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2012年9月 1日 (土)

狭い世界

バーナンキのジャクソン・ホールでのスピーチには決定的な内容は含まれておらず、as needed で対応するとのこと。

為替や株価は微妙な動きを示しました。

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この結果、9月12~13日のFOMCがどういったことになるのか、益々分かりにくい状況となってきました。

* * * * * *

さて話は変わります。

8月11日に催されたアメリカの高校の同窓会に参加した時。私は結構たくさんの人に会いました。

幹事の話によるとパーティーに出席したのは全部で 244名。

とても全員と話すことは出来ませんでしたが、実際に話したのが仮にその1割だとしても24名。

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クラスメートのジュリーはご主人を連れてきていました。

彼の名前はマイケル。

話してみるとスタンフォードのビジネススクール出身だと言います。

「何年の卒業ですか」と尋ねると、

「JDプログラムでビジネススクールとロースクールの双方を卒業したので88年だ」とのこと。

「私は80年の卒業です」と告げると、「ビノッドやラッセルと同じですね」との答えが返ってきました。

ビノッドもラッセルもベンチャーキャピタリストとして有名。

「2人を知っているんですか」と尋ねると、「シリコンバレーは狭い世界ですからベンチャーキャピタリストはだいたい知っています。ラッセルとは一緒に働いていたこともあるんですよ」とのこと。

私もかつてラッセルのファンドとは仕事で接点があったことがありました。

そういったことも含め、いろいろ話していくと共通の知人がどんどんと出てきました。

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マイケルが「あなたの会社はどういった仕事をしているのですか」と聞いてきたので、

「仕事の半分はマネジメント・コンサルティング。そこで得た収益をスタートアップ企業に対するシード・インベストメントや一部アーリーステージ・インベストメントに向けています」と答えました。

するとマイケルは「それは難しい領域で仕事をしていますね」。

そして彼は次のように続けました。

「我々のファンドもいろいろと調べましたが、日本でベンチャー・キャピタル業務を行うのは極めて難しいとの結論に達しました。

クライナーやセコイアも中国には拠点を設けているけれど日本には拠点を設けていないでしょう。

日本では優秀なエンジニアやサイエンストは起業することを選ばず大企業に行くと聞いています。

逆に日本企業の研究開発部門には優秀な人材が眠っているとの話も聞こえてきます」

なるほどアメリカの大手ベンチャー・キャピタルは結構日本や中国のことをよく調べた上で、日本ではなくて中国の方に進出している・・・。

言われてみれば、中国もアメリカと同じように格差社会で競争社会。

それに比べて日本はある意味、「居心地の良い社会」ですから積極的にリスクを取ろうという人が出にくいのかもしれません。

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コメント

評論家の山崎元さんが、電機メーカーを統合させるのではなく、逆に多数のベンチャーに解体してしまうほうが、大企業の中で腐っている有能な人材を活かせるのではないかと書いてますが、その通りだと思います。

投稿: tsuka | 2012年9月 2日 (日) 21時59分

元エンジニアとして実情を述べよう。
大企業の中では開発に失敗しても復活の芽がある。
その事業の成否の責任はエンジニアが負うことはない。
稟議を決裁をした事業部長や技術部長が責任を負う。
大企業の事業部の資金は個人とは比較にならない。

個人が起業に失敗すると莫大な負債を背負う。
そして二度と復活できない。

そんな社会で起業を進めるのは無責任で、個人が堕ちていく事を見て喜ぶ悪魔だ。

ソフトなら?
最近のアプリ開発で独立起業は可能だろうが、作り続けられるか?という問題がある。まるでロックスターを目指す様な物だ。大抵は「一発屋」で終わってしまう。そのまま場末の歌手になるほうが幸せかもしれない。それを進めるのか?

ハード、マテリアル?
設備が無ければモノは作れない。
料理人と同じだ。厨房が無ければ料理の試行錯誤も出来ない。台所があるだけ料理人の方が幸せかもしれない。
このような技術は何に活かせる?
エンジニアはメカニックではない。

脱サラしてフランチャイズの経営
大抵が親会社に吸い尽くされる。代表がコンビニだろう。
経営者(オーナー)の回転の速さは異常だ。
すぐにやめて近隣に同系列のコンビニが出来る。何かがおかしい。成功して華麗なリタイヤ生活を営んでいない。
殆どがよりひどいレベルに落ちているだろう。

電機メーカーのエンジニアが希望退職で大量に吐き出されてもどうやれば活かせるのか。
中国、韓国、台湾の競争力を高める為に数年間雇われるだけだろう。数年後、必要な知識を吐き出したらそこでも不要となる。

履歴に海外経験が活かせるのなら良いが、大抵はそうではない。

そんな民意と社会意識の国なんだ。リスクとリターンを考えたらベンチャーなんて穴馬狙いではないか。傍から見てたら穴馬狙いのギャンブラーは豪快でおもしろいでしょう。
しかし、麻雀でも強いのは役満狙いではなく、リスクの小さい平和狙い。

そして、殆どのエンジニアは年収が数百万円台。
貯金も殆どない。そんな状態で起業資金は自己借金。
成功する確率は千三つ。
リスクが高すぎませんか?期待値で考えたら起業できません。それでも起業を進めるのは悪魔でしょうね。

投稿: ロートル | 2012年9月 2日 (日) 23時26分

ロートル様、
10年以上前のインターネットバブル時代に大手企業を辞めた人たち何人かと付き合いがあります。 彼らに限っては「2度と復活できない」とか「莫大な負債を負う」とか、そんなことはありません。
彼らの場合、紆余曲折はありましたが、ニッチな製品をインターネットで販売するとか、専門知識を活かした設計サービスを提供したり(まぁ下請けですが)でそれなりに会社を運営できています。 どうやら年間売り上げが1~2億円を超えて、2~3名の従業員を雇うようになるとポルシェを買ったり、長期海外旅行に出かけたり、とお金と時間に余裕が出てくるケースが多いです。
私はサラリーマンですが、創業期から彼らのお手伝いをしているのでちゃっかりと副収入も得ています( ^ω^ )。
今の時代はパソコン1台あればすぐに開業できます。 大企業も零細企業に対する差別・偏見がなくなってきたため、提供物がよければ取引してくれます。借金をしたくても貸してくれるところがないので、裏を返せば莫大な借金を背負うこともありません。
EMSもファンドリもあるのでiPhoneを上回る製品を個人レベルで開発し、市場投入することも不可能ではないでしょう。 
楽天の三木谷さんとか、ザインの飯塚さん、そして岩崎さんのような超スーパーマンでなくても、大企業でそこそこ活躍できた人であれば、独立したほうがはるかに活躍できるような気がしてなりません。

投稿: 通りすがり | 2012年9月 4日 (火) 06時59分

通りすがり様。
幸運な人々とお付き合いが出来てよかったですね。
PC一台での起業は可能でしょう。ヤフオクに店舗として登録するとか、アマゾンとか。いずれにせよ個人レベルなら生きていけるでしょうが、養育と介護が必要な世代は無理ですね。路頭に迷うか樹海行きです。電車を止めまくる人も多いかと。
大企業が零細企業と取引?営業用販促グッズですか?
せいぜい商社経由でマージン抜きまくりです。
実際、資材部がそういう指導をしていました。
個人の設計でiPhoneを上回る。いいですね。思いつきが素晴らしいです。山塞機じゃあないので信頼性、各種安全試験をクリアしないと市場に出せないんですよ。
でも参考になりました。

投稿: ロートル | 2012年9月 6日 (木) 22時48分

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