ギリシャ情勢ほか
日経ヴェリタストークに出演しました。
(1)ギリシャ情勢:バルファキス辞任
ギリシャのバルファキス財務相が本日辞任。
バルファキスは経済学博士(エセックス大学)。
ケンブリッジでフェローの経験もあります。
彼は、ときに相手方に教えるような態度で交渉に臨み、トロイカ(EU、IMF、ECB)のメンバーには、必ずしも快く思われていませんでした。
チプラス首相としては財務相辞任というカードを切ってまでして、トロイカに歩み寄り、なんとか交渉をまとめたいとの立場なのだと見られています。
(2)トロイカの核となっているのは実はドイツ
ユーロ圏19カ国のGDPの29%をドイツが稼ぎ出し、まさに独り勝ち。
弱い南欧諸国がいるからこそ、ドイツは現在の比較的安いユーロの為替レートを最大限に利用できるとの見方もあります。
万が一ユーロが瓦解し、元のマルクに戻ってしまえば、ドイツはマルク高に悩まされるようになります。
つまり、ドイツとしては現在のユーロの枠組みを極力維持したいはずであり、そのためギリシャとの交渉の着地点は見つかり得るのではないか、と私は見ています。
(3)当面のポイント
今後のポイントはギリシャの銀行を早く開くこと。
そのための前提となるのは、ELA(Emergency Liquidity Assistance)によってトロイカがギリシャの銀行システムに十分な資金を供給することです。
2年前、隣国キプロスの場合、銀行の閉鎖は約2週間続きました(その後も資本規制は続き、最終決着までに約4か月かかった)。
ギリシャの場合、すでに銀行を閉じて、1週間。
今週中にも開かないことには、経済をほんとうに殺してしまうことにもなりかねません。
(4)他の南欧諸国
本日のスペインの5年ものCDSは109bp、イタリア134bp。
つまり連鎖の動きにはなっていないようです。
しかし失業率は:
EU19ヶ国 11.6%
スペイン 24.5%
ギリシャ 26.5%
イタリア 12.7%
とくに25歳未満の失業率は
EU19ヶ国 23.7%
スペイン 53.2%
ギリシャ 52.4%
イタリア 42.7%
一部ではスペイン経済は優等生と言われることもありますが、実態は優等生とはほど遠い状況。
(5)最近の上海総合の下落
上海総合指数は1年前は2050でした。
それが6月12日に 5178を付けたのです。
つまり1年で2.5倍。
中国の経済が1年でそんなに良くなったのかというと、そんなことはありません。
実態とかけ離れてしまったので、ある程度戻すのは当然といえます。
最近の急激な下落はその現れと見ることも出来ます。
今日は3775で終えました(6月12日のピークに比し、27%安)。
それでもこれは1年前に比し84%高。
今後、半年前の水準(3200)位までは下がることもあり得ると見ています。
| 固定リンク
コメント