このブログでも何回か(たとえば『こちら』)紹介してきた『チャーリー・ローズ・ショー』。
これまでにもブッシュ大統領(父親も息子も)、クリントン大統領、ヒラリー・クリントン国務長官、オバマ大統領、マフムード・アッバース(パレスチナ自治政府大統領)といった政治家をはじめとして、チャールズ・M・シュルツ(漫画家)、J・K・ローリング(児童文学作家)、マイケル・アイズナー(ウォルト・ディズニーCEO)といった各界の著名人がゲストとして呼ばれています(上記の肩書は一部当時のもの;なお主なゲストのリストは『こちら』)。
その『チャーリー・ローズ・ショー』に昨日ゲストとして出演していたのがソフトバンクの孫社長。
私が知る限りでは日本人としてゲスト出演したのは昨日の孫さんが最初じゃないかと思います。
32分間のインタビューですが、面白かったです。
詳しくは 『こちら』 でインタビューの動画(英語)をご覧いただきたいのですが、以下は私が興味深く思った箇所の「ホンのさわり」の部分です。
【1】米国商工会議所でのスピーチ
(チャーリー) あなたは今週ワシントンDCの米国商工会議所(US Chamber of Commerce)でスピーチをするというが、Wireless Revolution について何を話すつもりか。
(孫社長) モバイル・インターネットのインフラについて、ある調査によると米国は16か国のうち15位だ。米国を下回るのはフィリピンのみ。
(チャーリー) これは何の順位なのか。
(孫社長) LTEのスピードだ。
(チャーリー) 米国ではヴェライゾンとAT&Tの2社の市場占有率が60%を超えている。あなたはこのことが理由だと考えているのですね…。
【2】Tモバイル
(チャーリー) Tom Wheeler がFCCの会長をしている。彼は、市場においてたくさんの競争があるべきだと考えている。一般論としては、彼は同じ業界内の、たとえばスプリントとTモバイルとの合併には賛成しない…。
(孫社長) 現状ではヴェライゾンとAT&Tの2社が市場全体の100%以上のフリーキャッシュフローを獲得している…。
(チャーリー) もしあなたがTモバイルを買収することができれば、米国の事業者として何をすることができるのか。
(孫社長) 上位2社に対抗できるだけのスケールを持てれば、価格、テクノロジーの面で戦いを仕掛けることができる…。
【3】日本での生い立ちについて
(チャーリー) 日本で生まれ育つというのはどうだったのか。
(孫社長) 簡単ではなかった。日本はhomogeneous な国。文化、人種ともひとつなので、アウトサイダーだとみなされると簡単ではない。
【4】iPhone の日本での取り扱いについて
(チャーリー) スティーブ・ジョブズが iPhone を扱う携帯電話会社を探していた時にあなたは「私だ」と言ったのですね。
(孫社長) それはスティーブ・ジョブズが iPhone をintroduce する2年も前のことだ。もし私が携帯電話会社の世界に参入するとするなら、武器が必要だと考えた。そこでスティーブ・ジョブズを訪問して iPhone を取り扱わせてほしいと頼んだ。これは私がヴォーダフォン・ジャパンを買収して携帯電話会社ビジネスに参入する前のことだ。
【5】ドット・コム・バスト(dot-com bust)
(チャーリー) ドット・コム・バスト(dot-com bust)のときはあなたに何がおきたのか。
(孫社長) ソフトバンクの株はどんどん上がり、3日間だけ私はビル・ゲイツよりも金持ちになった。3日間だけソフトバンクの時価総額は $ 200 billion となった。その後、株価は$ 2 billion まで落ちた。1年で99%下落した。
(チャーリー) (99%の下落で)あなたの個人資産はどう変化したのか。
(孫社長) (あのときは) $ 70 billion から $ 600 million になった。
【6】フェイスブックによるワッツアップ買収
(チャーリー) フェイスブックによるワッツアップ買収についてどう思うか。
(孫社長) ひじょうに賢い動きだ。
(チャーリー) ということは、あなたが(フェイスブックと)同じ立場だったら、同じ金額を出して買収していたということか。
(孫社長) 疑いの余地なく買収していた。
【7】安倍首相について
(チャーリー) (現在の日本の)総理についてどう思うか
(孫社長) 彼は頭のいい人だ。もちろん彼が行っていることのすべてに賛成しているわけではないが…
(チャーリー) なんについて賛成しないのか。
(孫社長) 私を窮地に立たせないでくれ(Don't give me that position)。そういった質問に答えると日本に帰ってから困ることになる。
(チャーリー) 安倍首相は too nationalistic だと思うか。
(孫社長) 彼はもっと balanced になりうると思う。少なくとも人々が「彼はもっとbalanced であるとみるようになる」(ことがのぞましい)…少なくとも彼はあまり balanced であるとみられていない…これは彼にとっても日本にとっても良いことではない。
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ゲストが答えにくい質問こそが、往々にして視聴者がもっとも知りたいこと。
チャーリーは、相変わらずそういった質問を浴びせ、孫社長はときに笑いを交えながらみごとに応対していました。