原発の労働問題
先週の勉強会は、縄田和満東京大学教授 による「原発の労働問題」についてでした。
縄田教授は3.11の後の原発事故が起きる前から、原発の労働問題について研究し、警鐘を鳴らしていました。
すでに各方面で発言されてきていますが、以下、教授が今年7月、『知財問屋 片岡秀太郎商店』 に出演し、インタビューに答えていた時の模様を抜粋します。
青字が縄田教授の発言、茶色がインタビューアーです。
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(縄田教授)
『・・東電は法律で決められたところ以外は殆ど下請け会社(協力会社)に丸投げ、その下請けも丸投げ…。
東電にとって、これほど楽なことはありません。
計画書を示せば、元請からその下請けまで、すべてやってくれる。
組合から見ても現場の作業員とホワイトカラーは分離した方がやり易いし、本社の賃金体系では高すぎます。
更に作業員に問題が起きても、下請け会社の問題で済ませられます・・』
『・・ある原子力発電所では、暴力団のフロント企業が下請けに入って摘発されました。
そういうものや利権、地元対策が絡むとどうしても重層になってしまうようです。
東電が調べて3次の下請けまでだったといっていても、実際は4次の人が上の会社として登録していたというような偽装下請けの例も多く見られます。
平時は、それでも皆、大きな不満は持たずにやっていましたし、何とかまわっていました。
しかし、非常時になると、まったく機能しません。
東電には指揮命令権がなく、下請け会社の社員に対して命令できず、マニュアル通りの事しかやれない。
下請け会社の社員には契約内容にないことをやる義務はないし、業務以外の事を頼まれてやれば、そもそも労基法違反です・・』
(上はGoogle Earth で出てくる福島第一の写真)
(片岡)
『そうしたことを事故の前からご提言されていましたね』
(縄田)
『2007年から労働経済、労務管理問題の延長として原発を調べはじめました。
電力業界というのは非常に特異な業界で、例えば、殆どの他の業界が経験している人員整理も経験していません。
総括原価方式ですから…。
そうなると普通のモデルは当てはまらない。
巨大な業界なのに外部の人間による客観的な科学的データによる分析が殆どありませんでした。
勿論、原発村が内輪で行ったものはありましたが。
私は原発村の人間ではないし、原発に反対でも賛成でもない、ただ科学的にこういう事態になっていると、先ほど話したような問題点を指摘したのですが、他の業界とは比較にならない反発がありました・・』
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『こちら』 でインタビューの全文をお読みになることが出来ます。
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