« 2012年9月 | トップページ | 2012年11月 »

2012年10月31日 (水)

Retina Display を搭載していない iPad mini

Retina とは「網膜」という意味の英語。

Retina Display は、高解像度(高画素密度)の液晶ディスプレイのことを言います。

Apple社のiPhone や iPad などに採用されています。

ところが先日発表された iPad mini には、このRetina Display が搭載されていませんでした。

さっそく競争相手のアマゾンがこの点を突いてきました。

Azn_4

米国のアマゾン本社のウェブサイトを開くとまっさきに出てくるのが、この比較広告(画像の上でクリックする大きくなります)。

これを見させられると消費者としては、iPad mini ではなくて、Kindle Fire HD の方に手が伸びてしまいそうです。

ではなぜアップルは iPad mini に Retina Display を搭載しなかったのか?

この点に関しては日本でも米国でも幾つもの記事が出ていますが、代表的なものが、『これ』

この他に、アップルとしては、 iPad mini と第4世代 iPad (2つの製品は同時に発表された)との差別化を図り、両者間のcannibalization (共食い)を避けたかったのではないか、とする見方もあります。

しかしこれらは企業の都合であり、消費者目線に立っていません。

地図と言い、 iPad mini と言い、アップルでは最近こうしたチグハグな動きが目につき始めました。

実はこうした動きの裏には「経営陣の間に不協和音があるからなのではないか」という見方(『こちら』)もあります。

一昨日、アップルは Scott Forstall と John Browett の2人のSVPの辞任・退社を発表しました。

Scott Forstall は今年1月に出版された "Inside Apple: How America's Most Admired--and Secretive--Company Really Works" という本では、CEOになることを期待していると書かれた人物。

Ia

その彼がすでに今年5月の時点で保有するアップル株の95%を売りに出していた(『こちら』)とか・・。

Retina Display 非搭載の裏には、いろいろな「知られざる真実」があるのかもしれません。

| | コメント (0)

2012年10月30日 (火)

財政の崖 (Fiscal Cliff)

以前にこのブログで昨年4月の米国連邦政府一時閉鎖リスクについて書きました(『こちら』『こちら』)。

現在米国で話題になっているのは財政の崖。

Fiscal_tightning

(出所:米議会予算局(CBO);クリックすると大きくなります)

詳しくはウォールストリート日記というブログ(『こちら』)によく書かれているので、そちらも参考にしてほしいのですが、要はこういうことです。

米国では年末から来年初めにかけて、ブッシュ減税の失効(2250億ドル)、オバマの景気対策終了(1190億ドル)、歳出の自動的削減(540億ドル)などが予定されています。

これらの数字を積み上げていくと、GDPに対して4%分くらいのマイナスの影響(Potential Hit on GDP)になりうるとの試算もあります(米議会予算局;下表)。

Fiscal_cliff

(出所:米議会予算局(CBO);クリックすると大きくなります)

「もし仮にこれをこのまま放置すれば、米国経済は2013年の上半期には景気後退の2番底(Double Dip Recession)に陥るだろう」と米議会予算局(CBO)は予測しています。

この問題は今週号の日経ヴェリタス(『こちら』で購入できます)でも取り上げられています。

Nikkei_veritas_2

財政の崖(Fiscal Cliff)は米国では結構騒がれている問題です。

恐らくは、このまま崖から墜落ということにはならず、結局は財政的措置が講じられ、Double Dip (2番底)は回避されるとは思います。

しかしマーケットは、たとえ可能性は大きくはなくても、「崖から墜落しうるリスク」を意識して、神経質な動きを示すようになると思います。

| | コメント (0)

2012年10月29日 (月)

秋晴れ

今朝、皇居の周りを走ったときに、iPhone 5 のカメラを使って撮った景色(↓)。

Photo_3

(このブログには1MB以下しか載せられないので画素数を相当落として載せています)

| | コメント (0)

2012年10月28日 (日)

iPhone 5 を使ってみて

以前に 近くのauショップで予約を入れていた iPhone 5 。

未だ来ない状況が続いていました(予約したのは9月29日)。

一方、私の周りでは、私より後、それも10月に入ってから(たとえば新宿の LABI で)予約を入れ、すでに先週火曜日に入手して使っているという人が現れました。

そんな中、昨日のことです。

たまたま訪れた郊外の駅のモールにあるケータイショップで、「iPhone 5 あります」という張り紙を発見。

お店の中に入って聞いてみると、「今日、結構たくさん入荷したので、16ギガのブラックならお持ち帰り頂けます」とのこと。

9月に予約を入れていたのは32ギガだったのですが、とくに深く考えて32にしたわけではありません。

そこで、16でもいいことにして、お店で手続きを開始。

まずはドコモに電話を入れて、MNP予約番号10桁をもらいます(これによって、約15年間使ってきたドコモの電話番号をそのままキープして iPhone でも使い続けることができます)。

次に、9月に予約を入れていた au ショップの方にもキャンセルの電話を入れます。

そしてお店で契約申込書にサインをして、手続き完了。

ようやく iPhone 5 を手に入れました。

Iphone_5

ところで、ドコモのケータイにあった電話帳を iPhone に移行するには、いったんSDカードにアドレス帳を保存します。

次にパソコンにアドレス帳移行ツールをインストールして、移行手続きを実施(この辺は、お店で「総合設定ガイド」というパンフレットをくれますので、パンフレットに従って手続きを行えば何とか出来ます)。

もっとも実際にやってみると、結構大変。

私の場合は、iPhone 対応アドレス帳ファイル(.vcf ファイル)をEメールでiPhone宛に送信するところで引っかかりました。

送ってはみたものの、iPhone には届かない。

事前に迷惑メールフィルターを設定していたのが原因でした。

上記の「総合設定ガイド」では迷惑メールフィルターを先に設定するよう記されていますが、実際にはこれはアドレス帳ファイルを受信した後に実行した方が良いと思います。

いずれにせよ迷惑メールフィルターをいったん解除してアドレス帳ファイル(.vcf ファイル)を受信。

そして iPhone の「連絡先」への書き込みを実施。

さて実際に iPhone 5 を使ってみた感想ですが、Siri や、メールなどへの音声入力が意外に使える、というのが実感。

とくにフリック入力に慣れていない私には助かります。

難点は、au の場合、留守電の設定に自由度がないこと。

電話を受けて、これに出ないでいると、かけた方は 30秒してから始めて留守番電話サービスにつながるという設定になっていて、これ(秒数)は変えられません(実際に試したら 34秒くらいかかった)。

短気な人はいらいらするかもしれません。

またケータイが鳴るのに気づいて、「今、出られません」という意味で、「拒否」のボタンを押すと、今度は留守録に行きません。

これではビジネスで使う私の場合、電話をかけてくる取引先の方に不便をかけてしまいそうです。

au のヘルプデスクに電話して確認したのですが、「これは、どうにもならない」とのこと。

同じ iPhone 5 でもソフトバンクならデフォルトの待ち時間が20秒で、しかも設定変更が可能だとか・・・。

au さん、ぜひ何とかしてください。

| | コメント (1)

2012年10月26日 (金)

アナリスト予想を下回る内容

アップルの決算。

一部の日本の新聞(電子版)では「増収・増益」と報道されました(『こちら』)が、(そしてそれは「その通り」なのですが、)

アナリストたちは、先ほどアップルが発表した以上の「良い決算」を事前に予想していたものですから、

アップル株は取引時間終了後の取引で一時590ドルを切るまで大幅に下落しました(『こちら』)。

①事前の市場予想(アナリストの平均;FactSetベース)

4QTRの売り上げ 35.8 billion

EPS         8.82ドル

②事前市場予想(アナリストの平均;Thomson Reutersベース)

4QTRの売り上げ 35.8 billion

EPS         8.75ドル

③実際の数字

4QTRの売り上げ 35.97billion

EPS         8.67ドル

上述のように株価は After Hours の取引で一時 590ドルを切りましたが、これは一瞬だけ。

現在(NY時間午後7時)では 609.60ドルまで回復してきています。

アップルについてはiPhone 5の供給不足問題が市場で伝わりました。

そしてその結果、決算は冴えないものになるのではないか、との見方が広がり、

すでに株価は610~620ドルのレベルにまで下げていました(9月21日、705ドルがピーク)。

ある意味で、市場はアナリスト予想を下回るのではないかと事前に察知し水準訂正をしていたので、

(After Hours での薄い取引のもとでの一部の狼狽売りはありましたが、)すぐにもとの 610ドルのレベルに落ち着いたということなのでしょう。

| | コメント (0)

2012年10月24日 (水)

iPad mini

米国時間(NY)午後1時に発表されました。

昨日一日の株価の動きは下図の通り。

    Apple

1時の発表の後、若干上がりましたが、結局当初予想通りの新味の無い発表ということで、2時以降は下落。

市場はそもそも最初からmini(詳しくは『こちら』)にはさほど期待していませんでした。

関心事は25日の決算発表。

昨日のFacebookのような驚き(予想外に良くてAfter Hours で12%上昇)があるかどうか・・。

| | コメント (0)

大阪で講演

12月2日、大阪で講演します。

日経CNBCセミナーです。

Osaka

詳細は『こちら』をどうぞ。

無料ですが、申し込みが定員数(100名)を超えた場合、抽選となります。

申込期間は 10月22日(月)~11月21日(水) 。

私は、 「逆境時の資産運用…自分年金を作ろう!」 のタイトルで、資産運用の話をします。

『こちら』 からお申し込みください。

| | コメント (0)

2012年10月23日 (火)

未納率41.4%

9日と16日に私がラジオで話したことを大変分かりやすくまとめて頂きました。

キャスターの町さんのブログです(『こちら』)。

      2

番組を聞くと25分はかかるのですが、『これ』 を読むだけならば2~3分間で済むかもしれません。

忙しい方にお勧め。

「今の年金制度の問題点」

「今後どうなるか」

「そして自分の生活を守るには・・」

まずは 『こちら』 を読んでみて(写真でプロデューサーの相川さんがなぜか項垂れている理由も分かります)、

さらにもっと、という方は是非番組を聞いてみてください

(ポッドキャスト 『こちら』 もしくは iTune 『こちら』 の10月9日、16日をクリック。iTuneも無料です)。

| | コメント (0)

2012年10月20日 (土)

25周年

アメリカでは25という数字が日本以上に幅をきかせているように思います。

100の4分の1ということで重んじられるのでしょうか。

クォーターという独立した単語もあります。

硬貨も25セントが10セント以上に良く使われているように思います。

(日本だと10円の次は25円硬貨ではなくて、いきなり50円になってしまいますが・・)

大学の同窓会でも(スタンフォードのビジネススクールの場合)、一番重要視されるのが卒業後25周年の同窓会です。

  Mcdonald

さて昨日10月19日はかつて米国で起きたブラックマンデーのちょうど25周年にあたりました。

25年前の1987年10月19日、米ダウ平均株価は22.6%も下落しました。

22.6%というのは、今の日経平均に置き換えると一気に6000円台にまで下落してしまうことを意味します。

つまり 昨日ようやく 9,002円になった日経平均が、6,967円にまで下落してしまうということです。

こういった大暴落に比較すれば、25年目にあたる昨日のニューヨーク市場の下落は大したことがないと言えるのかもしれません。

しかしダウ平均株価は205ドル下落(下落率1.52%)し、ここ4か月間で最大の下落幅を記録しました(『こちら』)。

理由は期待外れの企業業績です。

すでに10月3日のこのブログ(『こちら』)で、

米国では「10月9日のアルコアを皮切りに、これから先、企業による第3四半期業績発表が相次」ぐが、この内容は期待できない、

「各社の3rd QTR 利益は平均すると対前年比▼2%程度落ち込むのではないか」

との予測をご紹介していましたが、はからずもこの予想通りの結果になりつつあります。

昨日の米国市場の下落を牽引したのはマクドナルド、GE、マイクロソフトの3社。

         Mcdonalds   

マクドナルドについて見てみましょう。

昨日発表となった数字は『こちら』 。

ドル高ユーロ安などの影響を受け、会社の売り上げの3分の2以上を占める海外部門がドルベースでは冴えない結果に終わってしまったとのこと。

全社ベースの第3四半期売上(3カ月)は、対前年比では 7,166→7,152(単位:百万ドル)と微減(▲0.2%)。

しかし Operating Incomeになると(コスト高が影響し)減少率は▲4.5%となります。

市場が予想していた1.48ドルのEPS(Earning Per Share;1株当たり利益)に対して、1.43ドルだった(▲3.4%)ものですから、株価は▲4.46%も下落しました。

会社としては、約1ヶ月前の9月20日の役員会で約10%の増配決議(これから先、四半期あたり0.77ドル/株になる)を行ったばかりなので、今後についてはそれなりの見通しを持っているのでしょう。

しかし市場の期待に沿う結果をこれから先、上げることが出来るのかどうか、次回の発表日は11月8日。

このときに10月の売り上げの数字が発表されます。

ところでマクドナルドの昨日の発表を読んでいると、下記のような文章に出くわします。

「アジア・太平洋・中近東・アフリカの地域では、Operating Income は3%増加した。日本や他のマーケットが引き続き弱く、そのことによって、中国・オーストラリアの好調な数字が一部打ち消された形となった」

日本だと頑張っている印象のマックですが、米国本社からすると、もっと頑張ってほしい、ということなのでしょう。

      Foxconn

最近の米市場ではアップルの下落も目を引きます。

株価は9月21日につけた705.07ドル(取引時間内の高値)から、約1ヶ月で▲13.5%下落して、609.84ドルになりました。

市場が心配しているのは、Foxconn の中国工場での労働問題(『こちら』)。

アップルの決算は来週木曜日(25日)に発表になりますが、それ以前にすでに通信キャリアの第3四半期決算が発表になっています。

たとえば18日に発表になったVerion の決算(『こちら』)によれば、Verizonは65万台のiPhone5しか売ることが出来なかった(『こちら』)が、これは供給不足によるとの見方が支配的です(『こちら』)。

Jefferies(『こちら』)の Peter Misek によれば、結局のところ iPhone5 は当期は5百万台くらいしか売れなかったのではないかとの見通しです(従来の彼の予想は8~10百万台;『こちら』)。

そう言えば9月に予約(『こちら』)した私のiPhone5 もまだ届きません。

一昨日 auショップに電話したら、販売員の方が「あくまでも個人的な予測ですが27日か来月3日頃。おそらく来月でしょう」とのこと。

アップルの今年度決算は9月29日までの53週です(『こちら』)ので、私が予約したiPhone5が売り上げとして計上されるのは、アップルの来年度決算ということになります。

| | コメント (0)

2012年10月16日 (火)

1つの製品が経済統計に影響を与えた?

米国の小売売上高統計(9月)が発表されました。

季節調整済みで前月比1.1%の増加。

エコノミスト予想中央値は0.8%の増加でしたので、これを上回る内容(詳しくは『こちら』)。

この結果、米国株(ダウ)は、$95.38 (0.72%) 上昇。

と、ここまでは普通のニュースなのですが、

どうやら9月の小売売上高上昇には、iPhone 5 の売り上げが相当寄与しているらしい。

         Iphone5

詳しくは『こちら』の記事にありますが、 1つの製品が経済統計に影響を与えたかもしれないという面白い例でした。

* * * * *

ところで、話はガラリと変わりますが、本日午前11:35~12:00にラジオ出演します。

       Atsu

ラジオNIKKEI の「集まれ!ほっとエイジ」(シニア予備校)。

スマホで聴けます(radiko.jpアプリ)。

再放送は本日 23:30~23:55。

番組を逃した方でもポッドキャスト(『こちら』)や iTunes(『こちら』、無料)で何時でも聞けます。

| | コメント (0)

2012年10月13日 (土)

節目

昨晩、米国から帰りました。

4日間日本を離れていただけなのですが、帰ってみるとすっかり秋らしくなっていました。

これ先、秋がいよいよ深まりやがて冬になっていく、今年もそんな季節がやってきました。

今日はちょっと個人的なことを書きます。

まだ30代の頃。

興銀にいるときに外資に転出しようかと何度か心が傾いたことがあります。

最初は1980年代の後半で興銀の審査部にいた頃です。

当時熱心に外資への道を勧める人がいたのですが、ちょうどそんな時、私は興銀の職員組合の副委員長に選ばれてしまいました。

興銀の場合、副委員長は非専従でしたので、私は審査部の仕事を続けながら1年間(1989年~90年)、組合の仕事をしました。

数千人の組合員の生活に対して責任ある立場。途中で辞めることなどできません。

「基本的にこの1年間は審査部の仕事と組合の仕事に専念しよう」と決心し、ほかのことを考えるのを止めました。

そして組合の仕事が終わってしばらくすると、副頭取から呼ばれました。

「絶対に秘密にしてほしい。君のところの上司(課長)にも知らせるな」

と言われました。

日本鉱業と共同石油が合併するというので、その仕事をサポートしてほしいとのことでした。

合併比率を算定するとか、難しい仕事でした。

それが終わると営業3部に異動になって、水俣病を起こしたチッソに対する金融支援の取りまとめに民間金融機関の代表として参画して欲しいといった話も出てきたりして、結局興銀を辞めたのはずいぶんと後になってからでした。

30代のころに描いていた自分のキャリアに対するイメージ ― 「いったん外資に出て、思いっきり働いた後、まだ40代のうちに(50歳になる前に)独立したい」 ― そんな思いはだんだんと遠くなりかけましたが、それでも(結構遅れましたが)何とか決心して外資に出ました。

そして今度はぎりぎり49歳で独立して、いまの会社(インフィニティ株式会社)を立ち上げました。

そしてそれからそろそろ10年。

10年というと、またひとつの節目なのかもしれません。

「経営コンサルタントをして、そこで上げた収益をスタートアップ企業に対するシード・インベストメントや一部アーリーステージ・インベストメントに向ける」 ― こうしたビジネスモデルで会社を立ち上げて、これまでやってきたのですが、はたしてこのままでいいのかどうか・・・。

スタートアップ企業に対する投資事業の方はこれまで10件ほどに投資してきました(平均すると1年に1件)。

しかしこれが結構難しい・・どうしてなのか、一言で言うと、投資をする「投資家」と、投資を受ける「起業家」、双方のdiscipline ということなのかもしれません。

起業家について言うと、(これは10年間の私の経験からくる感想なのですが)日本には(1)明確なビジョンに、(2)事業欲を持ち合わせた起業家はいても、これに 第3の要素たる discipline を持ち合わせた起業家はあまりいないように思えます。

スタートアップ時に私の会社が投資して、その後セカンド・ステージあたりまでは順調に行き、VCから数億円に及ぶ投資資金が入った・・・としても、その先が結構大変です。

数億円にも上る大きなお金が入ってきたことで、そのことで心のゆるみが生じ、初志貫徹とはならずに、だんだんと道がそれていってしまった起業家の方もいます。

「日本でシード・インベストメントといった仕事を事業として行うのはそもそも難しいのではないか」とアドバイスしてくれるシリコンバレーの著名なベンチャー・キャピタリストもいます(『こちら』)。

一方で私の会社の事業の半分を占める「経営コンサルタント」の仕事の方は規模の利益が働かない業種。

顧客は中堅企業から上場企業の社長さんまで様々なのですが、私を名指しで依頼してきます。つまり私としては人を雇って事業を拡大するのが難しい・・。

それと私の場合は依頼してくる会社の社長と同じレベルにまで依頼先の会社のことを(自分の問題として)悩んでしまうタイプなので、一度に引き受けることができる顧客数は多くて4社。

出来るだけ3社に絞るようにしています。

こんな形で10年近くやってきました。

これから先、投資事業の方が(10社のうち)たとえ1社でも大きく花が咲けば、もう一段、上の展開が出来るのでしょう。

しかしそうでないと、いったい自分が経営している会社は事業体としてどうなのか、自分がまだ50代のうちに何らかの方向性を付けたいと思うようになってきました。

そういった意味で、10年目をむかえることになる、これから先の1年は、難しい1年になりそうです。

目標をもって、それに向かって努力していくこと。

これは重要なことだと思いますが、人生なかなか自分の思い描いたようにはならない・・。

私の場合、30代で興銀を辞めていればまた違った人生だったと思うことはありますが、人はみないろいろなしがらみの中で生きています。

結局、その時々で可能と思われる形でしか駒を進めることができません。

それにどういったようなキャリア・パスの人生だったとしても、人の一生に成功、失敗はありません。

節目に今まで来た道を振り返ってみて、これから行く道の先を見通してみる・・

いろいろな場面がフラッシュ・バックしてきますが、「これはこれで良かったんだな」と思えてきます・・・。

次の10年が来たときにもそう思えるよう、惰性では進まずに、考えながら進んでいきたいと思います。

米国から帰る飛行機の中でそんなことを考えていました。

| | コメント (0)

2012年10月 9日 (火)

斎藤貴男著「私がケータイを持たない理由」

仕事をしている最中にPCでつい他の画面を見たくなる・・・

あるいは、フェイスブックをのぞいてしまう・・・

あっ、Eメールの着信音が鳴った。誰だろう、どうせどこかの広告メールなのだろうが・・・

ということで、私たちは気づかないうちに仕事の効率を落としていることがあります。

        Photo_2

以下は『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』(ピアーズ・スティール著)からの引用(229頁)。

『(グーグルが提供する)Gメールには、「テイク・ア・ブレイク(ちょっと一休み)」ボタンが用意されていて、このボタンを押すと、Gメールが15分間利用できなくなる。

電子メールが気になって仕事がはかどらない人には便利な機能だ。

酔っぱらって電子メールを送って後悔しないためには、「メール・グーグルズ」という機能もある。

この機能をオンにしておくと、夜10時以降は、簡単な数学の問題を解いて正解しないと、電子メールを送信できない』

『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』にはこんな話も載っています。

ワーキングカップルのバレリーとエディーの会話(272頁)。

『バレリーは気持ちを落ち着かせて言った。

「あなたが私に1回メールするたびに、私たちが家で一緒に過ごせる時間が15分減るの。

メールをするために仕事を中断したあと、また集中力を取り戻して仕事に取りかかるまでに、だいたい15分かかるのよ」・・・

「仕事中にメールを書いたり、ネットサーフィンをしたり、着信メールをひっきりなしにチェックしたりするのをやめれば、二人とも一日に二時間も時間が浮くのよ。

その分、ゆっくり眠れるようになるわ」』

* * * *

ところで、『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』はネットのことを書いた本ではなくて、ヒトが先延ばしをしてしまうことを様々な観点から、科学的に考察した本です。

今回の私のブログはネットのことを書こうと思ったので、この本でネットに関する部分を引用しただけです。(どうか誤解されないように。ちなみにひじょうに面白い本です。ついつい先延ばししてしまうという人には特にお勧め)

* * * *

さてアメリカでは、ネット漬けになりすぎた世の中に対する警告的な書物が次々に刊行されていると言います。

・ダビドウ著『つながりすぎた世界』(ダイヤモンド社)

・ヴァイディアナサン著『グーグル化の見えざる代償』(インプレスジャパン)

・パワーズ著『つながらない生活―「ネット世間」との距離のとり方」(プレジデント社)

ネット、あるいはケータイ中心の世の中は、便利さと引き換えに失ったものも多いとして、ケータイを持たない人も実は結構います。

そんな中の一人。

「持たず、使わず、持ち込ませず」の非ケータイ三原則を貫くというジャーナリスト、斉藤貴男さんがこのたび出した本が、『私がケータイを持たない理由』

     Photo_3

なおこの本は、斉藤さん自身が「はじめに」で書いているように、「ネットとケータイをあまり厳密に区別しない」で書かれています。

・ケータイと交通事故の関係

・ケータイといじめの関係

・電磁波の問題

そして監視された社会の問題など、本書ではいろいろなポイントがカバーされています。

たとえばCerberus((ケルベロス)というケータイ監視・遠隔操作アプリ。

本来は盗難防止や自宅にスマホを忘れた時などに、会社で携帯を操作できたりする優れモノなのですが、これが悪用されたら・・・

といった具合にネットやケータイについて知っておいた方が良い情報を要領よくカバーし、そしてウィットに富んだ文章で、読みやすい本に仕上げています。

と同時に、本書の中で度々出てくる、著者による「説教」の部分が印象的でした。

例えば、カメラ付きケータイを持っているということだけで、事件にあった被害者の心情を理解せずに傷ついた被害者を写真に収める人に対して、「素人はこういうことをしてはいかんのです」

もうひとつ。パソコンやケータイの遠隔操作について。

最近報道されたニュースですが、ウィルスに感染したパソコンが、勝手に「大量殺人を行うぞ」といった文言を大阪市のホームページに書き込み、パソコンの所有者が(誤認)逮捕されてしまったという事件が起こりました。

これはPCだけに限ったことではありません。

スマホでも起こりうることですので、アプリをインストールするときには注意が必要(フェイスブックのアプリをインストールするときにも同様に注意が必要です)。

* * * * *

ところで私はケータイやパソコンをよく使っています。

iPod touch や iPad はwifi を使って利用し、iPhone5も予約し、入荷待ちの状況です。

しかし仕事をするときは、ケータイやパソコンの電源を切るようにしています。

人と会う時もケータイの電源は切ります。

誤って切るのを忘れてマナーモードの振動音がポケットの中で鳴ることがありますが、無視(放置)します。

ケータイを取り出して見るのは、いま会って話をしている相手に対して失礼だと思うからです。

 

| | コメント (0)

2012年10月 8日 (月)

今週と来週の火曜日、ラジオ出演します

日本は3連休。

上海、インド、欧州と株や商品市況は下げ、リスク回避の動きから、対円を除きドルが全面高で推移、ユーロ/ドルは1.2960ドル台。

円ドルは円高に振れ、78.19円(10月8日、18時)。

さて明日火曜日の「集まれ!ほっとエイジ」(シニア予備校)にゲスト出演します。

          Atsu_2

         (キャスターの町亞聖さん)

『年金不安を乗り切る』とのタイトルで、明日は第1回。

続編は来週火曜日(16日)の放送。

放送はラジオNIKKEI 午前11:35~12:00/再放送 23:30~23:55

番組を逃した方でもポッドキャスト(『こちら』)や iTunes(『こちら』、無料)で何時でも聞けます。

なお番組をインターネットのIPサイマルラジオ《radiko.jp》で聴く方法は:

①パソコンで http://radiko.jp/#RN1のURLで、全国47都道府県で聴くことができます。

②スマートフォンで radiko.jpアプリをご利用ください。

なお「集まれ!ほっとエイジ」へのご意見、ご要望は、この番組ブログのフォームかフェイスブックページhttp://www.facebook.com/#!/Atsumare.Hot.Ageにお寄せ下さい。

| | コメント (0)

2012年10月 7日 (日)

成長しないリスク

昨日は、東京 品川・御殿場のホテルラフォーレ東京で開催された『日経CNBCセミナー』で講演しました。

Senior_3

事前に用意していたスライドは66枚で、序章を含め、6つのパートに分けて説明しました。

【序章】

【1】負けない投資

【2】金融機関にとっての「シニアの資産」

【3】成長しないリスク

【4】老後はいくら必要か

【5】今後のマーケットと運用に関して

* * * * *

このうち、このブログでは【3】の「成長しないリスク」について、以下、エッセンスのみ書き起こしてみます(注:昨日のプレゼンとは資料などを一部変えています)。

まず日本の経済成長率推移。次の図は、『こちら』から取りました。

Gdp

   (図はすべてクリックすると大きくなります)

同じことを昨日は次のスライドで説明しましたが、要は、過去20年間、(ならして見てみると)日本経済はほとんど成長してきていません。

Gdp_4

一方で米国はこの間、GDPを2.5倍にしてきています。

Gdp2_3


なお上の図は以前このブログ(『こちら』)でも紹介した広木隆さんの本(『ストラジストにさよならを』:幻冬舎)より取ったものです。

さて、以上の結果ですが、日本株に投資してきた人はこれまで「平均的には」損をしてきました。

Nikkei

一方で、米国株に投資してきた人は、というと:

Dow


米国はこの間、経済を成長させてきていますので、株式投資の分野でも、基本的にはリターンを上げることが出来ています。

たとえ円高ドル安の為替を考慮したとしても米国株投資はリターンを上げてきました。

例えば10年前に円投して(円をドルに換えて)、米国株に投資して、円高となった今、再び円に戻しても、ドル安の影響よりも米国株高の影響の方が強くて、トータルとしてリターンを上げることが出来ました。

日本経済、あるいは日本株への投資の世界は、残念ながら過去25年にわたって、このようにパッとしない、と言うよりは、むしろ惨めな状況にありました。

よく「バブルの影響」とか言いますが、バブルが崩壊し終え、すでにその影響は無くなったと思われた、(たとえば)「今から10年前」、あるいは「5年前」に株式投資をして、今まで株を持ち続けた人も「平均的には」損をしてきたのです。

それでは、はたしてこれから先の25年間はどうでしょうか。

日本政府は国家戦略室を立ち上げたことだし、これから先の25年間は、これまでの25年間と違って、もっと期待できるのでしょうか、それとも・・・

以下、昨日のスライドを5枚ほど順を追って列挙していきます。

Next25

Over65

Over652

Over653_3

Over654_2
ということで、ここまでのスライド内容だとあまり明るくないような話が多いのですが、

実はそれは【3】「成長しないリスク」のプレゼンのみ。

【序章】、【1】、【2】、【4】、【5】はもう少し元気の出る話になっています。

それでも国内市場をベースとする日本企業の先行きが結構難しいことだけは、頭の片隅に入れておいた方がよいかもしれません。

| | コメント (0)

2012年10月 6日 (土)

レガシー

私の iMac のPCは立ち上げると、Apple のウェブサイトに繋がるように設定されているのですが、今朝立ち上げましたら、Steve Jobs の動画がいきなり流れてきました。

Sj2

1分半です。

彼が亡くなってから1年ということで、動画の後にはティム・クックの短いメッセージも出てきます。

アップルのファンの方にはスティーブの懐かしいスピーチが聞ける動画です(『こちら』)。

| | コメント (0)

2012年10月 4日 (木)

大統領選:候補者討論会

全米が注目してきた討論会が10月3日(米国時間)に行われました。

この模様は『こちら』で見れます(英語です)。

Oct3_3

討論の中身には立ち入らずに、

「プレゼンテーション」という観点だけで評価すれば、

確かにロムニーの方がうまかったように思います。

11月6日の投票まであと約1カ月。

| | コメント (0)

2012年10月 3日 (水)

2013年の見通し

興銀出身のエコノミスト(久留米大学教授)の塚崎さんが「景気は既に後退中」と題するレポートを今週月曜日に発表しました(『こちら』)。

塚崎さんは興銀の調査部などで活躍していましたが、40代後半で興銀を退社。現在は久留米大学で教鞭をとっておられます。

以下、塚崎さんのレポートから:

『輸出が減少し、生産が減少し、景気動向指数(一致、先行)が低下しています。  

これを受けて、月例経済報告が、「緩やかに回復しつつある」から「回復の動きに足踏みが見られる」に景気判断を変更しました。 

日銀短観も悪化しました。 

このまま景気が方向を変えて後退局面に入ってしまうのか否か、心配する人も増え ているようです。

そこで今回は、久しぶりに景気の現状について考えてみました』

このような出だしで、このレポートは始まりますが、さて結論は、というと:

(以下また引用)

『最終的な判断を下すには材料不足であって、今少し様子を見たい所ですが、 強いて現時点で判断するとすれば、景気が後退する確率は5 割を超えていると 思われます。

その場合、今年の春が景気のピークだったことになり、景気は現時点で既に後退しはじめている事になります。

(コンセンサスとの比較)

9月7日に発表されたESP フォーキャスト(主要なエコノミストたちへの アンケート)によれば、既に景気後退がはじまっているとの回答は38 名中3 名に止まっています』

ということで、景気後退がはじまっているとの見方は少数派のようですが、塚崎さんのレポートを読むと、むしろ「景気は既に後退中」とする見方の方が説得力があるように思えてきます。(7頁ほどのレポートですので、ぜひお読みになってみてください。『こちら』です)。

* * * * *

さて話は変わりますが、米国では来週10月9日のアルコアを皮切りに、これから先、企業による第3四半期業績発表が相次ぎます。

Jeff Kleintop 氏は、「各社の3rd QTR 利益は平均すると対前年比▼2%程度落ち込むのではないか」と予測しています(『こちら』)。

そればかりでなく、このとき同時に発表される「企業の2013年の業績見込み」も、彼は「あまり期待できない」としています。

にもかかわらず米国の株価がこれまで堅調に推移しているのは、企業による自己株購入が盛んで、「1株当たり利益(EPS)はさほど落ち込まないから」、というのが Kleintop 氏の見方。

それでも絶対水準としての利益額の低迷は何れは株価下落になって跳ね返ってくる・・いずれにせよ、2012年の10~12月の株式市場は、「年初からこれまでのゲイン(上昇分)の幾分かを吐き出すことになりかねない」というのが、氏の見方です。

Kleintop 氏によれば:

「中国経済の減速は明らか。

欧州は問題外。

唯一の機関車として期待されている米国も厳しい」

こうなると、これから先、しばらくは我慢の時ということになるのかもしれません。

| | コメント (0)

« 2012年9月 | トップページ | 2012年11月 »