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2015年1月24日 (土)

マンションや一軒家の1室が空室

一昨日、ニューヨークから1週間ほどの予定で日本にやってきているAさんと会いました。

「どこに宿泊しているの」

「Airbnbを使って、西麻布に1泊7000円で泊っています」

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「Airbnbのサイト」を覘くと会社の説明があります。

「2008年8月創業。Airbnb(本社・カリフォルニア州サンフランシスコ)は、世界中の人がユニークな宿泊施設をネットや携帯で掲載・発見・予約できる信頼のコミュニティー・マーケットプレイスです。

アパートで1泊、お城で1週間、ヴィラで1か月―どんなご要望でもAirbnbにお任せください。世界190ヶ国34,000以上の街で貸す人と借りる人をつなぎ、あらゆる価格帯でユニークな旅をお届けします」

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日本での事業展開は昨年からとのことですが、わずか数カ月で2000件ものホスト登録がなされたとか・・(『こちら』の記事)。

ちなみに「Airbnbのサイト」で「東京都港区」と入力してみると、たとえば広尾のマンションが1泊8600円など、安いものは1泊3000円くらいから、さまざまな物件が掲載されています。

中高年の方で、子供が独立して、ご自宅の家やマンションの1室が空き部屋になっているという方は、検討に値するかもしれません。

「見知らぬ人(しかも多くは外国人旅行者)を家に泊めるなんてありえない」と思う方は、『こちら』の記事を覘いてみてください。

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昨年3月の記事ですが、Airbnbの上場前時価総額がすでに1兆2000億円を超えたとか・・(『こちら』)。

57年の歴史を持つHyattの時価総額を超えたとも報じられています(上記の記事)。

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スマートフォンを活用したハイヤー・タクシーの即時手配サービスを提供する Uber (ウーバー)の時価総額(上場前)も2兆円に達したとか・・(『こちら』)。

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ところでAirbnbでは別荘やクルーザーを貸したり借りたりすることも出来るようです。

たしかにクルーザーは買ってはみたものの利用するのは年にせいぜい10回などという人が多そう。

時価総額2兆円というと、日本では楽天のサイズですが、設立後6~7年の会社が株式公開前からこの規模に達してしまうようになってきています。

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2015年1月18日 (日)

CHFの急騰

海外に出ていて先週末に帰国しました。

     101

円安のせいなのでしょう。

最近は海外に出ると、なんでも物の値段が高く感じます。

     Aera

アエラ(No.3; 1月19日号)に「15ヵ国で10項目の価格を比べてみた」と題する表が載っています(22~23頁)。

この表によると、たとえばビッグマック。

日本360円、フランス561円、米国474円、ブラジル684円、シンガポール477円。 

      Mcd

スタバ・コーヒーは以下のようになります。

日本280円、フランス419円、米国248円、ブラジル281円、シンガポール392円。

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1ドル=118円がそんなに円安なのか、2002年には134円を、そしてもっと最近の2007年には123円95銭をつけたではないか―こう思われる方もいるでしょう。

しかし2002年や2007年以降、米国を初め海外の多くの国ではインフレが進み、その間、日本はデフレ。

たとえ名目上は同じ為替レートであっても実質的には現在のレートの方が円安ということになります。

要は名目為替レートではなく実質の為替レートで見る必要があります。

この辺の説明は、伊藤元重教授が分かりやすく解説してくれています。

『こちら』をご覧になってみてください。

なお実質実効為替レート推移については日銀のサイトにグラフが載っています(『こちら』の頁に入り、為替のボタンをクリック)。

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上図がそのグラフ(クリックすると大きくなります)。

青線が実質実効為替レート。

伊藤教授によれば現在は1973年以降約42年ぶりの「超円安」『こちら』)。

なお1973年当時の名目為替レートは1ドル=約300円(『こちら』)。

これと実質的には同じというわけです。

どうりで海外に行くと物の値段が高く感じるわけです。

    Snb_4

ところで、先週木曜日、スイス国立銀行(中央銀行)がスイスフラン(CHF)の上昇を抑えるために続けてきた為替介入をやめると、突然発表。

これまでスイス国立銀行は、「無制限介入」で1ユーロ=1.2スイスフラン(CHF)の「防衛ラインを守る」と強調してきていました。

この「防衛」をいきなり止めることにしたものですから、スイスフラン(CHF)は一挙に急騰(ユーロに対して一時約3割も急騰)。

スイスの輸出関連企業株は暴落しました(スウォッチグループ株は前日比で▲16%下落)。

    Snb_2

なぜいきなりスイス国立銀行はこれまでの通貨政策を変えたのでしょうか。

「欧州中央銀行(ECB)が量的緩和に踏み切れば、市場では一段とスイスフラン(CHF)高(ユーロ安)に向かおうとする圧力が強くなる。もはや介入では支えきれなくなることが予想されたため、前もって不介入に切り替えたのではないか」-こうした説が有力です。

アナ雪ではありませんが、「レット・イット・ゴー(Let It Go)」にせざるをえなかったのでしょう。

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ひるがえって円です。

黒田総裁の2度にわたるバズーカ砲によって超円安になりましたが、海外の物の値段を見るとどうしても不自然に感じます。

だからこそなのでしょう。

夕方5時頃に銀座に行くと外国人(主として中国人)を乗せた観光バスが銀座の中央通りに並び、観光客がブランド物を買いあさっていきます。

いったいこうした状況はいつまで続くのでしょうか。

為替を決定する要因はもちろん購買力平価説だけではありません。

ただ「超円安」という水の流れを人為的に作り出したのであれば、いつまでも自然の法則に逆らった水の流れを続けることは困難。

やがては水は高い方から低い方に流れるようになります。

スイス国立銀行の今回の動きはそのことを我々に教えてくれているのではないでしょうか。

そして円についても、いずれは「レット・イット・ゴー(Let It Go)」にならざるをえなくなるのであり、その際には約42年ぶりと言われる「超円安」も修正の方向に向かうのではないでしょうか。

    Ch

ところでスイスフランをなぜCHFと言うのでしょうか。

ご存知のようにスイスの国語は4つ。

このため国名は、ドイツ語でSchweiz(シュヴァイツ)、フランス語でSuisse(スイス)、イタリア語でSvizzera(シュヴィツェーラ)、ロマンシュ語でSvizra(シュヴィズラ)と呼びます。

ただ4つの言語のうち、どれか1つの言語のものを国名として採用することができないため、ラテン語を使って、正式名称はConfoederatio Helveticaと制定。

この略称であるCHが現在の国名コードとして、通貨の単位にも用いられています。

郵便コード、ウェブのドメイン名などにもCHが使われています。

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2015年1月11日 (日)

会社四季報オンライン

株式投資家の方に読まれている「会社四季報オンライン」

新春インタビューとして、株式投資に関する私のインタビュー記事が掲載されました(『こちら』)。

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  ・これから先、10年、20年を見通して投資するとした場合、どのような投資戦略が有効か 

  ・将来的な急成長を期待する銘柄への投資は、ポートフォリオ全体のどのくらいにすべきか 

  ・2015年はどういう年になるのか。相場見通しなり、投資戦略は?

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  ・優秀な人材が集まる組織作りが経営の根幹とはどういうことか? 

  ・インド→成田→サンホゼを結ぶ全日空の戦略とは? 

  ・企業だけでなく、国家としても、優秀な若い人材に「選ばれるような国づくり」をしなくてはいけない・・

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こういった点について論じています。

『こちら』にアクセスしてご覧になってみてください。

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2015年1月 8日 (木)

おかげさまで

重版となりました。

以下は都内の幾つかの書店での風景。

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2015年1月 5日 (月)

リスクヘッジのために日本車を買う

今晩は日経CNBCテレビ、日経ヴェリタストークに出演しました。

「日本株2万円を見据えての追い風とリスク」。

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再放送は1月8日(木) 21:15~です。

なお日経CNBCはケーブルだけでなく、パソコン・スマホでも見れます。

『こちら』からの申し込み(月額972円;最初の月は無料)。

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さて番組で(時間の関係もあって)触れることのできなかったことを一つ、二つ・・。

半年で50%($102→$51)も下落した原油価格。

このような短期間での激しい急落は、(40年近く金融に携わってきた私が思い起こすことが出来る限り)、過去に3回。

①1985年9月のサウジ・ファハド王の演説で始まった(85-86年の)下落

②1998年の下落

③リーマンショック(2008年9月)以降の原油価格の急速な下落

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①のとき: 産油国の旧ソ連の経済は大打撃を受け、その後のソ連崩壊に繋がっていきます。

②のとき: これも「ロシア危機」となりました(そのあおりを受けて米国のロングターム・キャピタル・マネジメントなどが破綻)。

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さて今回の原油価格下落。

欧米の専門家・マスコミの多くは「サウジの狙いは米国のシェールガス潰し」との論調のようです。

しかし、だとすると、なぜ2014年6月以降というタイミングで急落が始まったのか、という疑問がわいてきます。

シェールガスはもっと前からかなりのインパクトで生産されていたし、OPECの総会でも話題になっていました。

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一方で、ロシアの人たちと話をすると、今回の原油価格下落は、サウジが次の2つを狙ってアメリカと裏で手を結んで企図したと言います。

(A)ロシア(プーチン)の拡大主義を封じ込めるため(プーチン体制崩壊を狙う)

(B)イスラム国をたたく

これだと(A)ロシアのウクライナへの拡張(侵攻)の程度に合わせる形で、一次、二次、三次と、計3回(①2014年3月、②2014年4月、③2014年7月)にわたって行われた「欧米による対ロ経済制裁のタイミング」と波長が合う・・・

更に(B)イスラム国の樹立宣言が2014年6月であることを考え合わせても、なぜ2014年6月以降に原油価格が急落していったかの説明になる(イスラム国は北西部イラクの油田を支配しそこから上がる原油を売ることで兵器購入に必要な資金を調達してきている)。

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ところで昨年の秋ころからロシアでは日本車などの外国車が売れ始めたとか・・・

なぜでしょうか。

ルーブルのまま持っていると通貨の価値がどんどん下落してしまう。

だとしたら下落が少ない外国車に変えてしまおうという発想のようです。

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1985年や1998年と違って、いまでは多くの日本企業がロシアとの関係を深め、エクスポージャー(ロシアのカントリーリスクにさらされる資産)もそれなりに持っています。

たとえばトヨタはサンクトペテルブルグに工場を持ち、2014年1月-11月の11か月間で144千台を販売(『こちら』)。日産も142千台の販売台数を享受。

万が一、プーチン体制崩壊になったりすると、思わぬ返り血を浴びるところが出てきそうです。

まぁ、心配し過ぎかもしれませんが・・。

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2015年1月 4日 (日)

原油価格の下落と米国経済

BPのサイト(『こちら』)によると、米国の原油生産量は10.0百万バーレル/day(2013年)。

これはサウジ(11.5百万バーレル/day)、ロシア(10.8百万バーレル/day)に次いで世界第3位。

シェールの影響が大きく、米国の2013年の原油生産量は対前年比で13.5%増(ちなみにサウジは▲1.1%、ロシアは1.3%増;データは全て上記BP資料の8頁)。

下記は世界の各地域ごとの原油生産量推移。

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さて米国は世界第3位の原油産出国であると同時に、断トツの原油消費国でもあります(以下は2013年の原油消費量、出所は上記サイトの9頁)。

1位 米国 18.9百万バーレル/day

2位 中国 10.8百万バーレル/day

3位 日本  4.6百万バーレル/day

米国の消費量は対前年比2.0%でしたが、実はここ数年来減少傾向が続いていました。ちなみに過去10年間のピーク年は2005年の20.8百万バーレル/day。

ようやくリーマン・ショックの影響から解放され、原油消費が上向いてきたのが「2013年だった」ということでしょうか。

下記は世界の各地域ごとの原油消費量推移。

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中国の消費量が10年前(5.8百万バーレル/day)に比して10年間で2倍近くに増えているため、Asai Pacific地域の増加が際立っています。

さて米国はこのように原油の一大産出国であると同時に巨大消費国です。

ちなみに輸出入で見ると、米国は9.8百万バーレル/dayを輸入し、3.3百万バーレル/dayを輸出(上記サイトの18頁)。

こうした状況下で原油価格の下落が米国にどういった影響を及ぼすかですが、一言で言うと「複雑」です。

一般論からすれば米国では原油の生産量よりも消費量の方がはるかに大きいので、国全体で見ればプラスに作用する方が強いと言えます。

しかし今回のように半年間で価格が約半値になるといった「急落」となると弊害の方もぐんと大きくなります。

さらに注目すべきは米国でシェールガスを含むエネルギー関連企業がジャンク債で調達する資金が3000億ドル(36兆円)にものぼるといった報道(『こちら』)。

つまり金融がからんでくることでシェール企業の業況悪化が、サブプライムのときのように各方面に飛び火してしまうリスクが増えてきます。

そもそも今回の原油価格急落。

仕掛け人がサウジであることはほぼ間違いないのでしょうが、ではなぜ?

これに対しては、サウジが米国のシェールガスをつぶすために仕掛けたとする考え方がある一方で、

ロシア筋からは「サウジは米政府と裏で手を握っている」といった話も聞こえてきたりします。

つまり真相は藪の中。

年末年始、私はジェフリー・ロビンソン『ヤマニ―石油外交秘録』をもう一度読みかえしてみましたが、次の一節が目を引きました。

「(サウジの人々が)変革を好まないのは、砂漠での生活と関係があるかもしれない。遊牧民としての民族のルーツと関係があるのかもしれない。・・・こちらがなにもしなければ、問題はおのずから消え去る、と信じ込んであっけらかんとしている」(70頁)

原油価格が下落しようと「減産はしない」と宣言したヌアイミ石油相。

当然アブドラ国王の内諾を得たうえで動いているのでしょうが、たとえ砂漠を襲う砂嵐が来たとしても、じっとしていて「行き去るのを待つ」というようなスタンスなのでしょうか。

一方、今年91歳になるアブドラ国王は「肺炎のため入院した」といったニュースも新年早々伝わってきたりして・・・(『こちら』)。

1日にも書きましたが、やはり2015年は波乱を予感させます。

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2015年1月 1日 (木)

明けましておめでとうございます

2015年はどんな年になるのでしょうか。

マーク・ファーバー(Marc Faber) をはじめとして、「市場のボラティリティが増す(価格変動が大きくなる)」とか「いくつかのサプライズ(驚くこと)がある」と考える人が少なくありません(『こちら』)。

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  (Bloomberg のインタビューに答えるFaber(右))

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いったい原油価格はどうなっていくのでしょうか。

ロシアで活躍するファンドマネージャーたち。

この中でも98年のロシア危機を知る人たちは、サウジアラビアの動きとともに、西側諸国による経済制裁強化に危機感を募らせます。

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    (ここ半年間の原油価格の動き)

「これはランダム・サンクション(random sanctions)につながっていくのではないか」(注:経済制裁の対象となった個人のリストは 『こちら』 を参照)。

こう心配する人もいれば、一方で、

「これはランダム・サンクションなんかじゃあない。ロシアの痛いところと、ロシアのエネルギーセクターの痛いところを狙い撃ちしたものだ」と語るのは、Creon Energy の Fares Kilzie (『こちら』)。

98年の危機を知るロシアの一部富裕層の中にはキプロスへの脱出を考え始めている人も出てきているとか・・・

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             (キプロス)

「キプロスであればEUの加盟国なので、EU加盟国の国籍が手に入る。

一人5百万ユーロ(7.3憶円)の投資をすればいい」

とばかり、「家族の分も含め、約30億円の投資を考えている」というロシア人のAさん。

調べてみると、たしかにキプロス政府が2014年3月19日付にて、いわゆる移民法の一部改正をしていました(『こちら』)。

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  (移民法の一部改正を告げる政府のサイト)

サウジのヌアイミ石油相は原油がたとえ20ドルになっても、サウジのスタンスは変わらないとコメントしました(『こちら』)が、サウジの原油産出コストは「1バーレルあたり5~6ドル」といった報道も・・・(『こちら』)。

2015年はやっぱり大きな変動(highly volatile)の年になりそうな予感がします。

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