1ドル=100円に迫る勢い
昨晩は日経CNBCテレビの「日経ヴェリタストーク」に出演しました。
収録後、キャスターの曽根さんから「明日、朝、起きたら1ドル=100円になっているなんてことは、まさかないですよね」と言われましたが、まさに100円に迫る勢い。
日本時間9日7:14分頃に99.582円をつけて、このブログ記事を書いている9日7:46分現在99.52円です。
さて昨晩の番組のテーマは今回の金融緩和策の評価。
日本株に詳しい外人投資家やアナリスト何人かに事前にヒヤリングしたりしましたが、彼らの見方を含めて、マーケットは次のように考えているのではないかというのが私なりの解釈です。
①日銀による国債の購入については、量、及び、質(長期のもの中心)とも100点満点の評価。
②ただし日銀によるリスク資産購入については米国のFRBが月4兆円(年48兆円)のMBSを購入しているのに比べると、日銀によるETF購入(年1兆円)は見劣りする。
③金融機関が日銀に持つ当座預金残高に利息がつくという「付利0.1%」の引き下げについても今後検討されるべき。
ETF(上場投資信託;Exchange Traded Funds)は米国では100兆円以上の残高があるのに比して、日本では残高約5兆円。
こういったことも勘案して日銀は年1兆円と決めたのでしょうが、日銀が購入するETFはTOPIXや日経平均株価指数に連動するETF。
日銀が購入する形で、ETFに入れた資金は日経平均(225の株式)やTOPIX(東証1部)を構成する株式投資に回ります。
すなわち日銀が相手にしているのはETFを通じての(その背後にある)東証1部株式市場全体です(2部、マザーズも含めた東証全体の時価総額は3月末で365兆円、TOPIXの時価総額は3月末で231兆)。
231兆円や365兆円という株式市場の規模を勘案すれば、日銀による年1兆円のETF購入というのは寂しく、この10倍くらいあっても良いかもしれません。
このように今回の金融緩和策の評価は全体でみると90点とやや厳しめにしましたが、これは物価上昇率2%の達成がそれだけ難しいことの裏返しです。
1998年から15年にわたって続いてきているデフレ基調。
この15年間の物価上昇率は平均すると年▲0.3%というマイナス。
この基調を変える(デフレ・スパイラルを止める)のは容易ではありません。
識者のなかにはデフレのどこがいけないのかという議論もありますが、物価が下がり続ける状況下では企業の投資意欲は減衰、経済活動は拡大しにくく、雇用は悪化(日本の失業率は4%台ですが潜在的な社内失業者を入れれば10%を超える)。
先進国でデフレに陥っているのはスイスと日本くらい。
大学生が3年生の時から就職活動に専念し、卒業してもなかなか正社員になれない人が多いといった状況を変えなくてはなりません。
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