賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ。
18篇のエッセイが収められています。
うち17篇は「Men's JORKER」誌2012年7月号~2013年11月号に掲載されたもの。
以前にこのブログ(2012年5月30日付「人を突き動かし、考えさせるもの」)でご紹介した『櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。』の続編にあたります。
読み終えた後。
今でも鮮明に情景が頭に残っているのが、第14篇の「父の葬儀の夜に」。
88歳の父の葬儀を終えた後の夜。
これといって何をする気にもなれずに、ただ一人でウィスキーを飲む・・
そして著者が小学生の頃に父と観た映画「アルジェの戦い」。
このDVDを、ウィスキーを飲みながら見て、かつて父にこの映画の「主人公、アリを思い出せ」と言われたことを思い出す・・
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18篇目のエッセイは唯一の書き下ろしの作品(表題:「賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ。」)。
32歳の脱北者、女性兵士の話が鮮烈でした。
(以下、本書196頁より)
『彼女は大切に財布に入れていた一枚の写真をわたしに見せた。
幼児の写真だった。
「これは彼の1歳の誕生日で、その1年後、飢えで死んだ」
32歳だという彼女は、息子が飢えで衰弱していく様子を詳しく語った。
ありとあらゆる食料が尽き、最後には、松の木の樹皮を煮て食べたそうだ。
樹皮をていねいに剥がし、石で叩いて、そのあと数回煮るのだと言った。
腹はふくれるが、もちろん栄養価はゼロだ。
一人息子が飢え死にしたあと、他に残った家族に食料を送るために、彼女は脱北した。』
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政治の本来の目的は「民のため」(Government of the people, by the people, for the people)であるはず。
政治家や高級官僚が、このことを忘れてしまうと、こうした悲劇が起こりえます。
私の親や親戚から聞いた話ですが、日本でも戦争中や戦後直後、「地に生えている雑草を食べた」のだとか・・・
この脱北者、女性兵士の話は、村上龍が小説『半島を出よ』を書くにあたってソウルの脱北者コミュニティに出かけて行き、そこで取材した話だと言います。
『半島を出よ』を読んでみようと思いました。
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