2013年の見通し
興銀出身のエコノミスト(久留米大学教授)の塚崎さんが「景気は既に後退中」と題するレポートを今週月曜日に発表しました(『こちら』)。
塚崎さんは興銀の調査部などで活躍していましたが、40代後半で興銀を退社。現在は久留米大学で教鞭をとっておられます。
以下、塚崎さんのレポートから:
『輸出が減少し、生産が減少し、景気動向指数(一致、先行)が低下しています。
これを受けて、月例経済報告が、「緩やかに回復しつつある」から「回復の動きに足踏みが見られる」に景気判断を変更しました。
日銀短観も悪化しました。
このまま景気が方向を変えて後退局面に入ってしまうのか否か、心配する人も増え ているようです。
そこで今回は、久しぶりに景気の現状について考えてみました』
このような出だしで、このレポートは始まりますが、さて結論は、というと:
(以下また引用)
『最終的な判断を下すには材料不足であって、今少し様子を見たい所ですが、 強いて現時点で判断するとすれば、景気が後退する確率は5 割を超えていると 思われます。
その場合、今年の春が景気のピークだったことになり、景気は現時点で既に後退しはじめている事になります。
(コンセンサスとの比較)
9月7日に発表されたESP フォーキャスト(主要なエコノミストたちへの アンケート)によれば、既に景気後退がはじまっているとの回答は38 名中3 名に止まっています』
ということで、景気後退がはじまっているとの見方は少数派のようですが、塚崎さんのレポートを読むと、むしろ「景気は既に後退中」とする見方の方が説得力があるように思えてきます。(7頁ほどのレポートですので、ぜひお読みになってみてください。『こちら』です)。
* * * * *
さて話は変わりますが、米国では来週10月9日のアルコアを皮切りに、これから先、企業による第3四半期業績発表が相次ぎます。
Jeff Kleintop 氏は、「各社の3rd QTR 利益は平均すると対前年比▼2%程度落ち込むのではないか」と予測しています(『こちら』)。
そればかりでなく、このとき同時に発表される「企業の2013年の業績見込み」も、彼は「あまり期待できない」としています。
にもかかわらず米国の株価がこれまで堅調に推移しているのは、企業による自己株購入が盛んで、「1株当たり利益(EPS)はさほど落ち込まないから」、というのが Kleintop 氏の見方。
それでも絶対水準としての利益額の低迷は何れは株価下落になって跳ね返ってくる・・いずれにせよ、2012年の10~12月の株式市場は、「年初からこれまでのゲイン(上昇分)の幾分かを吐き出すことになりかねない」というのが、氏の見方です。
Kleintop 氏によれば:
「中国経済の減速は明らか。
欧州は問題外。
唯一の機関車として期待されている米国も厳しい」
こうなると、これから先、しばらくは我慢の時ということになるのかもしれません。
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