プレゼンする力
30年以上も前のことですが、スタンフォードのビジネス・スクールで「プレゼン力向上のための授業」(How to improve your presentation skills)を受けたことがあります。
一人ひとりの学生がプレゼンするところをビデオカメラで撮影し、教授とクラスメートとがそれを見て批評するといった内容。
撮影されたビデオを通してみると、自分がどんな風に見えるのかが分かり、がっかりしたのを覚えています。
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ところで、最近の日本の若い方たちは、(私の世代と違って)プレゼンに対する意識が高く、なおかつ実際にプレゼンが上手い人が多いように思います。
プレゼンの巧拙で仕事が取れたり取れなかったりすることもあるのですから、プレゼン力を磨くのはやはり重要。
実際にたとえば書店を覘くと、『世界最高のプレゼン術』とか、『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』といった本が並んでいます。
そんな中で私が本日読んだ本は、『心を動かす!「伝える」技術』。
この本の特徴は全体の90%以上がブエノスアイレスで行われた日本チームによる五輪招致プレゼンの分析に割かれている点。
具体的事例に基づいて話が進められているだけあって、ひじょうに面白く読めました。
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実際、ブエノスアイレスでのプレゼンは次のように進められました。
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・高円宮妃によるイントロダクション(仏語のあと英語)
・佐藤真海 3分56秒
映像「フィール・ザ・パルス」
・竹田恆和 3分37秒
・水野正人 3分25秒
映像「選手村&球技会場案内」
・猪瀬直樹 3分13秒
・滝川クリステル 2分24秒
・太田雄貴 2分27秒
・安倍晋三 5分13秒
映像「シェア・ザ・パルス」
・竹田恆和 4分35秒
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プレゼン・コンサルタントのニック・バーリー氏は、どうしてこのような構成にしたのでしょうか。
一般にプレゼンではとくに最初(たとえば冒頭の30秒)が肝心と言われています。
まず最初の段階で聴衆をひきつけなければなりません。
ニック・バーリー氏はここで聴衆に「あっ、と言わせる瞬間を用意する」ことを考えたのだとか…。
そして最初に佐藤さんをもってくることによって、3つの「あっ、と言わせる瞬間」を仕掛けたとのことですが、はたしてそれらはいったい何だったのでしょうか…。
詳しくは本書をお読みになって頂きたいのですが、本書は単なるハウツー本を超えた本であり、読み物としても、面白く読めるものでした。
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