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2015年9月26日 (土)

20年後を見据えての投資

イエレン議長が24日の夕刻、マサチューセッツ大学で講演しました。

講演の全文は『こちら』でご覧になれます。

このスピーチに反応し、昨日のニューヨーク市場はかなり上昇して始まりました。

しかし終わってみれば何のことはありません。

ダウ平均はなんとか上昇をキープしたものの、ナスダックは1.01%ほど下げ、S&P500も若干(0.05%)下げて終わりました。

* * *

ところで昨日はiPhone6Sの発売日でもありました。

私は、ポケットがかさばるのが嫌いなので iPhoneをケースに入れずに持ち歩いていますが、新しい色のiPhoneがちょっと気になります。

また3Dタッチはどんな具合なのかとか・・。

20年前、アップルの株価は1.25ドルでした。

それが今では91倍の114ドル。

100万円投資していれば、1億円近くになっていた計算です。

20年前のアップルというと、ジョブズがアップルを追放されてから10年経過したところ。

ジョブズの復帰までにはあと2年待たなければなりませんでした。

* * *

話が何度も変わって申し訳ありませんが、スティーブ・ジョブズの実の父親はシリアから米国に留学してきた人です。

ジョブズがアメリカで生まれたお蔭で、アメリカは世界最大の時価総額の会社を持ち、税収、雇用も拡大させることが出来ました。

アメリカはもともと移民で作られた国で、外の優秀な人材をうまく取り込むことで成長してきました。

日本はどうでしょう。

日本はドイツなどとは違って、シリアからの難民受け入れに対して積極的な意思表示をしていません。

しかし命を賭してまでしてシリアから逃げてくる難民の子供たちのなかから、ひょっとすると将来のジョブズのような人が出てくるのかもしれません。

そう考えると、日本はいつまでも日本人だけの国でいいのか、もっと外の人を受け入れることに対して寛容であってもいいのではないかと思えてきます。

ラグビーも純血日本人に固執していたら南アには勝てなかったかもしれません。

* * *

こういったことは一切テレビでは話しませんでしたが、今週放映の『日経ヴェリタストーク』。

「20年後を見据えての投資」について話しました。

『こちら』でご覧いただけます。

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2015年9月25日 (金)

習近平による「爆買い」?

米国を訪問中の習近平国家主席がボーイングの工場を訪問、旅客機300機を発注するなど「爆買い」していると、一部の日本のマスコミで報じられています(『こちら』)。

しかし米国株への投資家は反応せず。

ダウ平均株価は0.48%下落しましたが、ボーイング株はそれ以上に下落(▲1.46%)。

次のニュース(英語ですが)に、この辺の事情が報じられています。

http://finance.yahoo.com/news/boeings-massive-china-sale-wont-192349166.html

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2015年9月24日 (木)

20年後、企業価値を高める技術

日経CNBC『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

トピックは、「20年後、企業価値を高める技術」について。

まず挙げられるのは、人工知能でしょう。

日本では高度なコンピューターであれば、なんでも人工知能と形容してしまう傾向にありますが、本来は「機械が自ら学習(機械学習)して、自らをどんどん進化させていく」、そういったコンピューターを人工知能と言っています。

人工知能を語るうえで欠かせないのが、最近のディープ・ラーニング(深層学習)の進化。

ディープ・ラーニングとは、人間の脳のニューロン(神経細胞)やシナプス(神経網)の仕組みを模した手法で、コンピューターに、ものごとを学習させ、知能を発達させていく手法を言います。

2013年3月、グーグルはディープ・ラーニングを研究開発するカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン教授が立ち上げたDNNリサーチ社を買収しました。

さらに2014年1月には、人工知能研究の最先端を走るデミス・ハサビス(38歳)が創業した英ディープマインド社を、フェイスブックに競り勝ち、推定4億ポンド(730億円)で買収しています。

これは企業買収という形を取りましたが、グーグルが欲しかったのはデミス・ハサビスの頭脳。

730億円を出して、デミス・ハサビスをヘッドハントしたと見る向きもあります。

そしてこの買収劇でポイントとなったのは、グーグルのラリー・ペイジCEOの熱意。

彼はデミス・ハサビスと会って

「君はグーグルに加わることで、グーグルの持つ豊富な経営資源(リソース)を利用できる。それは何も資金だけでない。すでにグーグルにいる人材や彼らの研究も含まれる」

と説得したといいます。  

デミス・ハサビスの述懐するところによれば、ラリー・ペイジによるこうした直々の説得は

「自分の会社をグーグルに売却し、自分自身がグーグルに参加することを決断するうえで “決定的な要因” となった」

とのこと。

まさに「天才(ラリー・ペイジ)が天才(デミス・ハサビス)を呼び込む」という構図が、ここに見て取れるように思います。

ところで話はそれますが、グーグルが上場したのは2004年。

今から11年前です。

このときグーグルの株を買っていれば現在13倍になっています。

アマゾンにいたっては18年前(1997年)に上場した時に買っていれば、現在282倍。

20年後の技術、イノベーションを見通して投資をするというのは、上手く見通すことさえできれば、極めて有力な投資戦略であることが分かります。

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2015年9月23日 (水)

リーマンショックのトラウマ

当然なのかもしれませんが、FRBのメンバーたちにはリーマンショック(the financial crisis)のトラウマがあるのかもしれません。

【1】グリーンスパンがもっと早めに引き締めに転じていれば、住宅バブルは起こらなかった(起こったとしても、規模がもっと小さく制御可能だった)

→ 今回もいつまでも緩和を続けていては将来に禍根を残すことになる

【2】リーマンを破綻させていなければ、地球規模の金融危機を発生させることにはならなかった

→ 中国・新興国経済が減速する中、利上げを急げば、地球規模で経済を壊してしまうことになりかねない

先週のイエレン議長のスピーチを聞いていますと、【1】と【2】が複雑に交錯するのが窺われます。

そんな中での先週木曜日の「利上げ見送り」。

FRBは引き続き難しい舵取りを余儀なくされます。

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2015年9月22日 (火)

「日本とアジア」(吉村文成著)

吉村文成さんから「日本とアジア」と題する本を頂きました。

吉村さんが関西学院大学で教えている「アジアメディア文化論」の講義の一部を再現したもの。

大学の教科書というと敬遠したくなるかもしれませんが、読みやすく、かつ示唆に富む話が多い本です。

      Ja_2

著者の吉村さんは朝日新聞で、ニューデリー、シンガポール、ジャカルタの各支局長を歴任。

野中章弘氏をして、

「1979年のソ連によるアフガン侵攻では、89年のソ連軍撤退までの10年間で、ゲリラの解放区へ越境取材を行ったマスメディアの記者は、NHKの園田矢(元解説委員)と朝日新聞の吉村文成(元インド特派員)だけだと思う」

と言わしめた記者です(『こちら』)。

2012年8月20日、山本美香さんがシリアのアレッポで亡くなられたとき、吉村さんはフェイスブックにこんな一文を載せていました。

『シリアで亡くなった山本美香さんは、かつて、同僚でした。 

90年代初め、わたしはしばらく朝日新聞系のCSテレビ「衛星チャンネル」に出向していました。 

美香さんはたしかAD。いつも、コマネズミのように、活発に動いていました。 

戦争カメラマンになったと人づてに聞いたときは、「小さなからだで、カメラが重いだろうなぁ」と思ったのを、覚えています。 

「ビデオ・ジャーナリズム」という手法は、衛星チャンネルが開発したものです。 

アレッポは、懐かしい街です。 

そして、いつまでも記憶に残る、大好きな街でした。 

街の真ん中にお城があり、そのそばに、ものすごく大きなスーク(市場)が広がっていました。 

わたしの知る範囲では、最大のスークです。 

そして、まるで地下室にいるかのように涼しいのです。 

その街で、山本さんは亡くなりました。  

戦争ジャーナリストということも、思います。  

旧ソ連占領下のアフガニスタンを、繰り返し、取材しました。  

「死んではいけない」――戦場取材の至上命令です。 

危険と安全と――ぎりぎりの計算をしているはずです。 

それでも計算できないもの――事故と流れ弾と狂気が、あります。 

シリア政府軍の「乱射」は、事故のようなものだったのでしょうか? 

残念です。』

* * *

「日本とアジア」には戦争ジャーナリストとしてのご自身の話はほとんど出てきません。

『ヨシムラハ、コレカラ10ニチカンホド レンラクフノウニナリマス」

と本社にテレックスを打って、ムジャヒディン(イスラム戦士)らに同行して、アフガニスタンに潜入取材したとだけ語られています(1989年)。

内容は比較文化論的な話が多いのですが(下記は目次の一部;クリックすると大きくなります)、現場での経験がベースにあります。

ですので、読み物としても、教科書的な堅苦しさはなくて、面白いものになっています。

Photo

 

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2015年9月21日 (月)

『FRBが仮に利上げをしていたら株価は1万5000円まで下げていた?』

9月の連休というと、どうしてもリーマンブラザーズの破綻を思い出してしまいます。

2008年9月15日(月曜日)。

日本は祝日でした。

今年は月、火、水と3日間休みが続きます。

その間、海外の市場はどう動くのでしょうか。

今週発売の日経ヴェリタス紙を見ていたら、冒頭いきなり以下のような記事が・・(第1面)。

『「利上げ決定なら日経平均は1万5000円まで下がる」。事前に社内会議でそう報告していた国内証券もある』

* * *

イエレン議長が利上げを見送ってくれたお蔭で、日経平均は362円の下落で済み、金曜日は1万8070円で引けました。

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       (From Wikipedia)

利上げをしていれば「更にもう3000円は(何日かかけて)下がることになっていた」というのがヴェリタスが記事にした某国内証券会社の見立て。

これは、あくまでも1つの証券会社の見通しに過ぎません。

しかしFRBが最後に利上げをしたのは、2006年5月(5.0%→5.25%; 『こちら』を参照)。

利上げは(これを行えば)、実に約10年ぶりになるので、市場関係者はどうしても身構えてしまいます。

日経平均が金曜日の日中に362円下落した後、米国ではダウ平均も290ドル下落、シカゴの日経平均先物(12月物)は、360円安の1万7800円にまで下がりました。

* * *

ところで今週の日経ヴェリタスには他にも興味深い記事がありました。

3面に掲載された「97年アジア通貨危機」と、「08年のリーマンショック」、そして「今回の世界同時株安」を比較したグラフ(株価および通貨)。

新興国通貨の下落率を比較すると、今回はどの国もリーマンショックほどには下落していません。

しかしそれでもロシアルーブル、トルコリラ、ブラジルレアルの下落が他国に比して目立ちます。

2020年のオリンピックが東京に正式決定する前のことです。

イスタンブールも候補地であったことから、証券会社にトルコリラ建ての金融商品(投信など)を勧められた個人投資家も多かったように思います。

そしてブラジルについても、オリンピック(2016年)やワールドカップ(2014年)で囃し立てられました。

実際イスタンブールについては、ボスポラス海峡を横断する海底鉄道トンネル(マルマライ(Marmaray)プロジェクト)などが脚光を浴びたのですが、対GDP比「経常収支」のランキングで見ると、トルコはマイナス5.69%で、世界187ヶ国中なんと109位。

経常収支の推移でみても、ここ10数年、パッとしません。

Turkey_2

囃し立てられて、損をしてしまわないように気をつけたいものです。

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2015年9月18日 (金)

2018年までの見通し

利上げ見送りを発表した後、イエレン議長は記者会見に臨み、冒頭、約15分間スピーチを行いました。

イエレン議長の記者会見オープニング・ステートメント(『こちら』)で述べられた今後の見通しは下記の通り。

"Most participants continue to expect that economic conditions will make it appropriate to raise the target range for the federal funds rate later this year, although four participants now expect that such conditions will not be seen until next year or later.

The median projection for the federal funds rate rises to about 1-1/2 percent in late 2016, 2-1/2 percent in late 2017, and 3-1/2 percent in 2018."

正確な英文は上記の通りですが、分かりやすく書くと次のようになります。

『FOMCの17人のメンバーのうち13人までが年内の利上げが適切だとの意見。

4人は年内は無理との立場。

これから先の利上げ見通し(各メンバーによる見通しの中央値)は:

2016年末期 1.5%

2017年末期 2.5%

2018年末期 3.5%』

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2015年9月16日 (水)

ウォシュレットやシャワートイレは海外で普及するか

『“近未来”を見据えた投資術』 というテーマで、

東洋経済新報社 『会社四季報ONLINE』 に記事を連載しています。

第8回は「近未来、日本発のハイテク・トイレは世界に普及するか?」

Photo

     (温水洗浄便座の日本の家庭での普及率推移)

日本では普及率が77パーセント強となった温水洗浄便座ですが、海外ではあまり見かけません。

なぜでしょうか。

ウォシュレットやシャワートイレはこれから先、海外でも普及していくのでしょうか。

詳しくは『こちら』をご覧ください。

 

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2015年9月 9日 (水)

企業のグローバル化

2008年に日本は「人口減少社会元年」を迎えました(『こちら』)。

黙っていてはマーケットが縮小するだけなので、内需型企業と称される会社でさえも、海外でM&Aを行うところが出てきました。

例えば太平洋セメントは、米国の建築資材会社マーチン・マリエッタ・マテリアルズグループからカリフォルニア州のセメント工場を買収すると発表(『こちら』)。

しかし一方で、海外事業(海外企業のM&A)が上手くいかず、それがもとで躓いてしまう企業も少なくありません。

最近の例ではグリー。

2011年には海外展開を急ぎ、一時は世界9ヶ国にまで進出しました。

しかし2013年には中国、イギリス、オランダ、ブラジル、ドバイの各拠点の閉鎖に追い込まれます。

チャート画像

         (グリーの株価)

インデックスが民事再生法の適用申請(2013年6月27日)した時も、

「国内外の企業を対象とした事業買収を行ってまいりましたが、特に海外買収案件では予想どおりの収益が上がらず、多額の投資損失が発生しました」

と説明しています。

いったいなにが海外展開の成否を分けるのでしょうか。

成功している会社を見ると、成功要因として

(1)経営者の強い意志(日本たばこやユニクロ)

(2)長い年月で培われた企業のDNA(味の素、TOTO)

といったようなものが見られるような気がします。

たとえばTOTO。

本来、陶器は重くて輸送する際に割れてしまうリスクもあります。

つまり輸出には不向き。

でもTOTOは、もともと「東洋陶器」という社名にあるように、古くから海外を見据えてきました。

最初の海外拠点であるインドネシアに進出したのは1977年。

長い年月をかけてようやく海外比率を約2割のところまで持って行ったのです。

今から20年近く前のことですが、TOTOが北京で工場を建設している現場で、現地駐在のトップの方に話を聞いたのを思い出しました。

成功している企業の駐在員は現地でお会いすると、人間味豊かで旺盛なチャレンジ精神を感じさせてくれます。

* * *

7日(月曜日)の日経CNBCテレビ「日経ヴェリタストーク」では、企業の海外展開についてお話ししました。

『こちら』です。

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2015年9月 6日 (日)

潮の流れ

このところの株価急落で、保有株式が含み損を抱えるようになったという個人投資家が出てきています。

今の段階で売ってしまうか(A案)、あるいは持ち続けて相場が反転するのを気長に待つか(B案)・・。

誰もが悩むところです。

ただ潮の流れは変わってきているかもしれず、この際、先入観を捨てて、虚心坦懐に今後の方針を自分なりに考えてみることをお勧めします。

(注)このブログ記事はA案、B案のいずれかを勧めるものではありません。いくつかの材料を提示しますので、『それをもとに考えてみてください』という趣旨です。避けるべきは、考えないで先入観に支配されてしまうこと。考えたうえでの決断であれば、たとえ失敗しても納得感はあると思います。

まずはGPIF、日銀、外国人投資家といったマーケット参加者たちにどういった変化があったのかを見ていきましょう。

【1】GPIF

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による国内株での運用比率推移は下図の通り。

6月末時点ですでに23.39%に達しています(『こちら』)。

25%を目標として、これまで買い進んできたのですが、いよいよもって上限に近づいてきました。

Gpif

GPIFはその巨大な購入パワーから、マーケットのクジラと称されてきました。

しかしさすがのクジラもそろそろ満腹になってきたということでしょう。

【2】日銀

一方の日銀。

GPIFほどの巨大クジラではありませんが、やはりクジラ(GPIFの3割ほどの大きさ)です。

日銀は年初から今月4日までに2兆3003億円のETFを購入しました(『こちら』)。

日経平均が390円超下落した4日(金曜日)も、有難いことに、317億円買ってくれました。

しかし4日のようなマーケットのときには、残念ながら「焼け石に水」といった状況でした(もちろん日銀が買ってくれなければ、もっと下がったことになります)。

日銀による年間のETF購入額は3兆円ですので、9月4日を終えた時点で、すでに年間購入額の77%を使い切ってしまったことになります。

残りの購入余力は6997億円しかありません。

年間の購入予定額である3兆円を均等に購入していくとの前提で試算すれば、本来であれば、現時点で(6997億円ではなくて)、約9600億円の購入余力があるはずです。

しかしすでにかなり多めに購入してしまったため、これから先は、本来の7割程度の購入パワーしか期待できません。

【3】外国人投資家

年初から8月第1週までに現物株と先物合計で約3.4兆円を買い越していました。

これが相場を押し上げたのは下図の日経平均のチャートを見ても、読み取れるかと思います。

しかし8月第2~4週で計3兆6850億円の売り越し。

特に第4週は1兆8830億円と、2008年8月からのデータで最大の売り越しとなっています(『こちら』)。

チャート画像

【4】郵政上場と国内機関投資家動向

国内の機関投資家はどうでしょう。

11月4日に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が上場される予定です。

この際、約1兆3000億~1兆7000億円の株式放出が見込まれていますので、機関投資家としてはこのための購入資金をそれまでに捻出(→保有株式の一部売却)することが必要になってきます。

【5】中国経済の減速

中国の経済データについては以前から信憑性に欠けると言われ続けていました。

なにせGDPの数値を約半月を過ぎた時点で発表するという離れ業をやっている国ですから(日本は1ヶ月半後に速報値が出る。アメリカは1ヶ月後)。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が20ヶ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、バブルが「はじけた」との表現を繰り返したとしてニュースになっています(『こちら』)。

経済が減速していく中で上海総合は1年間で2.5倍になりました(今年の6月12日)。

まさにバブルの典型例で、遅かれ早かれ「はじける」運命にあったのだと思います。Photo

問題は、上図のチャート(過去2年間の上海総合推移)を見て分かるように、まだ「はじけきっていない」と思われること。

さらに中国経済の実態が7%成長どころか3~4%(あるいはそれ以下)とみなされるようになっていることです。

フォルクスワーゲンなど中国に強かったメーカーは失速(1~6月でVWの中国での販売台数は6.7%減;『こちら』)。

日本勢も影響を受けています(『こちら』)。

【6】消費税増税を控える日本経済

こういった問題を抱える中で、日本経済は1年半後の消費税増税(8%→10%)という壁を乗り越えていかなくてはなりません(今回は前回のように見送りということはありません)。

【7】欧州の追加緩和期待と日銀の追加緩和の可能性

ドラギの発言が注目されましたが、ECBが量的緩和拡充に動く可能性が高くなってきています(『こちら』)。

一方、日銀ですが、国債保有残高は300兆円を突破。

市場に流通する国債のうち日銀が保有する比率は3割。

為替は、実質実効為替レートで見ると、40年以上も前の1ドル=308円だった時代と同じような「超円安」になっているといった状況。

Fx905_2

日銀がこれ以上できることは限られているように思います。

【8】個別企業の対応力について

以上、日本の株式市場にふいていたフォローの風は、ここへきてアゲンストなものへと変わってきています。

こうした状況下で益々重要になってくるのが企業の対応力。

例えば、これだけガソリン価格が安くなってくると、米国の消費者は燃費の良いクルマよりもやや大型のSUVやピックアップなどを好むようになります。

こういった変化に素早く対応する力が求められます。

【9】PER

最後に現時点での日経平均とダウ平均のPERを見てみましょう。

どちらも今後の予想収益(E)と現在の株価(P)とを比べたものです(P/E)。

日経平均:14.2 (『こちら』

ダウ平均:14.9 (『こちら』

PERは過去のデータに基づく平均値がおおよそ14とされています。

日経平均もダウ平均も、現在の株価で計算されるPERは、概ね平均値のレベルにあると見ることが出来ます。

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