アナリスト・レポートを読む
2007年から開始したので、早いもので今年で7年目になりますが、引き続き大阪経済大学大学院で教えています。
土曜日の朝9時。
新幹線で東京を発ち、1時から4時まで講義。
夜8時頃東京に戻ってきます。
講義にあたって留意していることは、毎年講義内容を変えるということ。
2011年はケーススタディとしてアップルを取り上げ、2012年はシャープを教材にしました。
今年はトヨタ。
講義の基本はDCF分析で理論株価を算出していくというものですが、今年はセルサイド・アナリスト(sell-side analyst)のレポートをどう活用すべきかといった点についても触れていきたいと思います。
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セルサイド・アナリストとは、投資銀行や証券会社の株式調査部に所属するアナリスト。
「〇〇社の株式はこれから先、△△円くらいなると考えられます」といった調査レポートを出します。
投資銀行や証券会社の株式部のセールス部隊は、このレポートを持って顧客である機関投資家(生損保など)を訪問。
「〇〇社の株を買ったらどうですか」あるいは「売ったらどうですか」と勧めます。
一方、バイサイド・アナリスト(buy-side analysts)は機関投資家・資産運用会社に所属。
自社のファンドマネージャーが投資先を選定したり、ポートフォリオの中身を変更する際に必要なレポートを作成。ファンドの運用成績向上のサポートをします。
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生命保険会社や損害保険会社の運用企画部、株式投資部、株式部といった部署を訪れると投資銀行や証券会社などが持ちこんでくるセルサイド・アナリストの調査レポートが山ほど積まれていることがあります。
個人投資家の方がこれらのレポートを手にすることは可能なのでしょうか。
取引している証券会社の証券マンや証券レディに頼めば、その証券会社のアナリストが書いたレポートであれば持ってきてくれます。
しかし安易に頼むと「その後、株の売り込みの電話がたくさんかかってきてたまらない」と躊躇する投資家の方も多いかもしれません。
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例えばトヨタについてセルサイドのアナリストたちはどういったレポートを書いているのでしょうか?
IFIS(『こちら』)によると、アナリスト13人が予想するトヨタの経常利益予想平均値は、2兆4700億円。
目標株価の平均値は7,589円。
現状の株価(26日、午前引値)である 6,220円からはかなり乖離しています。
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もう少し詳しく内容を知るにはやはり個別のアナリストレポートを読んでみる必要があります。
個人が簡便に(たとえ取引している証券会社がまだなくとも)個別のアナリストレポートを読むことは出来ないでしょうか。
グーグルで例えば「トヨタ 株式調査レポート アナリストレポート」の3つの単語を入れて検索すればヒットするアナリストレポートもあります。
しかしこれらの中にはキャッシュフローモデルや収益モデルを載せていないものが多く、あまり参考になりません。
ネット証券などでとりあえず口座だけ開いてみるのはどうでしょう。
そうすれば提携の投資銀行や調査会社のレポートを入手することができます。
たとえばマネックス証券に口座をお持ちの方はJPモルガンの調査レポートをダウンロードしてみてください。
トヨタの目標株価を9,000円とするレポートが出てきます。
23ページからなるこのレポートには収益モデルやキャッシュフロー展開表が記されています。
最後に、個人投資家の人たちはこれらの調査レポートとどう接していけばいいのでしょうか。
明日の(大阪経済大学での)講義ではこの辺についても触れていきたいと思います。
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