企業年金の予定利率低下が与える影響
【B社のケース】
B社の場合、従業員のモデルケース(標準的従業員のケース)で退職金は 2,500万円。
このうち 1,500万円は退職時に一時金で支払われ、残りの 1,000万円は年金形式となって、総額で 1,000万円(年金現価)になる金額が、 60歳から85歳まで25年間にわたって支払われます。
B社が約束する運用利回り(予定利率)はこれまで 5.0%でしたが、これが今般 2.0%に引き下げられました。
これがどういったことを意味するのか、実際に計算してみましょう。
【1】従来ケース(5.0%)
1,000万円÷14.0939=70.95万円(毎年の支給額;月額にすると5万9127円)
【2】改定後ケース(2.0%)
1,000万円÷19.5235=51.22万円(毎年の支給額;月額にすると4万2684円)
5.0%のケースに比して毎年の年金支給額は27.8%の減額になりました。
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なおここで赤字の数字は25年間にわたって毎年支払われる金額を算出するための年金現価率(年金現価係数;もしくは年金原価ともいう;Present Value of Annuity)です(各々5.0%の場合と2.0%の場合)。
年金原資(上記の場合、1,000万円)をこの年金現価率(赤字)で割ることで、毎年の年金額を算出します。
下表は年金現価率の表です(金利と期間(年数)によって年金現価率は異なります。なお下表の上でクリックすると表は大きくなります)。
【C社のケース】
C社の場合、従業員のモデルケース(標準的従業員のケース)で退職金は 2,500万円(ここまではB社と同じです)。
このうち一部を年金でもらうこともできます。
年金は月額5万円(年間60万円;支払は年1回)が、60歳から85歳まで25年間にわたって支払われます。
C社の場合、この年金の現価(現在価値)を退職金総額 2,500万円から差し引いたものが、退職時に支払われる退職一時金です。
C社が約束する運用利回り(予定利率)はこれまで 5.0%でしたが、これが今般 2.0%に引き下げられました。
これがどういったことを意味するのか、実際に計算してみましょう。
赤字の数字はそれぞれB社の場合と同じになります。
【1】従来ケース(5.0%)
60万円×14.0939=845.63万円(年金部分の現在価値)
よって一時金は2,500万円-845.63万円=1,654.37万円
【2】改定後ケース(2.0%)
60万円×19.5235=1,171.41万円
よって一時金は2,500万円-1,171.41万円=1,328.59万円
5.0%のケースに比して一時金支給額は19.7%の減額になりました。
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企業は各々退職金規程・企業年金規程を定めていますが、現実にはC社のような規程が多いように思います。
いずれにせよ企業が約束する運用利回り(予定利率)を低下させることは、このように従業員の定年後の生活設計に大きな影響を及ぼします。
もっとも企業のほうもなにも好き好んでこんなことをしているわけではありません。
低金利が続き株価水準もなかなか上がっていかない現況下では、従業員の退職金・年金用資産をたとえば 5.0%といった高利回りで将来にわたって運用し続けることは難しい状況になってきているのです。
企業の財務体力を維持するためにも、多くの企業は従業員に対して「運用利回り(予定利率)の低下を飲んでくれ」と提案する(注:通常は組合協議マター)ようになってきています。
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さてここで上記の赤字の数字14.0939についてもう少し詳しく見ていきましょう。
C社を例にとると、これから先、毎期にわたって支払われる金額は60万円。
1期目の60万円を5.0%で現在価値に戻すと、
60万円÷1.05^1=57.14万円
2期目の60万円は
60万円÷1.05^2=54.42万円
です。
ここで ^ は乗数のことです。
ちなみに 1.05の2乗は1.05×1.05= 1.1025 となります。
60万円のこれから先 25期分の総和を現在価値で求めると、
57.14万円+54.42万円+・・=845.63万円
と計算されます。
このように毎期の現在価値を一つ一つ計算していって最後に足し合わせてもよいのですが、もっと簡単に、
25期分の総和=60万円×(1-1÷((1+0.05)^25))÷0.05=845.63万円
と計算することもできます。
計算式を一般化すると:
N期分の現在価値総和=A×(1-1÷((1+R)^N))÷R
となります(ここでAは毎期にわたって支払われる金額、Rが運用利回り(割引率)です)。
そしてもうお分かりですね。上記の赤字部分(1-1÷((1+0.05)^25))÷0.05が上の表の14.0939になります。
なお最近ではエクセルのスプレッドシートを使えば上のような計算式は必要なくなりました。
もっとずっと簡単に計算できるようになったのです。
またエクセルのスプレッドシートや計算式をつかわなくても、上のような一覧表をつかうと簡単に結果を算出できるばかりか、全体の関係を鳥瞰図的に捉えることができます。
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