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2012年6月29日 (金)

終わっていない

少しずつ記憶から離れて遠い存在になる、これには時間と地理の2つの要因が作用します。

時間が過ぎて記憶が薄れる、あるいは地理的に離れているがために遠い存在になってしまう・・・。

われわれが今こうしている間にも福島では仮設住宅で暮らしている人たちがおり(『こちら』)、福島第一の原発では高濃度放射線と日夜格闘している作業員の方たちがいます。

東京電力が2012年6月27日に発表したところによると、1号機から、原発建屋内(格納容器内を除く)では過去最大の線量になる10シーベルト強の放射線が検出されたとのこと(『こちら』)。

東電によればこれは予想外の困難ではないとのことですが、実は1号機よりも4号機の方が危ないという専門家もいます。

京大原子炉実験所の小出助教によれば、

「4号機は、プールの水面が地上5階、約30メートルと高いところにあり、地震や台風によって崩壊しないとも限らない・・

もし、プールにひび割れが生じ、水が漏れて燃料がむき出しになれば、これまでにメルトダウンで放出された放射性セシウムの10倍もが大気中に拡散する可能性があり、風向きによっては東京も住めなくなる」(『こちら』)。

こういった問題は実は日本よりも海外の方で話題になっています。

下記の記事を引用しながら「日本に住んでいて平気なのか」と心配してメールをくれる米国人もいるのです。

It may be too late unless the military steps in. (記事は『こちら』

(注)上記のサイトから日本語版にも入れますが、『こちら』の記事(レター)の方が簡潔かもしれません。

一部メディアのようにこうした状況をことさら煽り立てるのもどうかと思います。

しかし福島第一の事故処理は終わっておらず、引き続き危険な状況にある、そして苛酷な環境下で自らの危険もかえりみず、今なお高濃度放射線と格闘している人たちがいる―このことを忘れるわけにはいけません。

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2012年6月28日 (木)

理事

興銀の先輩というと産業界で活躍している人たちが多いのですが、大学の理事 になっている人もいます。

たとえば立教学院理事長の糸魚川順さん(『こちら』)、青山学院常務理事の浅野博嗣さん(『こちら』)などです。

* * * * *

3年前のことですが、スタンフォード大学のCommittee on Trustee Nominations(理事指名委員会)の2人の議長からメールをもらいました。

「現在30数名いる大学の理事のうち、1年後の2010年9月1日に4人が改選となります。新しく選ばれる4人の理事の任期は2010年から5年間。理事選考のプロセスは3段階からなります。第一次選考は書類審査で締め切りは2009年9月25日。選考結果は2009年10月末までに通知します」

大学の理事のリスト(注:現時点でのリストは『こちら』)を見るとヤフー創業者のジェリー・ヤン初め錚々たるメンバーの名前が並びます。

日本人はひとりもいません。

理事指名委員会からこういったメールを受け取るのは初めてのことであり、それ自体、大変な名誉だと思いました。

一方で、正直なところ何らかの間違いで私のところにメールが迷い込んだのではないかといった気持ちもありました。

議長からのメールにはアプリケーション(申請書)へのリンクも貼られていました。

覘いてみるとその昔、スタンフォード大学のビジネスクールに提出した入学願書のような書式になっていて、今までのキャリアだとか、理事になることに興味を持つ理由を述べよといった種類のエッセイ形式で答える質問が並びます。

これを2か月で用意して期限までに提出するのは一仕事だと思いましたが、チャレンジだけはしてみようと思って一次審査のための書類を申請書とともに提出しました。

* * * * *

すると約1ヶ月後に指名委員会の議長からメールがきました。

「指名委員会は一次選考のために提出されたあなたの申請書と書類をレビューしました。この結果、あなたを2次選考プロセスに招待することにしました。2次選考書類の提出期限は12月1日。結果は翌年の1月31日までに通知します。3次選考はインタビューです。その結果、改選されることになる4人の理事候補が指名委員会によって選ばれます。」

* * * * *

ということで、送られてきた2次選考のエッセイの質問3つと記入すべきレファランスのリストを見てみたのですが、日本人にはここから先は難しいと思いました。

たとえば、地域社会(コミュニティー)でのボランティア活動などを幅広く行ってきたことを当然の前提としてエッセイの質問やレファレンスのリスト提出が要求されています。

「そういえば高校時代にAFS留学した時のアルフォルド家のお父さんやお母さんは2人とも積極的にこの種の活動をしていたなあ」

そんなことを思い出しました。

日本とアメリカとでは少し違う―そんなことをエッセイに書いても言い訳がましいだけです。

「これはこの種のエッセイにもう少しすらすらと書けるだけの経験を積んでから再度チャレンジしよう」

そう思って私は2次選考のための書類提出を見送りました。

いずれにせよこの種の選考プロセスがどのように進むのかがわかって面白かったです。

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2012年6月26日 (火)

もっとも稼いだ女優

フォーブス誌が過去1年間、もっとも稼いだ女優のリストを発表しました。

1位が、Kristen Stewart で $ 34.5 million (年収28億円)(→『こちら』)。

下の写真は映画Snow White で共演した Kristen Stewart (左)と Charlize Theron(右)。

ちなみにシャーリーズ・セロンの方は 5位でした(→『こちら』)。

なお写真はシャーリーズのFBのサイトから取ったものですが、結構身長差がありますね(163 vs. 177)。

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2012年6月25日 (月)

ハワイのホテル

2~3か月前ですが興銀時代の先輩と表参道で食事をしました。

その先輩の話によると、

「1年ほど前、311の地震の時、ちょうどハワイのホテルにチェックインしたところだったんですよ」

ご夫妻でハワイに出かけたところだったと言います。

「夜11時を過ぎた時、ホテルの部屋にフロントから電話が入り、日本で地震が起きて、津波が来ると知らされたんです。貴重品を持って、すぐにフロントに集合するようにと伝えられました」

それからホテルがバスを出し、宿泊客全員がバスで島の高台にある学校の体育館に連れて行かれたとか・・・・

ホテルのスタッフが寝袋を持ってきてくれて、全員体育館で夜を明かした・・・・スタッフは調理器具も持ってきて宿泊客に簡単な料理を作ってくれたとか・・・・

はるか太平洋の彼方でも緊迫した状況があったことが伝わってきました。

いつ、どこで、どんな状況に遭遇するか、分かりません。

言うまでもなく日ごろの訓練が重要です。

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2012年6月21日 (木)

シェールガス革命

昨晩(日本時間)のFOMCの結果発表は、マーケットが95%以上こうなるだろうと予想していた通りの内容のものでした。

つまり(1)今月で終わる予定だったオペレーション・ツイストは年末まで延長、(2)バーナンキによる「必要とあれば今後更なる措置(注:QE3)を講ずる用意がある」との声明発表の2つです。

市場は5%くらいの確率で「FEDはもしかしたら先手を打ってQE3に打って出るかもしれない」と予想する向きも(ほんの少しだけ)ありましたから、その分、ダウは下げました(しかしナスダックは僅かですが上昇で終えています)。

* * * * *

ところで昨晩の勉啓塾は天然ガスの専門家(東京ガス、総合エネルギー事業部西形企画部長)による「最近の天然ガス・LNGおよびシェールガスの動向」について。

米国やカナダでは非在来型天然ガスの代表選手ともいうべきシェールガスの開発がどんどん進められており、その一部には三菱商事、三井物産、住友商事、東京ガスなどの日本の会社も参加しています。

今年の4月3日に日経新聞が報じた通り、シェールガス開発の影響を受け、ニューヨーク市場の天然ガス価格は約10年ぶりに百万BTUあたり2ドルの大台を割りました。

日本の天然ガス(LNG)輸入価格は原油価格などを参考に決められており、結果、日米で天然ガス価格の価格差が9倍もついてしまったとのこと。

米国ではシェールガスやタイトガス、CBM(炭層ガス)などの非在来型ガスの生産量がすでに全ガス生産量の50%を超え、2035年には75%に拡大する見込み。

人類が非在来型ガスを開発出来るようになったことで世界のエネルギー事情は大きく変動してきています。

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なお上図(クリックすると大きくなります)は、『こちら』から取りました。

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2012年6月18日 (月)

Queen to Play

ギリシャ、エーゲ海ナクソス島。

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風光明媚なこの地は、住む人にとっては古い因習に縛られた村社会のよう。

そんな世界でホテルの客室係として働く平凡な妻がチェスの魅力に魅せられていく・・。

ベルティーナ・ヘンリヒスの小説『La Joueuse d'échecs』(邦訳:「チェスをする女」→『こちら』) は、2009年に Sandrine Bonnaire と Kevin Kline (1988年にアカデミー助演男優賞受賞)の主演によって映画化されています。

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『Queen to Play』という映画ですが、『こちら』でその概要を知ることができます。(映画の予告編は『こちら』のYouTubeで)。

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小説も映画もひじょうに上質な作品に仕上がっておりお勧めです。

ただ映画は日本では上映されずDVDも日本仕様のものは出ていないようです。

また映画の方は設定をギリシャの島からコルシカ島に移してしまっています。

小説ではギリシャの田舎の様子が良く出ているのに残念です。

ギリシャと言えば17日(日曜日)の再選挙の結果が気になりますが・・。

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2012年6月16日 (土)

スペイン国債

スペインのマラガから始まって、トレモリーノス、フエンヒロラ、マルベーリャへと続くコスタ・デル・ソル一帯は一年中、穏やかな気候で風光明媚なところ。

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私が高校時代にAFS留学で1年間お世話になったアルフォルドさんご夫妻はコスタ・デル・ソルの中でも特にマルベーリャが気に入って、晩年は一年の半分をここで過ごすという生活を続けていました。

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(写真は2枚ともマルベーリャのThe Villa Padierna Palace Hotel)

実際この地があまりに気に入ったので「家を買ってしまった」という米国人やドイツ人、イギリス人などが多くいると聞きます。

こういったことが原因の一つになったのかどうかは知りませんが、スペインの不動産はリーマンショック前まではかなりのピッチで価格を上げてきていました。

そしてそこへリーマンショックが襲い、不動産に融資していた銀行が傷つきました。

つまりスペインの問題はギリシャと違って不動産バブルの崩壊が主因だと言われてきています。

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いずれにせよスペイン国債の10年もの利回りは7%のレベルにまで上昇(下図はクリックすると大きくなります)。

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なお日経新聞などでは利回りが7%になると危険水域と書かれていますが、これは米、独、日といった国の国債利回りに比較して5%以上も差があると危険水域(あるいは国債価格が急落して利回りが7%になると危険水域)、という意味です。

単純に7%を超えるだけでは、6月3日のブログ記事でご紹介したように、安全とされる米国債でも何度も経験してきています。

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ところで日本国債の10年ものの利回りを1998年以降プロットしたものが下図(クリックすると大きくなります)。

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なお上のスペイン国債の利回り推移や日本国債の利回り推移は『こちら』のサイトから取ったもの。このサイトは期間を自由に設定してグラフを描いてくれる便利なサイトです。

日本国債についても1987年以降をグラフ化すると下図のようになります。

日本がバブルのピークの頃は金利が高く利回りは7%どころか8%を超えていました。

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最後に一言。

先進国債券に投資するという投資信託を持っている方は、あなたの投信がスペイン国債を持っているかどうかチェックしてみることをお勧めします。

スペイン国債の利回りの上昇=国債の価格の下落

⇒ 投信の基準価額下落

です(詳しくは『こちら』を参照)。

これを機会にあなたが持っている投信はどの国の国債を持っているのか、きちんと調べておくことをお勧めします。

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2012年6月12日 (火)

日経ヴェリタストーク(12年6月)

昨日は日経ヴェリタストークに出演しました。

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トッピクスは「金利消滅という戦慄―中央銀行の国債丸抱えが生む歪み」。

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以下、番組内容のエッセンスです。

Q:主要国の国債利回りは下がり続け、史上最低の水準まで下がっている。先進国での史上最低金利は何を意味するか。

A:これについては2つのまったく違った見方がある。1番目の考え方は、史上最低と一口に言っても英国については産業革命よりも前、つまり1703年まで遡っても現在の国債利回りは最低であるという点(『こちら』の第1面参照)に着目する。

米国についても南北戦争から6年後の1871年まで遡っても10年物国債の利回りは先週付けた1.4%台が最低である(『こちら』)。

こういった状況はもはや資本主義が「根本的な修正・見直しを余儀なくされていることを示す」という考え方が、第1番目の考え方だ。

2番目の考え方は、もともとバーナンキは2014年末までゼロ金利政策を取ると言ってきたのであり、こういった史上最低の金利は、いわば病気を治す過程で起きている現象、コントロール可能という考え方だ。

Q:先進国の金融緩和をどう評価するか。

A:米国は相応の効果を上げたが欧州は必ずしも上手くいっていない。

米国はQE1、QE2の効果もあって、失業率は一時の10.0%から8.2%まで低下。株価もボトム(2009年3月)のダウ平均6,400ドル台から12,500ドル台へと2倍近く上げた。

一方、欧州は昨年4月比で失業率は1.0%悪化(現状11.0%)。株価も昨年4月以降2割ほど下げている。

Q:QE3はあるか。

A:7日のバーナンキの議会での発言を吟味すると、このままの状況では19日-20日のFOMCでのQE3はないだろう。

ただ彼は必要ならばQE3をやると言っており、それが安心感となって市場を下支えしている。

Q:銀行はこれからも国債を買い続けるか。

A:企業の資金需要が後退。銀行にとって適当な貸出先が少なくなってきている(よって資金の行きつく先が国債に向かってしまう)。

これは日本だけでなく米国にも共通してみられるようになってきた。

例えばアップルは利益を上げ現預金を積み上げてきた。投資もしているが、それ以上に急ピッチで現預金が積み上がり、いよいよ配当および自己株購入の形で資金を株主に戻すことにした。

市場や銀行から資金を調達するといった局面には、これから先も向かいにくい。

Q:欧米では金利の低位安定が続くとの見方が多い。一方、日本では財政の悪化から金利がゆるやかに上昇するとの見方もあるが・・

A:日本だけゆるやかな形で金利を上げると円高圧力に結びつく。

日本も他の先進国の出方を見ながら中央銀行によってある程度管理された金利水準をキープするだろう。

日本国債や円への信認が無くなれば一気に国債が下落することも理論的にはあり得るが、日本の対外純資産は253兆円で21年連続世界1位。2位の中国の2倍近い対外純資産額を誇っている。

貿易収支の赤字化が話題となるが、2011年は原発事故の影響で原油、LNGなどの燃料費が嵩み、年間の輸入金額は国全体で68兆円。

一方、輸出産業は円高で苦戦したといっても年間を通すと 66兆円もの輸出が行われた。

海外投資家の目からすれば日本はまだまだ国際的な競争力ある産業を抱えており、財政の問題はあるものの、消費税は未だ5%と低く、上げる余地がたくさんある。

総じて日本は先進国のなかでもまだ勝ち組との位置づけで、日本国債や円への信認が一気になくなるとは、いまのところは考えにくい。

* * * *

ところで、国債と金利の関係を歴史を遡ってみていくと面白い話にたくさん出会います。

そもそも国債は、王家の相対借入に代わるものとして17世紀後半に登場。主として、君主(王家)による戦争をファイナンスする目的で使われてきたようです。

またたとえばアメリカ南北戦争の時代、北部・南部の政府がそれぞ れの通貨で国債を発行しましたが、その国債の価格を金で表示して比較すると、 北部政府国債の金利のほうが低くかったことがわかります。

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つまり市場は戦争の帰趨をも見通していたことが分かるのです(詳しくは『こちら』の本をご覧ください)。

* * * *

なお日経ヴェリタストークの再放送は:6月12日(火) 18:30~、19:06~です。
  

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2012年6月10日 (日)

PE受難の時代

「お会いするのが10年ぶり」という方にこの頃よく会います。先週お会いしたのはリップルウッドで活躍されていた植田さん(元RHJインターナショナル・ジャパン代表取締役社長)。

かつて日本長期信用銀行が売りに出た際、私が勤めていたJPモルガンはリップルウッドに対抗する形で買収に名乗りを上げました。

投資銀行にとって、リップルウッドのようなプライベート・エクイティ(PE)ファンドは、ときには競争相手、そしてときには重要な顧客です。

ところでリップルウッドはその後RHJインターナショナルとしてユーロネクストのブリュッセルで上場(『こちら』)。

2010年には Kleinwort Benson を買収します。

RHJインターナショナル社の最近のアニュアルレポート(『こちら』)を見るとリップルウッドの創業者ティム・コリンズ(Timothy Collins)は当社の役員を務めており、Chairman of Investment and Strategy Committee の職にあるとか・・(当社のCEOはLeonhard Fischer)。

ティム・コリンズについては2009年7月から2012年4月までCitigroup, Inc. の役員を務めていたという記述もありました。

植田さんの方はというと、2008年、「いわかぜキャピタル」という会社を設立(『こちら』)。プライベート・エクイティ(PE)ファンドの運用を主な事業内容としていましたが、今は M&A アドバイザリーサービスや企業の中国展開をサポートするアドバイザリーサービスなども(PE事業とともに)提供しているとのこと(『こちら』)。

「いわかぜキャピタル」とはなにやら幸田真音や真山仁の小説に出てきそうな名前。

リーマンショック後、機関投資家はオルタナティブ投資(alternative investment )に消極的になり(1)、株式市場も低迷(2)しています。

つまりPEは、(1)資金レイズと(2)投資した企業のエクジット、別言すれば、前(1)と後ろ(2)の双方で難しい状況に見舞われています。

いわばPE受難の時代。

にもかかわらず、10年ぶりにお会いする植田さんは以前にもまして「頼りがいのあるボス」といった風貌でした。

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2012年6月 8日 (金)

PINK

日本にはショップが無いようなのですが、ロンドン・ヒースロー空港にはPINKのショップがあります。

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ここのシャツやネクタイは色が綺麗でカッティングも日本人体系に合うものが多いことから私は気に入っています。

先日もロンドンの空港で帰国便を待つ間に買いましたが、カジュアル・シャツが65ポンドくらい。

日本円で7,800円程度です。

ポンドが250円くらいだったころは結構高かった(もっとも下記のように1980年代には1ポンドが500円台とか400円台のころもありました)のですが、

最近のようにポンドが120円台にまでなるとぐんと買いやすくなります。

Photo
なおPINKのシャツですが、日本からPINKのサイト(『こちら』)に行って、ネット・ショッピングしている人もいるようです。

それにしてもPINKのショップは、英国のほか、米、仏、メキシコ、ドバイ、香港、中国、インド、オーストラリア、南アなど世界で80店舗以上あるらしいのですが、日本に店が無いというのはちょっと寂しいです。

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2012年6月 6日 (水)

株価=PER×EPS

6月4日(月)のTOPIXは1983年12月13日以来、28年半ぶりの安値をつけました。

1983年12月というと私は興銀のシカゴ駐在員を務め、30歳になった頃。

中西部8州を担当していたので2日に1回くらいの割合で飛行機に乗り、クリーブランドとかミネアポリス、セント・ルイスなどに本社を構える米企業を次から次へと訪問していました。

* * * *

さて株価がここまで下落すると、この先どうなるだろうか、塩漬け株や投信はどうしたらよいだろうか、と不安になる方も多いと思います。

前回のブログ記事、「1871年以来、最低の水準」にも、このようなお問い合わせをコメント欄に頂戴しました。

同じような悩みをお持ちの方は前回記事のコメント欄をご覧になってみてください。

なお前回のコメント欄には神保町さんからもコメントを頂きました。博覧強記の方で私の記事の至らぬところを時おりフォローしてくださっています。

* * * *

さて話を本筋に戻しますと、このように株価が乱高下したり、急降下したりするときは、原点に立ち返ることも必要かと思います。

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     (今年に入ってからの金価格推移)

金(ゴールド)はそれ自体はキャッシュフローを産みだしませんが、株式は企業を部分保有する権利です。

ある会社の発行済み株数の100分の1を持つことは、その会社の100分の1を所有することにほかなりません。

そして正常な企業はキャッシュフローを産みだします。

すなわち株式は企業があげるキャッシュフローが裏付けとなって価値が形成されています。

この点が金(ゴールド)との違いです。

* * * *

この辺をもう少し分解して見てみましょう。

下記の式です。

株価=PER×EPS

ここで

PER=株価収益率(Price Earning Ratio)=株価(Price)÷1株当たり利益(Earning)

EPS=1株当たり利益(Earning Per Share)=当期利益÷発行済み株数

です。

『こちら』で明らかなように、東証1部のPERは11.3です(通常は、これから予想される12カ月の利益を使ってPERを算出します)。

一方ダウ平均株価のPERも東証とほとんど同じで11.8(『こちら』)。

PERは債券など代替投資対象の利回りによっても左右されます(『こちら』)ので、一概に「この水準」とは言えませんが、通常は12~15のレベル。

PERが1.0であれば借金してでも全株購入して1年間保持すれば内部利益で元が取れる計算になります(税金を考慮せず)。

ということで、PERから見る限り、日米ともかなり株価が売り込まれている水準にあることだけは事実です。

別言すれば、企業や市場(株価アナリスト)が見通している収益予想(今後12カ月)をベースに考えると現在の株価は割安な水準であるということです。

ただしヨーロッパの問題がさらに悪化するとPERの計算のベースとなる「これから予想される12カ月の利益」自体がが低下していきます。

したがってたとえ同じ11のPERを維持しても(あるいはPERがたとえ12になったとしても)これから先の株価がさらに下落することはあり得ます。

はっきりどうなるかとは、なかなか言えないところが辛いところですが、

とりあえずの注目点は

6月17日(日)のギリシャ再選挙

6月19日(火)~20日(水)の米FOMC

です。

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2012年6月 3日 (日)

1871年以来、最低の水準

1か月前(5月1日)、ダウ平均株価は13,279ドルをつけていました。

リーマンショック前の2007年10月11日につけた史上最高値の 14,279ドルにあと一歩のところ(93%)まで来ていたのです。

しかしこの1ヶ月の間にダウは 1,000ドル以上も下落。

資金は株式から安全資産へと移行し、10年もの米国債の利回りは1.437%と史上最低を記録しました。

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(米10年もの国債利回り推移;98年6月~12年6月)

上図は図の上でクリックすると約2倍に大きくなります。米財務省の『こちら』の頁から取りました。

もう少し長い期間でみるとどうでしょう。

1871年以降のデータは下図のようになります。

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こちらの図はクリックすると2.5倍になります(『こちら』から取りました)。

1871年というと明治4年(『こちら』)。

このころからのデータをずっと並べてみて、先週金曜日の数値が最低であったということですから、これは米国の人にとってかなりのインパクトのある出来事でした。

30年もの国債はどうでしょう。

30年もの国債は2.508%まで下がりました。

こちらも2008年12月につけた史上最低値 2.505%まであと少しのところまで来ています。

こうしたなかで、金利がここまで低下してくるとバーナンキがQE3(第3次量的緩和)を行ったところで、実態経済にはさほどのプラス作用は期待できないのではないかといった論調も出てきました(『こちら』)。

現在の状況はどう解したらよいのでしょうか。

ここにきて見方は2つに大きく分かれます。

(A)これは歴史的な転換点だ。世界金融危機の第2幕が始まっている。

(B)雇用統計は一時的停滞、足踏みに過ぎない(下図)。ヨーロッパの問題はこれからも続くだろうが、米経済にはこれ以上の大きな影響は及ぼさない。

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          (米 失業率推移)

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なお上図は米労働省(『こちら』)から取りました。

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