株価=PER×EPS
6月4日(月)のTOPIXは1983年12月13日以来、28年半ぶりの安値をつけました。
1983年12月というと私は興銀のシカゴ駐在員を務め、30歳になった頃。
中西部8州を担当していたので2日に1回くらいの割合で飛行機に乗り、クリーブランドとかミネアポリス、セント・ルイスなどに本社を構える米企業を次から次へと訪問していました。
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さて株価がここまで下落すると、この先どうなるだろうか、塩漬け株や投信はどうしたらよいだろうか、と不安になる方も多いと思います。
前回のブログ記事、「1871年以来、最低の水準」にも、このようなお問い合わせをコメント欄に頂戴しました。
同じような悩みをお持ちの方は前回記事のコメント欄をご覧になってみてください。
なお前回のコメント欄には神保町さんからもコメントを頂きました。博覧強記の方で私の記事の至らぬところを時おりフォローしてくださっています。
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さて話を本筋に戻しますと、このように株価が乱高下したり、急降下したりするときは、原点に立ち返ることも必要かと思います。
(今年に入ってからの金価格推移)
金(ゴールド)はそれ自体はキャッシュフローを産みだしませんが、株式は企業を部分保有する権利です。
ある会社の発行済み株数の100分の1を持つことは、その会社の100分の1を所有することにほかなりません。
そして正常な企業はキャッシュフローを産みだします。
すなわち株式は企業があげるキャッシュフローが裏付けとなって価値が形成されています。
この点が金(ゴールド)との違いです。
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この辺をもう少し分解して見てみましょう。
下記の式です。
株価=PER×EPS
ここで
PER=株価収益率(Price Earning Ratio)=株価(Price)÷1株当たり利益(Earning)
EPS=1株当たり利益(Earning Per Share)=当期利益÷発行済み株数
です。
『こちら』で明らかなように、東証1部のPERは11.3です(通常は、これから予想される12カ月の利益を使ってPERを算出します)。
一方ダウ平均株価のPERも東証とほとんど同じで11.8(『こちら』)。
PERは債券など代替投資対象の利回りによっても左右されます(『こちら』)ので、一概に「この水準」とは言えませんが、通常は12~15のレベル。
PERが1.0であれば借金してでも全株購入して1年間保持すれば内部利益で元が取れる計算になります(税金を考慮せず)。
ということで、PERから見る限り、日米ともかなり株価が売り込まれている水準にあることだけは事実です。
別言すれば、企業や市場(株価アナリスト)が見通している収益予想(今後12カ月)をベースに考えると現在の株価は割安な水準であるということです。
ただしヨーロッパの問題がさらに悪化するとPERの計算のベースとなる「これから予想される12カ月の利益」自体がが低下していきます。
したがってたとえ同じ11のPERを維持しても(あるいはPERがたとえ12になったとしても)これから先の株価がさらに下落することはあり得ます。
はっきりどうなるかとは、なかなか言えないところが辛いところですが、
とりあえずの注目点は
6月17日(日)のギリシャ再選挙
6月19日(火)~20日(水)の米FOMC
です。
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