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2014年6月29日 (日)

株式相場

明日は6月30日。

早いもので、今年もそろそろ半分が終わろうとしています。

改めて、「株式相場を見通す」というのは難しいものだと感じます。

たとえば今年の初めに日経新聞が経済界の首脳20名に対して行ったアンケート調査。

2014132


2014年の1年間を通じて日経平均が14,000円割れとなることも有り得ると予想していたのは4名。

Nikkei225

しかし、実際にはすでに4月11日~15日にかけて日経平均は14,000円割れとなってしまいました。

(上記は終値ベースの話。時間内取引ベースでは5月19日にも一時ですが14,000円割れ)。

「たかがアンケートじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。

しかし日経新聞に各社社長の写真とともに見通しが載るものですから、どこもそれなりに「社の英知を結集して」対応しているようです。

たとえば金融機関のA社では社長秘書室に送られてきたアンケート用紙は、経済調査部長に送付され、部内での議論を経て回答原案が練られる…。

そしてそれは、部長→担当常務→社長へと報告・決裁されていくといった感じ。

にもかかわらず、「14,000円割れも有り得る」と予想したのは20名中4名、つまり打率2割といった状況です。

このなかで新聞のアンケート欄の一番上に出ているダイキン工業の井上会長は、「14,000円割れ」の時期まで「4月」とピタリと当てられています。

* * * * *

実のところ今年の相場はそんなに大きなブレもなくこれまで推移してきており、例年に比べて見通すのが比較的簡単でした。

4月に消費税増税があるのは年初から分かっていましたし、2~3月には駆け込み需要があるのも見通せました。

そして4月の増税後のシナリオですが、当初から次の2つの何れかになると考えられていました。

(1)増税の影響はさほどひどいものではない(→株価は徐々に持ち直し)

(2)増税の影響で景気が冷え込む(→日銀が追加緩和へ)

つまりどちらのルートを辿ってもさほどひどいことにはならないと考えられていたように思います。

思えば、政府・日銀は、日銀による追加緩和のほかGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による運用見直しなど幾つかの「相場テコ入れ手段」を持ち合わせています。

ある意味、「官製相場」の様相も呈しており、極端な下振れリスクがないまま、これまで推移してきているのです。

以下は先週の週刊エコノミスト(7月1日号)の一節。

『いま市場では、これが合言葉だ。

「当面、ABEに逆らうな」

外資系証券の幹部は、ニューヨークやロンドンとの電話ミーティングで、こんな運用方針を打ち立てたと明かす。

「ABE」とは、もちろん安倍首相のことだ。

その安倍首相に逆らうなとは

「政治力を総動員してアベノミクスが目指す脱デフレ、日本経済再生は、純粋な経済要因で物事は動かない。完全に政治要因で動く。『官製相場』に刃向かっても何の得にもならない」

と、同幹部は解説する』

たしかに、これが平均的な「ガイジン」たちの「いまの日本株」に対する見方だと思います。

しかし、同じく週刊エコノミストから:

『公的マネーの押し上げによる「官製相場」には、危うさがつきまとう。

「GPIFの運用規模がいくら巨額といっても、いつまでも国内株買いが続くはずがない」(大手証券ストラテジスト)。

市場関係者が懸念するのは、まさに持続性だ。

……日米欧の先進国も新興国も景気の足腰が本当に強いわけではない。

ちょっとしたショックで、大きく揺さぶられる状態だ。

その中での官製相場はひときわもろいと言わざるをえない』

さてこれから半年、残りの2014年には株式相場どう動いていくのでしょうか…

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2014年6月27日 (金)

NPO法人

今週はずっと海外に出ていて本日帰国。

成田到着後は、休む間もなく、東京・虎の門で行われたNPO法人(申請中)の理事会に出席しました。

      Tkht2

* * * * *

ところで、定年退職後は現役時代のような利益を追求する仕事ではなくて、社会貢献活動を行いたいという人が年々増えてきていているといいます。

NPO法人の数も急増してきており、平成10年度には 23 しかなかった法人が今年4月末には 49,042 にまで増えました。

平成10年度       23

平成15年度   16,160

平成20年度    37,192

平成25年度    48,985

平成26年4月  49,042

そもそもNPO法人とは何か。

認証NPO法人と認定NPO法人の違いは?

こうした疑問を持たれる方もいるかもしれません。

NPO法人についてもっと詳しく調べてみたい方は 内閣府NPOホームページ が参考になります(上記の数字もこちらのウェブサイトから取りました)。

「定年後はボランティア、NPOといった形で生きるのはどうなんだろう」

こう思う方は拙著 『65歳定年制の罠』 の第7章『ボランティア、NPOという生き方』をご覧になってみてください。

きっと参考になる何かをお掴み頂けるものと思います。

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2014年6月22日 (日)

ファンタジスタ

試合終了間際。

すでに後半ロスタイムに突入していました。

このまま0-0の引き分けかもしれないと思われた46分。

メッシ(アルゼンチン)が放ったボールはイランのゴールへと吸い込まれていきました。

   Ai

ところで私はブログを書き始めて9年になります。

ときおり過去に自分が書いたブログを読んで、そのときの自分を思い起こしてみたりしています。

たとえば8年前のワールドカップのときに書いたブログは、『こちら』

時に過去の自分と対話してみることは、自分の今いる立ち位置を確認し、今後の方向を考えるうえでも重要な気がします。

*  *  *  *  *

それにしても今回のワールドカップも見事なゴールが続きます。

今朝(日本時間4時試合開始)のドイツ対ガーナ戦。

途中出場のクローゼ(ドイツ)が同点ゴールを決めました。

クローゼは2002年の日韓ワールドカップから得点を重ねています。

2002年日韓ワールドカップ:5得点

2006年ドイツワールドカップ:5得点

2010年南アフリカワールドカップ:4得点

そして先ほどの今大会でのゴールが大会通算15点目(ワールドカップ通算最多記録タイ)。

現在36歳。

中田英寿さんの現在の年齢が37歳であることを考え併せると、36歳にして4大会連続出場をはたし、しかも各大会で得点を上げ続けるというのは超人的な気がします。

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2014年6月19日 (木)

アマゾン・ファイア・フォン(Fire Phone)

日本のアマゾンのサイトではまだ見れませんが、米国のアマゾンのサイトではこれを紹介するビデオが見れます。

『こちら』です。

Az

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2014年6月16日 (月)

エコノミスト誌の記事

本日発売の『週刊エコノミスト』

      Economist2

18~21頁に拙文が掲載されています。

よろしかったらお手に取ってみてください。

本日はお知らせがもう一つ。

               25png

先週(前編)に続き、フジTV 『そこ、キク!』 の後編が本日リリースされました。

スマホをお持ちで、ご関心のある方はご覧になってみてください。

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2014年6月14日 (土)

株主還元策

ホリエモンがライブドアの社長だったころ、株式分割を積極的に行いました。

当時は株式分割によって一時的に株券の流動性に不均衡が生じたことも手伝って、「分割→株価上昇」と一般に考えられていました(詳細は『株式分割バブル』を参照)。

しかし2006年1月4日以降はこうした不均衡もなくなり、マーケットは正常化していきました(『こちら』)。

さすがに今では株式分割によって株価が上昇すると信じる人は少なくなり、一般には、分割しても株主が持つ価値には変化がなく、株主は得も損もしないと考えられるようになっています。

例えば「1:3」の株式分割の場合、1株に対して2株が無償で、株主に対し配られることになり、株主の持株数は3倍に増えますが、(理論的には)株価は1/3 になります。

(もっとも分割によって1株当たりの株価が下がり、買いやすくなって購入者層が拡大するメリットはあります)。

株式分割は株主に対して中立的であるとして、最近はやりの株主還元策はどうでしょうか。

たとえば企業が行う自社株買いは株主にとってメリットをもたらすのかどうか…。

結論を先に言ってしまうと、自社株買いは、理論的には株価に対して中立的です。

簡単な例で説明します。

①会社Aは市場から資金を調達。年率15%のリターンを上げ、将来も同じように15%のリターンを上げるとのメッセージを発していました。

②ところが、今年度に入って、A社経営陣は当面の間15%を上げるような追加での投資案件は無いと判断。

具体的には会社資金100のうち80は15%のリターンを上げる投資案件に使うことが出来るが、20については投資してもリターンは15%未満になってしまうことから、これを使わずに市場に返すことにします。

③よって、A社経営陣は自社の現金20を使って株式市場から自社株を購入します(つまり、かつて市場から得た資金20をいったん市場に返すことにします)。

ひじょうに単純化しましたが、これが自社株買いのメカニズムです。

発行済み株式数は減ります(100→80)が、これら80の株式が上げるリターンは引き続き15%であって、株価には影響を及ぼしません。

以上が基本的な考え方です(Modigliani and Miller;1961。なおリチャード・ブリーリー他著、藤井眞理子他訳「コーポレートファイナンス」上巻(第6版)479-486頁に平易に解説されている)。

この基本的考え方を出発点としつつも、現在では、自社株買いについて、シグナル効果があるとする説など諸説もありますので、関心のある方は幾つかの論文をあたってみると良いでしょう(たとえば『こちら』『こちら』)。

さらに付け加えますと、借金をして自社株買いを行えば、企業の負債比率は上昇。

その結果、企業は最適資本構成(下記注)に近づき、企業価値が上昇することが現実の世界ではあります。

しかしこれはあくまで資本構成の変化によるものであり、自社株買いそのものの効果ではありません(Modigliani and Miller は最初から完全市場を想定)。

【注】企業の資本コスト(Cost of Capital)は株式コスト(Cost of Equity)と負債コスト(Cost of Debt)の加重平均(WACC; Weighted Average Cost of Capital)です。そして、負債コストの方が資本コストよりも安いことから、企業が負債比率を高めれば、企業価値は増加します(もっとも負債比率が高くなりすぎると倒産リスクが増して企業価値は減衰します。拙著『サバイバルとしての金融』173-176頁)。

      Photo

いずれにせよ、企業が自社株買いを積極化しているというのは、別の見方をすると、有望な投資案件がないということです。

株主としては、企業は自社株買いなどせずに有望な投資案件を発掘して積極的に投資を行って高いリターンを上げてほしいと望みたいところですが、現実には「(景気は)基調的には緩やかな回復を続けている」(by 日銀; 『こちら』 参照)といった段階。

そういった段階では取りあえず余剰資金は市場に返すという企業の行動もやむを得ないのかもしれません。

 

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2014年6月10日 (火)

そこ、キク!

20代~40代が視聴者(というか読者)層の中心といいますから、私と同世代の方は、「そこ、キク!」と言われても何のことか分からないかもしれません。

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フジテレビが4月4日より創刊したスマートフォン向け電子マガジンです(『こちら』)。

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最新トピックや旬の人を双方向インタビュー形式で掘り下げていくというもの。

昨日リリースされた『そこ、キク!』はキク人が佐藤まり江さん、キカレル人が私です。

昨日分は前編で、主な内容は:

◯分散投資はやってはいけないことだった!?

◯サルに負けない(!?)『攻め』の投資法とは?

◯100万円を1億円にするネタを見抜く…集中投資のススメ!

◯家計崩壊の落とし穴…決してしてはいけないこととは?

◯その保険は本当に必要? 家計の見直しで潤いアップ!

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さて、これを機に(?)、この種のスマートフォン向けデジタル・コンテンツに親しみたいと思っている方、操作は思いのほか簡単です。

ドコモのスマホなら、「サポート」のアイコンを押す。

「サービス・機能」を押す。

「スゴ得」を押して、『フジテレビfor スゴ得』に行く。

以上です。

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最初の31日間は無料。

以降月額380円。

このほかに、auスマートパスで、「フジテレビfor auスマートパス」に行く、

または、「フジテレビコンテンツストア」(ドコモ・KDDI・ソフトバンクのフィーチャーフォン/スマートフォン向け)に行く、

といった方法があるようです。

* * * * *

なお昨日は日経CNBCテレビ、日経ヴェリタストークにも出演しました。

再放送は6月12日(木) 21:15~

数日すると『こちら』でもご覧になれるようになります。(右側の窓の一番上をクリックしてください)。

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2014年6月 9日 (月)

日本株の方向性

日本株は今後どうなるか―毎日の値動きを追うことも大切なのでしょうが、ときに一歩下がったところから日本株の動きを見てみることも重要です。

2012年11月11日。

野田佳彦首相(当時)が「今週末の16日に衆議院を解散してもいい」と発言すると、8,600円を付けていた日本株はするすると上昇し始めます。

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解散すれば、自民党が勝ち、新しく登場する安倍政権が大胆な金融政策の実行を日銀に迫ることが確実視されていました。

半年後の5月23日、株価は取引時間中の最高値15,942円を付けますが、同じ日の取引時間中に 1,458円も下落。

16,000円越えを果たしたのは、その約半年後の昨年クリスマスでした。

年末に16,291円をつけた後は、年が明けると下落に転じます。

外人投資家が売ってきました。

市場が気にしていたのは2点。

ひとつは年末を境に証券税制が変更になったこと。

配当金、キャピタルゲインにかかる税金が10%→20%に変更になったわけですから、その分、投資家の持ち分が減り、政府の取り分が増えます。

もうひとつは消費税を上げて大丈夫なのかを見極めたいということ。

こうした中で、先月30日、2つの経済指標が発表されました。

4月の全国消費者物価指数と鉱工業生産指数。

どちらもまずまずの内容で、日本経済は消費税増税の影響をなんとか乗り切れるのではないかとの「安心感」が広がりました。

さらに①GPIFによる株比率引き上げへの動き、②法人税減税への動き、③NISA拡充への動きなども市場に好影響を及ぼしました。

黒田総裁が「追加緩和の手段はたくさんある」と語ったとおり、日銀および政府がやれることはたくさんあり、2015年3月期の企業業績もまずまずのところが予想されることから、今後半年程度を見渡すと次のような相場展開になるのではないでしょうか。

(1)ダウンサイドリスクは限定的(14,000円を割ることはないだろう)

一方で

(2)上方余地はまだある(16,000円越えはじゅうぶんあり得る)

少なくとも市場が下がる方に継続的に賭ける(空売り、日経225の先物売りなど)のには、結構勇気がいるように感じます。

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2014年6月 1日 (日)

前回の東京オリンピックのとき

昨年9月に総務省が前回の東京オリンピック時と現在における日本の状況を比較しました(『こちら』)。

ちなみにこの比較表は今年2月20日に総務省によってアップデートされ、現在でも総務省のウェブサイトで見ることが出来ます(『こちら』)。

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50年前の1964年。

当時の日本の人口は9700万人(現在は1億2700万人)。

為替レートは1ドル360円(現在は102円)。

日経平均株価は当時1,217円(現在はこの12倍の14,632円)。

     1964

1人当たりGDPは当時約30万円(843ドル)。

現在は3.7百万円(2012年値、102円でドル換算すれば、36千ドル)。

     19642

そして何よりも衝撃的だったのは当時の日本人男性の平均寿命。

67.7歳でした(現在は男性79.9歳)。

この間、下図のとおり日本人の平均寿命は着実に伸びてきました。

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