グレンコア・ショック(その2)
(1) グレンコア・ショックはリーマンショックのようなものになりうるか
グレンコアが万が一破綻するようなことになると、総有利子負債は6兆円を超え(505億ドル)、ネットベースでも3兆6000億円(296億ドル)。
さらにデリバティブ取引もあり、影響は大きい。
ただし 金融機関ではないのでリーマンショックほどの連鎖の反応は無いだろう。
2001年にエンロンが破綻した時も、負債総額は 310億ドルを超え、大騒ぎとなったが、その影響はリーマンショックとは比べものにならなかった(リーマンの方がはるかにインパクトが大きかった)。
(2) グレンコアの破綻の可能性は?
現状の資源価格で推移すれば、近いうちに破綻する可能性はほとんどないとみている。
理由の1つは有利子負債の内訳(下記の通り):
短期114億ドル
長期391億ドル
合計505億ドル
これに対して、現金と在庫(金・銀・銅の地金、原油など現金に簡単に変えることができるもの)が208億ドルある。
つまりネット・デット(正味の有利子負債)は、297億ドルであり、これは長期負債の範囲内(すべて長期でカバーされていると見ることができる)。
つまり1年以内に金繰り破綻をきたすような可能性はほとんどない。
(3)グレンコアの収益力
過去5年間にわたって毎年20億ドル(2500億円)以上の税引き後利益を上げてきている(エクストラータ買収で評価損を出した2013年を除く)。
(4)ストリーミング取引の評価
ストリーミング取引とは、将来の生産量の一部を現在の価格をベースに売却し、 代金を前払いで受け取る取引。
一般的には副産物をストリーミング取引の対象とする。
グレンコアはペルーのAntamina(アンタミナ)鉱山の33.75%の権益を有している。
(ペルー:Antamina鉱山)
残りの権益はBHP33.75%、Teck Resources22.5%、三菱商事10%。
アンタミナはペルー最大の銅鉱山で亜鉛も多く産出する。
グレンコアはアンタミナで副産物として産出される銀をストリーミング取引の対象としてシルバー・ウィートン社と取引することに合意したと公表。
正式調印は11月末の予定。
この結果、グレンコアは9億ドルの現金を手にする。
グレンコアは将来の銀価格上昇のアップサイド・ポテンシャルの80%を諦めることになるが、アンタミナから産出される銅、亜鉛はストリーミングの対象とはしていない。
この取引により、グレンコアの債務削減計画(来年末までにネット・デットを297億ドル→200億ドルにする)のうち、6割がすでに実現することとなった。
9月16日の増資 25億ドル
配当削減 24億ドル
ストリーミング 9億ドル
合計58億ドル
さらに農業関連資産の売却を進めるとしており、債務削減計画の実現性は高い(そもそもグレンコアがほんとうに困っているのであれば、たとえばアンタミナ鉱山の権益持ち分をすべて売却するといった手段も取り得たはず)。
| 固定リンク



コメント