マネー・ショート
アカデミー賞脚色賞を受賞した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。
原作はマイケル・ルイスによるノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』。
米国の住宅バブル崩壊、リーマンショックをいち早く見通し、経済が破綻する方に賭けた人たちの物語です。
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当時アメリカの住宅市場はバブルだと、一部では言われていたものの、まさかこんな形で(映画の中の言葉でいうとAtomic Bombのように)破綻するとは誰も予想できなかったのかもしれません。
この物語の主人公の1人、マーク・バウムがモルスタの幹部に「いったい幾ら損したんだ」と質問する場面がありますが、出てきた答えが2ケタほど違っていました。
つまりバブル崩壊を見抜き、破綻する方に賭けて大儲けした人たちでさえ、まさか、これほどまでの規模での破綻とは予想だにしていなかったということなのかもしれません。
本作品は金融機関に勤めている人、あるいは規制当局、金融関係マスコミの方々には必見の映画だと思います。
ただし金融とはあまり縁のない人にはちょっと分かりづらいかもしれません。
映画の中で随所に解説があり、Synthetic CDO などはひじょうに上手く説明しているとは思うのですが・・・。
それにしても映画が描き出すのは、格付け機関など専門家と称される人たちのいい加減な仕事ぶり。
実際S&Pはリーマンが破綻する1週間前(9月8日)まで、リーマンを長期債A、短期A1と格付けしていたのですから(長期債Aは当時の新日鐵や日立よりも高い格付け)。
一度起きてしまったから分かることですが、恐らくはこれと同じようなことが再び起こる・・・問題は、いつ、どのような形で(今度はまったく違った形でということかもしれません)・・ということなのですが。
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