ギリシャは公務員天国で年金天国なのか
(1)ギリシャの公務員は多いのか
OECDのレポート(『こちら』)によると、公的セクターに従事する労働者(Employees in general government and public corporations)の全労働人口に占める比率(2011年)は、ギリシャの場合、7.9%。
これはOECD平均(15.5%)や、ドイツの数字(10.6%)よりも低い。
(赤がOECD平均。画像はクリックすると大きくなります)
もちろん上記数字だけでは現況を把握しきれない面もあり、これらに関してはニューヨークタイムス(『こちら』)、日経ビジネス(『こちら』)などの記事、あるいは『こちら』のブログなどが参考になります。
(2)ギリシャは年金天国なのか
INE-GSEEによれば、ギリシャ人の平均年金受給額は月833ユーロ(11万3000円)(『こちら』)。
なお日本の場合(『こちら』)は厚生労働省のモデルケース(「厚生年金保険と国民年金の夫婦」の例)で、夫婦2人で計22万6000円。一人当たり11万3000円でギリシャと同じ。
さらにギリシャ政府によると、年金受給者の45%が貧困ラインである月665ユーロ(9万円)以下である(『こちら』)とか・・。
年金の問題をさらに難しくしているのが高齢化(『こちら』)。
ギリシャの20.5%が65歳以上(EU28ヶ国の平均は18.5%)[もっとも日本の場合は29.3%が65歳以上(『こちら』)]。
ギリシャ人は早くから年金をもらい過ぎるとの指摘もありますが、平均すれば男63歳、女59歳でリタイアして年金生活者になるとの政府データ(『こちら』)。
これはドイツと大差ないとの指摘も(『こちら』)。
さらにもともと55歳以上の失業率が20%を超えるので、年金受給に走らざるをえないとの事情もあるようです(『こちら』)。
(3)アリとキリギリスなのか
いずれにせよ、ギリシャは「年金・公務員天国である」とか、「ドイツ人はアリのように働き、ギリシャ人はキリギリスのように働かずにいるから現在のようになった」というのは、必ずしも正しくないように思います。
単一通貨ユーロのシステムで圧倒的に強いのがドイツ。
ユーロ圏19ヶ国のGDP合計の29%をドイツ1ヶ国で稼ぎ出し、そのパワーはGDPでみるとギリシャやポルトガルの16倍以上(『こちら』)。
これら弱小国がいるから、その分、ユーロは(ドイツの国力に比し)安めに評価され、ドイツの輸出産業を支えてきました。
ユーロが瓦解し、マルクに戻れば、ドイツはこうしたメリットを失い、マルク高に苦しむようになるでしょう。
であれば、もう少し大人の対応が必要であるように思いますが・・。
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