税、住民税がかからないということです。年収1000万円の人の場合では、税金等が約9万円減ると書いてあります。

もともと401Kというのは、なぜ401Kと言われているかというと、米国の租税法(Internal Revenue Code)の条文名なのです。

法令401条のK項ということです。

ということで、この制度は、米国でも、最初から、「税法上、有利だ」ということでスタートしています。

ただよく考えてみると従業員にとっては「さほどのお得感」はありません。

従来型の確定給付ベースの年金においては、そもそも、企業が従業員のために年金原資を積み立てていく過程では、従業員としては税金を払いません。

これを今度は「従業員自らが積み立てていけ」というのが、401Kの制度なのですから、 その場合でも税金がかからないようにするというのは、 ある意味、「当たり前といえば、当たり前」ともいえると思います。

ただ、ここでちょっと整理して考える必要があります。

(1)まず「確定給付型から確定拠出型」へ完全に移行してしまう企業の場合ですが、 企業にとっては、これまで従業員のために年金資金を積み立ててきたのですが、制度移行後は、これを行う必要がなくなります。

代りに、従業員が自ら年金資金を積み立てていくことになります。

仮に企業がこれまで従業員のために毎月5万円を積み立ててきたとすると、企業はこの5万円を積み立てる必要がなくなります。

したがってその5万円は企業が従業員に給料としてあげる、「この5万円を君に上げるから君が運用しなさい」ということになるわけです。

つまり、簡単に言ってしまうと、従業員の給料が5万円増えます。

従業員はこの新しくもらった5万円を自分で年金積立の専門口座にいれて、自分の責任で運用するわけです。

この一連の取引の中でのポイントは、従業員がいま余分にもらう5万円を 「現在の所得が増えた」とみなされないことがポイントです。

よって積み立て分は、給与から「引去る」という「独特な言葉」で表現される方法を取るのです。

すなわち「確定給付型から確定拠出型」へ完全に移行してしまう企業の従業員にとっては、実は税法上、得も損もありません。

いままで、そもそも「この5万円の部分」につういては、税金を払っていなかったのですから。

(2)次に、「確定給付型から確定拠出型」へ完全に移行してしまうのではなく「両制度が並列して走る」企業の場合ですが、この人たちにとっては、節税効果があります。

新しく401Kにも参加することによって、 40代とか、50代とか、所得の高い時期に給与から「引去り」をされるお金(毎月 25,500円が上限ですが)が減って、 この部分は、所得が低くなった60歳とか65歳以降にもらうようになります。

つまり引去りに相当するお金に対する課税上の所得認識が、「所得が高い時期から低い時期に移行」するわけですから、節税効果が出てくるのです。

* * * * *

このほか番組では401K制度で運用する場合の運用収益に対する課税・非課税について、さらには受給時の税金の扱いについて触れました。

そして実際の運用商品についても、どのようなものがあるのかを説明しています。

詳しくは是非番組をお聞きになってみてください。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

Hi

なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です

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