6550万年前の天体衝突
直訳すると、『チクシュルーブ・クレーターを発生せしめた小惑星衝突で産み出された「硫酸塩に富んだ蒸気」とこれがもたらした海洋酸性化について』ということになるんでしょうか…
『Production of sulphate-rich vapour during the Chicxulub impact and implications for ocean acidification』と題する論文が3月9日にNature Geoscience に発表されました。
『こちら』 がそのときのNature Geoscienceの要約。
論文の全文は上記サイトに入って、3,300円払えば入手できます。
日本語でエッセンスを知りたい方は千葉工業大学の惑星探査研究センターが発表した『論文情報』を 『こちら』 でダウンロードできます。
実は(気づかれた方も多いと思いますが)、この論文についてはすでにNHKテレビが報じ、他の多くのマスコミでも報じていました(たとえば 『こちら』)。
いったいなぜ?
こう思われた方も多いかもしれません。
約6550万年前にメキシコ・ユカタン半島に衝突した小惑星(巨大隕石)。
その結果できたのが現在のチクシュルーブ・クレーターです(『こちら』)。
この衝突で地球の環境が激変し、地球上の全生物種の半分以上が絶滅したとされています。
しかしそれではいったいそのメカニズムはどういうものであったのでしょうか…
これまで、隕石衝突で放出されたちりが日射を遮り寒冷化が起きたとする説など、さまざまな説が提唱されてきています。
しかしそのどれもが海の生物の絶滅をうまく説明できないでいました。
千葉工業大学の論文はそこを説明する画期的なものとして注目を集めたのです(論文では隕石衝突を模した実験でインパクトの影響を突き止めていきました)。
それにしても、約6550万年前に起きた天体衝突は想像を絶するものでした。
小惑星の大きさは直径10-15km。
地表に対して約30度で、南南東の方向から地球に衝突。
衝突速度は秒速約20kmと推定されています。
この衝撃によって引き起こされた地震はマグニチュード11以上と推定され、なんと 300mに達する津波が起こりました。
論文の著者の一人、松井孝典先生が今月18日講談社ブルーバックスから分かりやすい本を出しています(『こちら』)。
YouTubeで松井先生の講義を聴くこともできます(『こちら』)。