米国連邦政府機関の一部閉鎖問題
この問題については一部誤解もあるようなので整理しておきます。
米国連邦政府の一時閉鎖(Government Shutdown)についてはこのブログでも何度か書いてきました。
2011年4月9日 米国連邦政府の一時閉鎖 (Government Shutdown)
2011年4月9日 シャットダウンの回避
2011年7月16日 米国債(政府債務残高上限問題)
2012年10月30日 財政の崖(Fiscal Cliff)
ということで、多くの日本人は「米国連邦政府の一時閉鎖の可能性」のニュースを見ても、「なんだ、またか」くらいの感想しか持っていないのかもしれません。
「どうせ最後の最後では共和党・民主党の妥協が成立し、シャットダウンは回避されるのではないか」といった感想です。
しかし今朝のニュースを見て一部の人は疑問に思ったかもしれません。
「米国連邦政府の資金が底をつく(資金繰りがつかなくなる)のは、10月17日頃ではなかったのか」
「それがなぜ急に明日(10月1日)からシャットダウンなのか」
冒頭私が一部には誤解があると述べたのはこのことです。
今回の米国連邦政府機関の一部閉鎖問題には実は2つの問題がからんでいます(といっても根っこは同じなのですが・・)。
一つは債務上限問題。
現在の上限は16.7兆ドル(1650兆円)。
この上限を引き上げないことには米国債がデフォルトしてしまう。ルー米財務長官によればこの期限が10月17日頃に到来するとのこと。
もう一つの問題が国家予算。
日本政府の会計年度は4月1日から翌年3月31日ですが、米国政府は前年の10月1日から9月30日まで。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが、2013年度の会計年度(FY13)は、2012年10月1日~2013年9月30日です(詳しくは『こちら』)。
ということで今日が会計年度の最終日。
そして明日(10月1日)から新しい会計年度(2014年度)となるのですが、この予算が成立していません。
9月20日に12月15日までの予算措置を講じた暫定予算を下院(共和党多数)が可決しましたが、オバマケア(健康保険)関連予算の削減が盛り込まれていたため、上院(民主党多数)での成立の見込みが立っていません。
米国連邦政府機関の一時閉鎖(Government Shutdown)に追い込まれれば、パスポート、査証の発給は出来なくなり、国立公園は閉鎖されます(追記:10月2日現在、東京のアメリカ大使館では査証の発給が行われているようです)。
今週4日に予定されている米雇用統計の発表が延期になることもあり得ます。
クリントン政権時代。
1995年11月14日~15日と1995年12月16日~1996年1月6日までの合計28日間、米連邦政府の一部はシャットダウンしました(『こちら』)。
このときの米国経済は堅調でしたが、今回はまだ病み上がりの状況。
さらに1996年は大統領選挙の年でドール上院議員(共和党;この年の大統領選でクリントンの対抗馬となった)がシャットダウン終焉に向けて動いたといった経緯もあります。
しかしオバマは今年2期目に入ったばかり。次の大統領選挙は2016年。安易には妥協に応じないと見られるだけに、シャットダウンの可能性は高いと指摘する人たちが多くなってきました。
こうした状況下、当面円高、株安になるのは避けられない見込みです。