夏の読書(その4)
海外の航空会社の飛行機に乗るとき、その国の言葉で語られるアナウンスを注意深く聞いていると面白い発見をすることがあります。
たとえば韓国の航空会社のアナウンスで何回か「カバン」という発音を耳にしたことがあります。
これはもしかすると「鞄(bag)」のことではないかと思い、韓国語のアナウンスに続く英語のアナウンスを注意深く聞くと、やはりどうもそうらしい。
調べてみると日本語に似た発音の韓国語というのが結構ありました。
以下、『こちら』のサイトの情報です。
【同じ漢字である程度、発音も似ているもの】
新聞→シンムン
微妙→ミミョウ
写真→サジン
不可能→プカヌン
高速道路→コソクドロ
野球→ヤグ
珈琲→コピ
都市→トシ
約束→ヤクソク
監督→カムトク
* * * * *
そもそも韓国ではハングル文字が使われることが多いとのことですが、「李明博大統領」といった表記のように、人名になると漢字が使われることも多いというのはどういうことでしょうか。
これまで私は仕事で韓国を訪問することが幾度かありました(たとえば『こちら』)。
しかし実のところ、この隣国のことを知っているようで意外と知らない ――
そしてこれはもしかすると、私だけでなく、多くの日本人に共通することなのかもしれません。
ということで昨日読み終えたのが、『韓国が漢字を復活できない理由』(→『こちら』)。
① 韓国には漢字派とでも呼ぶ人々と、ハングル派の対立がある
② 韓国はもともとは漢字国だった。日本以上に漢字を多用していた
③ 世宗王が創製したハングルも、以前は、諺文と呼ばれ、蔑まれつづけ、知識人が使うことはなかった
④ 韓国で使用される漢字熟語の7割あるいは8割は、和製漢語
⑤ 古代の「三国史記」から、近世にいたるまで、文献を調べたところ、韓国は、過去2000年間に、960回も異民族の侵攻にさらされた
ということのようです。
最後の⑤は、良く考えると、ほぼ2年に1回の割合で、異民族の侵攻を受けたということになります。
この点については本書にもう少し詳しい説明があります(以下抜粋)。
「『三国史記』によれば、『倭、寇す(日本人が攻めてきた)』などという小競り合いの記事が、何度も登場する。
九六〇回は、こうした国境侵犯のような戦闘も含めての話である。
現在、もっぱら日本が悪役を押し付けられているが、ほとんどは、国境を接している中国からの侵略である。
あるいは、中国を征服した異民族が、余勢を駆って攻め込んできたケースである」
これに関連してですが、本書の著者豊田さんが、知り合いの韓国人教授王さんと会ったときの話が出てきます。
「王姓の人は中国人では珍しくないが、韓国人では初めて会った」と豊田さんが話すと、王さんは「みんな殺されてしまいましたからな」と返答。
王さんいわく
「李氏朝鮮が立ってから、高麗王家の子孫は、見つけしだいみな殺されましたからね」。
王教授の言葉は、豊田さんにとってショックだったようで、「日本人は、これほど過酷な歴史を体験したことがない」と記しています。
* * * * *
やはり韓国については知らないことが圧倒的に多い ―― 私は本書を読んで改めてそう感じました。
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