保守的な投資家はよく眠る (2)
前回紹介した『Common Stocks and Uncommon Profits and other Writings by...』に収録されているフィッシャーの本によく出てくる言葉に、Scuttlebutt という言葉があります。
英和辞典を引くと、うわさ、ゴシップと載っていますが、フィッシャーいわく「rumor や Wall Street noise に惑わされるな。Scuttlebutt を使え」。
ということは、うわさやゴッシップとは違って、Scuttlebutt はむしろ良い意味に使われている-英和辞典ではこの辺の違いがよく分かりません。
Scuttlebutt のもともとの意味は、船上の樽で、ここに1日分の真水を入れていました。
船乗りたちがここで水を飲みながら会話を交わしたことから、うわさやゴシップを意味するようになったと言われています。
フィッシャーは Scuttlebutt という言葉を grapevine という言葉とともに使っていますが、彼はどちらの言葉も、実体のないうわさやゴシップと違って、何らかの真実味をもった秘密の情報といったニュアンスで使っています。
どの株式に投資するか、そしてどの株式は避けるべきか。
これを検討する上で、投資候補先の社員、元社員、顧客、納入業者、競争相手から
「その会社に関する情報(“Scuttlebutt”、“Grapevine”)を取れ」
と説いているのです。
彼はまた情報の取り方についても詳しく説明しています。
たとえば情報を入手する際、誰からこの話を聞いたのか、情報ソースについては絶対に秘匿する-このことを情報提供者に信じ込ませることが重要だと言います。
これを信じ込ませれば、多くの場合、正確な情報が取れる。
ただ元社員から情報を入手する場合には、その社員がどうして会社を辞めることになったのかを同時に知る必要がある・・・
などと、かなり丁寧に投資に役立つ情報の入手の仕方を説いています。
フィリップ・フィッシャーの息子のケニス・フィッシャーは、父親のこの部分のセクションに次のように解説を加えています。
「“Scuttlebutt を使え”とは、要は Wall Street の情報に頼るのではなくて、Main Street の情報を取れということだ。このことを守っていれば2000年直前のドット・コム・バブルのときに価値のほとんどない会社の株に投資して傷つくこともなかったであろうし、Enron や Tyco、WorldCom のような会社の株に投資してしまうといったミスも犯さないで済んだはずだ」
Wall Street ではなくて Main Street。
これはオバマ大統領が好んで使う言葉なのでご存知の方も多いと思いますが、アメリカの多くの都市の中心を走るのがメイン・ストリート。人々がそこに集まり、生産活動、消費活動を営んでいます。
これに対して、ウォール・ストリートはニューヨーク・マンハッタンの短いストリート。株式市場があり証券会社が活動する場です(『こちら』を参照)。
要は証券会社や投資銀行、あるいは株式アナリストたちの言葉に惑わされずに、現場から情報を取れ、投資候補先の社員、元社員、顧客、納入業者、競争相手などに直接アプローチしろと説いているのです。
つまり投資に際しては、証券会社やアナリストたちのフィルターを通した情報ではなくて、出来るだけ生の情報を多面的ソースから取ることが重要なのです。
次回はフィッシャーの15のポイントについて説明します。
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