「人を突き動かし、考えさせるもの」
村上龍の最新エッセイ集、『櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。』。

メンズジョーカーで連載していたエッセイを中心に18点の作品を収めています。
村上龍のエッセイ集としては以前に『逃げる中高年、欲望のない若者たち』を読んだことがありますので、私にとってはこれが2冊目。
そう言えば『逃げる中高年、・・』に関しては、村上龍作品を愛する読者から次のような書評がアマゾン書評欄に載ったのが印象的でした。
「かつての村上龍は輝いていた。 僕は日本で唯一の天才だとさえ思っていた。 それが今や、テレビで経済番組の司会なんかやってやがる。 誰がそんな村上龍を見たいのか、未だに理解ができない・・」
たった1冊のエッセイ集であっても読み手によっていろいろな捉え方があるという例なのでしょうが、私としてはエッセイはあくまでもエッセイ。
気楽に読めばよいと思って本書も読みました。
最初の収録作品は「婚活ブームとこの国の未来」。
以下、その一部を抜粋します。
「・・ある調査によると、50歳未満の男性では年収400万以下が8割強だという。一般的な女性が求める年収500~700万の男は、全体の5パーセント以下らしい。」
「・・今の世の中で、結婚して子どもを作ろうというモチベーションを持ち実行できるのは、年収で言うと約500万円以上、全体の5パーセントほどの非常に恵まれた人たちだけということになる。」
こういう実態がなぜメディアから伝わってこないのかと、村上龍の矛先は大手既成メディアにも向けられていきます(注:この先については本書をご覧になってみてください)。
そして結論。
「人を突き動かし、考えさせるのはシンパシーではない。怒りだ。」
村上龍のファンならずとも一読の価値ある文章が続きます。
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