アップルが買収される日? (あくまでも頭の体操ですが・・)
アップルを提訴したアインホーンはチェスの名手として知られており、世界選手権で18位になったことでも有名です。
さてアインホーンにプロキクシーファイト(委任状争奪戦;くわしくは『こちら』)を仕掛けられたことを受け、アップルは一昨日さっそくプレス・リリースを発表(『こちら』)。
この辺は教科書通りの動きです。
ところでアインホーンはヘッジファンド・マネージャーですので、アップルを買収しようとしているわけではありません。
しかしこの一連の動きに対して一部の買収ファンドの人たちは興味を持って見ているかもしれません。
アインホーンによるプロキクシーファイトと提訴でアップルの株価は2日続けて上がりましたが、PERは9.33。以前は 8 前後にまで落ちていました。
アップルの現預金(short-term and long-term marketable securities を含む)は、$ 137.1 billion。
これは現時点での時価総額 $ 446.0 billionの 30.7%を占めます。
つまり株価474ドルのうち145ドルが現預金(の価値)から来ていると見れば、残りは329ドル分ということになります。
アップルがこれから先、事業を営み、キャッシュフローを産みだしていくのに当然ある程度のキャッシュ(現預金)は必要でしょう。
しかし $ 137.1 billion というと13兆円。
日本の国家財政(一般会計)の税収が42兆円ですから、その3割にも当たる金額です。
買収ファンドがレバレッジをかけてアップルを買収し、経営者を更迭したうえで、余分な現金を回収して買収資金の一部の返済に充てる・・・あくまでも頭の体操の域を出ませんが、こうしたシナリオも考えられなくはありません。
アップルと言えばスティーブ・ジョブズのカリスマ性で知られていましたが、実のところサプライマネジメントなど細部に関しても、これまでひじょうにうまく経営してきたことで知られていました。
しかしiPhone 5 の供給問題をはじめてとして、ここのところ細部に狂いが生じてきています。部品供給会社との間では厳格な守秘義務協定が結ばれているはずですが、にもかかわらずアップルのオーダー数量や部品のスペックに関する情報がアジア地域から漏れることも格段に増えてきました。
ティム・クックよりももっとうまく経営できる人がいるのではないか、一部の買収ファンドがこう考えたとしても不思議ではありません。
と言っても買収ファンドによるこれまで最大の買収は $ 45 billion(2007年のTXUの買収)。
その10倍ものサイズの買収は現実的には難しく、あくまでも頭の体操の域を出ません。
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