巧妙な会計処理(Accounting Ingenuity)
世界の金融関係者にとってもっとも有名なスピーチと言えば、Accounting Ingenuity(巧妙な会計処理)と題された David Einhorn のスピーチでしょう。
2008年5月21日。
このスピーチを聞いて、David Einhorn の通りに相場をはっていれば、あなたは巨万の富を手に出来たか、あるいはその半年後に起きるリーマンショックの難を事前に回避できたでしょう。
実は David Einhorn については私のこのブログでも何度か書いてきました。
2008年5月21日のこのスピーチを受けて、生き残りをかけたリーマンブラザーズと David Einhorn との壮絶な戦いが繰り広げられるのですが、そのことを書いたのが 2008年6月6日付のブログ(『こちら』)。
この時点で私は「今のところ、リーマンが勝利しそう」とブログでコメントしたのですが、当時市場で一般的に信じられていたこの読みを覆して、見事にDavid Einhorn が世紀の戦いに勝利したのは金融史に残るひとこまです。
今回のユーロ危機に関しても David Einhorn がある夕食会に招待されて話題を呼んだことをかつて私のブログで紹介しました。今から2年以上前、2010年3月1日付のブログ記事です(『こちら』)。
さてリーマンを破綻に追い込んだ David Einhorn のAccounting Ingenuity(巧妙な会計処理)というスピーチは2008年5月21日の Ira W. Sohn Investment Research Conference で行われたスピーチです。
Ira W. Sohn はウォール街のトレーダーでした。
若くしてがんで亡くなったこのトレーダーの死を受け、同僚たちが1996年に始めたチャリティ会議がこの Ira W. Sohn Investment Research Conference です。
誰でもこの会議の入場券を買って聴衆となって世界のトップトレーダーたちのプレゼンテーションを聴くことができます。
入場券は最低でも1500ドル(12万円)。
ここで得た収益金はすべて小児がんを患う子供たちを助けるTomorrows Children's Fund (『こちら』)に寄付されます。
第17回目の年次会議にあたる2012年の会議は実はいまから数時間前に終わったばかり。
ニューヨークの現地時間5月16日リンカーン・センターのAvery Fisher Hallで開かれました。
今年はダメでも来年こそ行ってみたいと思われる方は『こちら』のサイトから登録してみてください。
さてすでに1000億円近くの個人資産を稼ぎ出したDavid Einhorn(フォーブスのリストは『こちら』)。
彼がどんなスピーチをするのか、そのプレゼン資料はどんなものなのか、見てみたいという人も多いでしょう。
なかんずくリーマンを破綻に追い込んだ伝説のスピーチ。
Accounting Ingenuity(巧妙な会計処理)と題されたあのスピーチとプレゼン資料はどんなものであったのか・・。
幸いなことに今では日本にいながらこのスピーチの全文を見ることができます(プレゼンで使われたスライドも見れます)。
『こちら』です。
もうひとつ。
数時間前に終わったばかりのこの会議でDavid Einhornが何を語ったのか、気になる方も多いと思います。
137本のスライドを使ったDavid Einhornの今年のプレゼンは15分間で終わりました。
アップルについてはDavid Einhornは相変わらず強気で、時価総額1兆ドルになる(株価は今の約2倍の1000ドル近く)との見通し(詳しくは『こちら』)。
一方、アマゾンについては否定的で、この株は謎(riddle)だとコメントし、創業者兼CEOのジェフ・ベゾスはバットマンなのかと聴衆に問いかけるひとこまもあったとか(『こちら』)。
すでに今年の Ira W. Sohn Investment Research Conference の模様(とくにDavid Einhorn のスピーチ)については全米のメディアが一斉に配信しています。
とりあえずはロイターのこの記事(『こちら』)とフォーブスのこの記事(『こちら』)をお読みになってみると参考になるかと思います。
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