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2012年5月 3日 (木)

投資信託を選ぶうえでの基準

投資信託を選ぶうえでの基準は何ですか、という質問をよく受けます。

しかし私はこの質問には「ちょっと待ってください」とまず答えるようにしています。

そもそも投資信託を購入すべきかどうか、自分で株式や債券を購入したり、外貨預金を設定したりした方がよいのではないか、あるいは何もしないで円預金で持っているのが、結局は一番賢い運用法なのではないか、そういった点をよく考えてみる必要があるからです。

残念ながら日本の中央銀行総裁は、市場との対話に熱心なバーナンキではありません。

バレンタインデーの日、マーケットはやっと日銀も動いてくれるかと期待して、株価(日経平均)はその後1,000円近く上がり、為替も円安に振れたのですが、結局は期待外れに終わりました。(株価も為替も元の水準に戻ってしまいました)。

ということで、こういう時には実は何もしない(=円預金で持っている)のがもっとも賢い投資方法かもしれないのです。

しかしどうしても投資信託を購入したいという方は次の点に留意してみてください。

(1)トラックレコード

投信の運用者の実績、とくにあなたが買おうとしている投信の過去の運用実績。

過去1年間、3年間、5年間の実績はどうであったか。

きちんとリターンをあげてきているか(基準価額はあがってきているか)。

なおここで注意が一つ。

分配型の投信の場合、過去からの騰落率の数字は税引き前、分配金再投資考慮後の数字であったりします(小さな字でそう書いてあることがあります)。

しかしあなたは税金も払いますし、分配金を再投資に回すことも通常はできません(分配金で同じ投信を買えばまた販売手数料を取られます)。

パンフレットの数字を鵜呑みにせずに自分なりに買おうとしている投信の実績(トラックレコード)を把握してください。

(2)セールスの人が勧める投信にはご注意

セールの人は通常販売手数料の高い投信を勧めます。

彼ら(彼女たち)は間違っても「ETFがいいですよ」とか「ノーロード型(販売手数料ゼロ)の投信がいいですよ」なんて言いません。

たとえば銀行の各支店は支店長が隣の支店や同クラスの支店と競争させられます。

これはどれだけ収益を上げるかの競争で、この結果、窓口の人やセールスの人にも出来るだけ手数料収入を上げるようにといった指導が行きわたります。

このため、いきおいセールの人は販売手数料の高い投信をあなたに勧めることが多くなります(そういった傾向になります)。

先日八重洲ブックセンターでの講演で、退職金のうち1,000万円を投信の購入に回すと、買ったとたんに(その投信が販売手数料3%のものであれば)、970万円になるとお話ししましたら、

「びっくりしました」「衝撃的でした」といったメールをその後頂戴しました。

実は販売手数料のほかにも目に見えない形で信託報酬が取られています。

目に見えないとはどういうことかと言うと、信託報酬は毎日毎日、基準価額から引かれているのです。つまり基準価額を計算する上では日割ベースの信託報酬額を引いてから基準価額を算出しているのです。

FP(フィナンシャル・プラナー)の人は通常こういったことを教えてくれません。

FPは(証券会社や銀行が広告を載せる)マネー雑誌に寄稿したり、証券会社のセミナーで講演したりしているケースが少なくありません。(もちろんそんなことには関係なく100%投資家の立場に立ってアドバイスしてくれるものと期待するのですが、さて・・)。

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