Toilets first, temples and churches later
今晩は日経CNBCテレビの『日経ヴェリタストーク』に出演しました。
インド経済について。
今年5月の選挙でインド人民党(BJP)が勝利し、あたらしくインドの首相となったモディ氏。
今月31日~9月3日の予定で来日します(『こちら』)。
安倍首相をツイッターでフォローする人は35万人いますが、逆に安倍首相がフォローする人は3人しかいません(『こちら』)。
その貴重な3人のうちの1人がモディ首相です(残り2人のうちの1人は安倍昭恵夫人)。
モディ首相と言えば、2002年のグジャラート州宗教暴動で1000人以上のイスラム教徒が死亡した際、これを黙認したとの疑いで裁判にかけられたことで有名です。
この事件はそもそもヒンドゥー至上主義の活動家2人が乗っていた列車に火が放たれ、58名が死亡。それに激怒したヒンドゥー教徒が、イスラム教徒を復讐の標的として1000人以上を殺戮したというもの(『こちら』の本の169-170頁)。
最高裁はモディの責任に言及することなく、裁判の差し戻し判決を下しました。
(2012年3月26日号;アジア版)
しかし米国はモディに対してビザの発給をずっと拒否してきました。[2005年にモディがニューヨークでインド系アメリカ人に対して演説をする目的で米国に行こうとしたときにも、これを認めませんでした(『こちら』)]。
モディが「米国入国への禁止者リスト」から外れたのは彼が首相になってから(『こちら』)。
生粋のヒンドゥー至上主義者であり、いまでも民族義勇団(RSS) の一員であるモディ首相 (『こちら』 の27頁参照)。
そんな彼も選挙中は、「Toilets first, temples and churches later(寺院や教会よりも、まずトイレを)」と訴えました。
宗教の問題は置いておいて、とりあえずインフラの整備、経済発展を、というわけです。
(From Google Earth)
自身の就任式にはパキスタンのシャリフ首相も招きました。パキスタンは国民の97%がイスラム教徒です。
インドとパキスタンの融和は米国の国益にも合致。
(The Taj Mahal Palace Hotel, Mumbai)
モディがほんとうに、「Toilets first, temples and churches later」の政策を進めるのか、各国が固唾を呑んで見守る中、彼は首相就任以来、2番目の訪問先(最初の訪問はブータン)として日本を今月末訪問します。
1991年6月、インドを経済危機(外貨危機)が襲い、外貨準備高は11億ドルにまで落ち込みました。その時、3億ドルの緊急融資を行い(『こちら』の133頁)、急場を救ってくれた国――。それが今度モディが訪問する国、日本です。
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