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2013年5月13日 (月)

株価の見通し(その1)

これまで日本株は急ピッチで上昇してきましたが、今後もこの傾向は続くのでしょうか?

続くとするといつまで?

今後の株価を見通すうえでは、その前段階の作業として、

「昨年11月以降これまで続いてきている株価上昇の要因」

を把握することが重要になってきます。

そしてこの要因としては次の3つが考えられます。

これら3つがすべてそろったからこそ、株価はこれまで順調に上昇してきていて、いまも上昇トレンドにあると言えるのだと思います。

①金融緩和(アベノミクス) 

②米国の景気回復 

③13.1兆円の超大型補正予算(2月14日可決)などによる財政支出

このうち日本のマスコミでは ①ばかりが注目されていますが、②と③も同じように重要。

たとえば先日発表されたトヨタの決算を見てみます。

Toyota1_2

右側が今年3月末までの1年間の実績(クルマの販売台数)。

左側が前年(2011年4月~12年3月)。

ここ1年間で販売台数は21%増加。

内訳は:

日本10%増

北米32%増

欧州0.1%増

といった具合。

ただし日本でのプラスはエコカー補助金効果による影響がかなり効いています。

この辺の事情は、これから先1年間の見通しを見るともっとクリアーに理解できます。

Toyota2

左側が今年3月末までの1年間の実績(クルマの販売台数)。

右側が今年度(2013年4月~14年3月)の見通し。

内訳は:

日本▲7%減

北米7%増

欧州4%増

といった具合。

日本はエコカー補助金が終了してしまったことの影響により、今年度はマイナス成長。

しかし北米を中心とする日本以外の地域の売上げ増が寄与し、トヨタ全体としては3%の販売台数増を見込んでいます。

このようにトヨタの業績回復の裏側には、北米、とくに米国における景気回復が大きく影響しているのです。

[(注)そもそもトヨタの販売台数の77%が日本以外の地域における販売。北米がそのうち38%を占める(今年度見通しベース)]

「なるほど米国の景気回復の影響は分かった。しかしそうは言ってもトヨタの調子が良いのは、アベノミクスによる円安の影響、つまり為替要因が圧倒的に大きく作用しているからではないか」

そう思っている方もたくさんいるでしょう。

もう少しトヨタの決算の中身を見てみましょう。

2011年4月~12年3月のトヨタの営業利益は3,556億円。

それが前期(2012年4月~13年3月)には1兆3,208億円になりました。

すなわち対前年度比で、9,652億円も営業利益を拡大させたのですが、

このうち為替が円安に好転したことの影響はどのくらいを占めるのでしょうか。

約半分の4,800億円くらいでしょうか。

いいえ、違います。

意外に思われるかもしれませんが、為替変動の影響は1,500億円。

全体の16%です。

ではいったい何が営業利益をこれだけ拡大させたのか。

その要因分析の結果は下図の通り(トヨタのウェブサイトに載っています)。

Toyota3_4

なお上の図3つは、何れも、図の上でクリックすれば約2~3倍に大きくなり、図中の文字が読めるようになります。

以上、トヨタの決算から読み取ることが出来るのは、

①アベノミクスによる金融緩和、円安がプラスのインパクトを与えた

②しかしそれに勝るとも劣らないのが米国の景気回復の影響

③さらに地道な企業努力が奏功した

ところで米国の景気回復ですが、これが一番顕著に現れているのは米国の株価でしょう。

ダウ平均株価は今年3月5日に14,253.77ドルをつけて、史上最高値を更新。

ダウはその後も史上最高値を幾度となく更新し続け、先週末には15,118.49ドルでクローズするに至っています。

失業率も10%から下落を続け、7.5%にまで改善してきました。

Dol_3
  Dol2_2

こうした諸条件、外部環境要因(注:冒頭の①~③)が重なって示現した日本の株高。

ポイントは

この株高がどこまで行くか、

個人投資家のみなさんが今から参戦しても遅くないのか、

いつ下降局面に入ると予想されるか、

ですが、これらについては次回以降に見ていきましょう。

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