保守的な投資家はよく眠る (4)
これ以上、フィリップ・フィッシャーの本について書くと、書評の域を超えてしまいそうです。
私は彼の本の翻訳権を持っている訳でもないので、今回で最終回にします。
ご興味のある方は是非、原書をお読みになってみてください。
さてフィッシャーの15原則ですが、グーグルで「フィリップ・フィッシャー」と検索をかければ日本語でも英語でも15原則が出てきます(15原則は Wikipedia で彼を説明するページにも出てきます)。
しかしほんとうにためになるのは、15原則の言葉そのものよりも、ひとつひとつに対する彼の説明。
そういった観点からも彼の本をお読みになることをお勧めします(15原則の説明の部分は全部でもたったの32ページです)。
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前回のブログ記事で、フィッシャーは「いったん投資した以上、3年間は持つ」という3年ルールを堅持していたと記しました。
フィッシャーの3年ルールは、同時に、「3年経っても自分が思ったような結果を投資先が生まない場合はその時点で売る」というものです。
しかしすべてのルールに例外があるように彼は1度だけこのルールを破ったことがあると述べています。
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フィリップ・フィッシャーは96歳で亡くなりましたが、92歳くらいまでは現役で働いていました。
しかし息子さんのケニス・フィッシャーによると、
70歳を超えたあたりからのフィリップ・フィッシャーの投資判断は間違えてしまうことの方が多かった、
70歳で現役引退していれば経済的にはもっと裕福だった、とのこと。
ケニス・フィッシャーいわく
「人によって “年を取る” あるいは “老いる” 年齢は違う。
しかしもしあなたが投資家ならば、年を取った後、老いた後では、投資判断はしないことだ」
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そう言えば先週末(5月4日)、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの年次総会が開かれました。
2012年1年間のバークシャー・ハサウェイの成績は14.4%。
またしても市場平均値S&P500 の 16.0% に割り負けました。
バフェットのここ4年間の成績は1勝3敗。
現在82歳のバフェットはまだまだしっかりしていますが、20年くらい前の彼と比べるとやはり差を感じてしまいます(両方のスピーチを聞き比べても差は歴然です)。
と言うか、20年くらいの前のバフェットの頭の回転の早さ、鋭さは尋常ではありませんでした・・。
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最後に「保守的な投資」について一言。
フィッシャーによれば、「保守的な投資(conservative investment)とはあなたの資産をconserve (保持する)ものでなければならない」
なるほど conservative の動詞は conserve でした。 Conserve とは、to protect from loss or harm もしくは to preserve するとの意味。
つまり減らさない投資が保守的な投資ということです。
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