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2014年4月27日 (日)

6550万年前の天体衝突

直訳すると、『チクシュルーブ・クレーターを発生せしめた小惑星衝突で産み出された「硫酸塩に富んだ蒸気」とこれがもたらした海洋酸性化について』ということになるんでしょうか…

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『Production of sulphate-rich vapour during the Chicxulub impact and implications for ocean acidification』と題する論文が3月9日にNature Geoscience に発表されました。

『こちら』 がそのときのNature Geoscienceの要約。

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論文の全文は上記サイトに入って、3,300円払えば入手できます。

日本語でエッセンスを知りたい方は千葉工業大学の惑星探査研究センターが発表した『論文情報』を 『こちら』 でダウンロードできます。

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実は(気づかれた方も多いと思いますが)、この論文についてはすでにNHKテレビが報じ、他の多くのマスコミでも報じていました(たとえば 『こちら』)。

いったいなぜ?

こう思われた方も多いかもしれません。

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約6550万年前にメキシコ・ユカタン半島に衝突した小惑星(巨大隕石)。

その結果できたのが現在のチクシュルーブ・クレーターです(『こちら』)。

この衝突で地球の環境が激変し、地球上の全生物種の半分以上が絶滅したとされています。

しかしそれではいったいそのメカニズムはどういうものであったのでしょうか…

これまで、隕石衝突で放出されたちりが日射を遮り寒冷化が起きたとする説など、さまざまな説が提唱されてきています。

しかしそのどれもが海の生物の絶滅をうまく説明できないでいました。

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千葉工業大学の論文はそこを説明する画期的なものとして注目を集めたのです(論文では隕石衝突を模した実験でインパクトの影響を突き止めていきました)。

それにしても、約6550万年前に起きた天体衝突は想像を絶するものでした。

小惑星の大きさは直径10-15km。

地表に対して約30度で、南南東の方向から地球に衝突。

衝突速度は秒速約20kmと推定されています。

この衝撃によって引き起こされた地震はマグニチュード11以上と推定され、なんと 300mに達する津波が起こりました。

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論文の著者の一人、松井孝典先生が今月18日講談社ブルーバックスから分かりやすい本を出しています(『こちら』)。

YouTubeで松井先生の講義を聴くこともできます(『こちら』)。

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2014年4月19日 (土)

東京証券取引所での講演

東京証券取引所で講演をします。

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日時:5月16日(金) 18:30 ~ 20:00 (開場 18:00)

タイトル:「気弱な人が成功する株式投資」

会場:東京証券取引所ビル 2階 東証ホール

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定員:200名(先着申込順)

受講料:無料(どなたでも参加できます)

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詳細は『こちら』

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『こちら』 からお申込み頂けます。(先着順なのでご関心のある方は早めにお申し込みください)。

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2014年4月17日 (木)

レクサスの香り

本日の日経新聞では、「トヨタ、米で現代自封じ」と報じられていましたが、ニューヨーク国際自動車ショーで発表されたトヨタ・カムリと現代自のソナタを比べると、確かにデザイン的にはカムリが一歩先を行っているように感じます。

下の2枚の写真がカムリ。

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「エッジの効いた輪郭でレクサスの香りがする」と米国で報じられています(『こちら』)。

これに比べると、ニューヨーク国際自動車ショーで発表された現代自のソナタ(下記)のデザインはやや平板。

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ところで、カムリが最初に米国で販売されたのは、1983年。

当時私はシカゴに住んでいました。

近くのディーラーが、「Camry is here」と大きな垂れ幕を掲げていたのが印象的でした。

(人気があって一時は3カ月待ちくらいだったように思います)。

以来、30年間で累計販売台数1000万台突破を達成。

過去12年間、毎年連続で、「米国でもっとも売れているセダン」としての記録を保持し、現在米国の50家族に1家族はカムリを所有しているのだとか…(『こちら』)。

日本でいま走っているカムリ(下の写真)は、端正な顔立ちで、ややおとなしいイメージですが、米国仕様の2015モデルのようであれば、ちょっと乗ってみたい気がします。

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2014年4月15日 (火)

世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄高

昨晩は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

番組の中で総務省家計調査結果をご紹介しましたが、オリジナルデータは『こちら』

この調査における「貯蓄額」には、銀行預貯金のみならず、株などの有価証券、生命保険も含みますので、「金融資産残高」と読み替えてもよいかもしれません。

これを見ると、「世帯主が60歳以上の2人以上の世帯」の半数が、「貯蓄額」1522万円以下。

一方で、「貯蓄額」4000万円以上の世帯が16.7%。

グラフにしてみると、下図のような状況。

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グラフはクリックすると大きくなります。

なお番組の再放送は:4月17日(木) 21:15~

また『こちら』 のサイトでもご覧になることが出来ます(サイトを開いてから現れる右上の窓をクリックしてください)。

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2014年4月12日 (土)

ロシア5人組

1860年代の帝政ロシア。

1862年にはペテルブルグ音楽院(院長:アントン・ルビンシテイン)が、そして1866年には、モスクワ音楽院(院長:ニコライ・ルビンシテイン)が設立されています。

(1862年、当時22歳のチャイコフスキーも設立されたばかりのペテルブルグ音楽院に入学)。

この2つの音楽院を設立したアントンとニコライのルビンシテイン兄弟は西欧的な音楽を求めました。

これに対して、ロシア独自の民俗性を志向したのが、ロシア5人組と称される、バラキレフ、キュイ、ムソルグスキー、ボロディン、リムスキー=コルサコフの5人。

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     (ボロディン:オペラ「イーゴリ公」より)

「5人組の顕著な特徴はオリエンタリズムをよりどころとしているところである」(One hallmark of "The Five" was its reliance on orientalism)と言われています(『こちら』)。

ところで、5人組の1人、ボロディンが残したオペラ「イーゴリ公」。

彼はこれを完成させることなく他界(1887年)してしまい、リムスキー=コルサコフとグラズノフが加筆・補筆して完成させた「標準版」が普及しました(注:ほかにもいろいろなバージョンがあります)。

この作品の中の「ダッタン人(韃靼人)の踊り」はひじょうに有名な旋律(『こちら』)。

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もっともこれを「ダッタン人(韃靼人)の踊り」と呼んでいるのはどうやら日本だけのようで、英語ではPolovtsian Dances (ポーロヴェッツ人の踊り)。

音楽学者、一柳富美子さんによれば、「韃靼人は13~15世紀のモンゴル系遊牧民の総称で、イーゴリ公の時代には存在が確認されていない。

イーゴリ公らを脅かしたのはトルコ系遊牧民族のポーロヴェッツ人。

いつ、どのように、日本でこの2つの遊牧民が混同されてしまったのかよく分からない」。

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「韃靼人の踊り」(Polovtsian Dances)、日本ではJR東海の「いま、ふたたびの奈良へ」のCMで使われています(『こちら』)。

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2014年4月 6日 (日)

君をのせて

東京サントリー・ホールで行われた「東日本大震災復興支援チャリティ・コンサート」に行ってきました。

チェリストの宮田大さんが、「バッハの無伴奏チェロ組曲第1番~プレリュード」、「サン=サーンスの白鳥」などを演奏。

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          (宮田大さん)

本日は、ほんの1~2分ですが宮田さんへのインタビューも行われました。

宮田さんは、ヴァイオリンを教える専門家のお母さんから2歳のときに、チェロではなくヴァイオリンを習い始めたと言います。

ところが幼いころの宮田さんは少しもじっとしていない子供だったらしい…。

困り果てたお母さんは「チェロなら座って弾くから」と、宮田さんが3歳の時にヴァイオリンからチェロに変えさせたのだとか…。

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          (ロストロポーヴィチ)     

ところで上の写真は、20世紀後半のチェロの大巨匠、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927~2007)。

その彼の名前を冠した「ロストロポーヴィチ国際チェロコンクール」 が、1977年より4年に1度、パリで開かれてきました。

チェロ部門の国際音楽コンクールの最高峰とされるこのコンクールで、日本人として初めて優勝(2009年)したのが宮田大さん。

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さて本日盛大な拍手の中、演奏を終えた宮田さんが客席からのアンコールに応えて弾いた曲が、久石譲さんの「君をのせて」。

天空の城ラピュタ(1986年)に登場する曲です。

「風の谷のナウシカ」(1984年)以来、「風立ちぬ」(2013年)に至る29年間すべての宮崎駿監督長編アニメ作品の音楽を手掛けた久石譲さん。

幾多の名曲がありますが、私は、本日宮田さんが選んだ「君をのせて」と、サラ・ブライトマンのアルバムにもある「風のとおり道」(1988年、となりのトトロより)の2曲がとくに好きです。

『こちら』は「君をのせて」の英語版。YouTubeで400万以上ダウンロードされています。

サラ・ブライトマンの「風のとおり道」は、36秒ですが 『こちら』で試聴できます。

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2014年4月 3日 (木)

プレゼンする力

30年以上も前のことですが、スタンフォードのビジネス・スクールで「プレゼン力向上のための授業」(How to improve your presentation skills)を受けたことがあります。

一人ひとりの学生がプレゼンするところをビデオカメラで撮影し、教授とクラスメートとがそれを見て批評するといった内容。

撮影されたビデオを通してみると、自分がどんな風に見えるのかが分かり、がっかりしたのを覚えています。

* * * * *

ところで、最近の日本の若い方たちは、(私の世代と違って)プレゼンに対する意識が高く、なおかつ実際にプレゼンが上手い人が多いように思います。

プレゼンの巧拙で仕事が取れたり取れなかったりすることもあるのですから、プレゼン力を磨くのはやはり重要。

実際にたとえば書店を覘くと、『世界最高のプレゼン術』とか、『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』といった本が並んでいます。

そんな中で私が本日読んだ本は、『心を動かす!「伝える」技術』

       Presentation

この本の特徴は全体の90%以上がブエノスアイレスで行われた日本チームによる五輪招致プレゼンの分析に割かれている点。

具体的事例に基づいて話が進められているだけあって、ひじょうに面白く読めました。

* * * * *

実際、ブエノスアイレスでのプレゼンは次のように進められました。

     *

・高円宮妃によるイントロダクション(仏語のあと英語)

・佐藤真海 3分56秒

 映像「フィール・ザ・パルス」

・竹田恆和 3分37秒

・水野正人 3分25秒

 映像「選手村&球技会場案内」

・猪瀬直樹 3分13秒

・滝川クリステル 2分24秒

・太田雄貴 2分27秒

・安倍晋三 5分13秒

 映像「シェア・ザ・パルス」

・竹田恆和 4分35秒

     *

プレゼン・コンサルタントのニック・バーリー氏は、どうしてこのような構成にしたのでしょうか。

一般にプレゼンではとくに最初(たとえば冒頭の30秒)が肝心と言われています。

まず最初の段階で聴衆をひきつけなければなりません。

ニック・バーリー氏はここで聴衆に「あっ、と言わせる瞬間を用意する」ことを考えたのだとか…。

そして最初に佐藤さんをもってくることによって、3つの「あっ、と言わせる瞬間」を仕掛けたとのことですが、はたしてそれらはいったい何だったのでしょうか…。

詳しくは本書をお読みになって頂きたいのですが、本書は単なるハウツー本を超えた本であり、読み物としても、面白く読めるものでした。

 

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