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2016年7月31日 (日)

これから先のリスク

一昨年の12月から日経ヴェリタス紙にほぼ月1回のペースで連載中の「Money Never Sleeps」。

第14回が本日発売のヴェリタス紙に掲載されました。

今年の初めダボス会議でジョージ・ソロスは、「中国経済のハードランディングは事実上不可避であろう」と警鐘を鳴らしました。

実際、これからの世界経済にとって『Brexit』よりも『中国』の方が大きな問題になり得るとの論調が最近多くなってきています(たとえば 『こちら』 )。

本日の「Money Never Sleeps」ではその辺のところに触れました。 

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2016年7月30日 (土)

検証

今年2月に 『不透明な10年後見据えて、それでも投資する人が手に入れるもの』 という本を出しました。

その中で 「GoogleかアマゾンかアップルかFacebookの何れか、またはその4社すべてに投資する」 ことについて書きました(86-88頁)。

と同時に、ダウ平均株価指数に投資することについても書きました(126頁)。

はたしてその結果は?

まだ5か月しか経っていないのですが、本が出版された日(2月26日)と現時点(7月29日)で比較してみましょう。

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4社すべて上昇しましたが、中でもアマゾンやFacebookの上昇が際立っています。

ところで、この間、円高に振れました。

2月26日の為替レート(TTM 113.02円)で円をドルに換えて米国株に投資し、7月29日の為替レート(TTM 104.42円)で(売却した米国株を)円に戻したらどうなっていたでしょうか。

    2

円ベースでみても、やはりアマゾンが際立っています。

アマゾンのベゾスはウォーレン・バフェットを抜いて世界第3位の金持ちになったのだとか(『こちら』 および 『こちら』)。

シアトルの建設中のアマゾンの新しいコーポレート・オフィスは再来年(2018年)完成の予定です。

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2016年7月26日 (火)

株長者 投資の極意

昨晩出演した日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』ですが、PCやスマホでもご覧になれます。

『こちら』です。

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2016年7月25日 (月)

自分の投資スタイルを見つける

今晩は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

今週の日経ヴェリタスは株式投資で成功した5人の個人投資家を取り上げて、その極意に迫る特集でした。

番組でもこれをフォローし、この点について議論しました。

ところで、成功した投資家の人たちの例を学ぶのは大切なことですが、自分のスタイルを見失わないことも大切です。

スタンフォードのビジネススクールでジョン・マクドナルド教授がこう言っていたのを思い出します。

『ファンダメンタルズを見て投資するのであれ、チャートを手掛かりとするのであれ、人によってアプローチはいろいろである。

長期投資が得意な人もあれば、短期で決着をつけるのが好きな人もいるだろう。

人それぞれ得手、不得手がある。

大切なのは自分のスタイルを見つけることだ。

何が正しいアプローチで、何が間違っているということはない。

どういったアプローチを取っても結果的に成功するのがその人にとっての正しいアプローチなのだ。

それを見つけることだ』

なお番組の最後では日本では個人投資家の裾野があまり広がってない、米国に比べて個人が株式投資をする率が少ないといったことを取り上げました。

いったいどうしたら個人投資家の裾野が広がるのでしょうか。

それに対する私の答えは、『投資家がきちんと利益を上げられることが重要だ』ということ。

日本では、周りを見回すと、個人投資家で損をしている人が結構多いのです。

よって「株式投資は危なそうだから止めよう」-こう考えてしまう人が多いのです。

例えば1987年にNTT株が売り出されたとき、政府が売り出しているのだから大丈夫だろうと、この株を売り出し価格で買って、ずっと持っていた人は(途中値上がりしましたが)、いまでは損をしています。

当時の売り出し価格1,197,000円→分割調整後5,867円(現在は4,969円)。

昨年の日本郵政3社の株式売り出し価格は:

日本郵政1,400円

ゆうちょ銀行1,450円

かんぽ生命2,200円

現在の価格は3社とも売り出し価格を下回っています。

政府を信じて株を買っても結局は損してしまうという状況が続いては、個人投資家は増えていきません。

(政府としては「証券会社によるブックビルディングで売り出し価格を決定しているのであって、株で損したとしても投資家の自己責任、株は上がったり下がったりするもの」という立場なのでしょう。

しかし実現が難しい成長ストーリーであれば、それを修正させるのが売り出し手として誠意ある対応であったような気がします)。

番組の再放送は:

27日(水) 21:15~です。

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2016年7月23日 (土)

もう一つの問題

中国が抱える問題。

これまでに(1)外貨準備高の逓減、(2)人民元安(の傾向)、そして(3)過剰債務問題を見てきました。

さて、もう一つの問題は資本逃避、いわゆるキャピタルフライトと言われるものです。

この問題は中国共産党幹部が個人的な資産を中国から海外に移しているといった話との関連でよく報じられてきました。

ただ恐らくは量的な規模の点からすると、もっと大きな問題は、これまで中国に積極的に投資してきた世界のマネーが中国にさほど魅力を感じなくなり、中国から引き揚げているといった点でしょう。

たとえば昨年、ゴールドマンサックスは「BRICファンド」を閉鎖しました(閉鎖と言っても実際には清算ではなく、同じくゴールドマンが運営する「新興国株式ファンド」へ統合する形を取りました)。

BRICファンドの運用成績は過去5年間でマイナス21%となり、投資家による資金の引き上げが相次いだのです(運用資産は2010年の8億4200万ドルから9800万ドルへと88%も減少;『こちら』)。

当然このファンドから中国に投資されていた資金もその多くが引き上げられてしまったものと推測されます。

資本逃避は、ファンドの形で中国市場に投資していた外国資本の撤収だけに留まりません。

例えば香港の大富豪、李嘉誠はグループ会社が持つ香港や中国本土の資産売却を進め、代わりに英国の携帯電話会社、鉄道車両メーカーなどを買収しました(『こちら』及び『こちら』)。

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     (出所:Wall Street Journal; Sept. 6, 2015)

これはM&Aの形を取った一種の資本逃避と(見方によっては)見ることが出来ます。

傘下のハチソンワンポアは中国・香港よりも欧州で利益を上げるようになり、李嘉誠はグループ会社の登記地を昨年香港から英領ケイマンに移しています。

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2016年7月21日 (木)

新しいウェブサイト

私ごとで恐縮ですが、今般ウェブサイトのデザインを新しくしました(『こちら』)。

なお 上記のリンク をクリックすると新しいものに行きつくはずですが、まれに古いものがキャッシュ・メモリーに残っていて表示されたり、一部エラー表示の画面が出ることがあります。

その際は更新もしくは再読み込みのボタンを押すと正しく表示されます。Website_6

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2016年7月20日 (水)

ネットの根源

【事例1】

最近のクルマの修理工場は、以前とはかなり変わってきたと言います。

修理の現場で意外と多く見られるのがソフトウェア関連。

このチェックのためにテスターをつなぎ、どこがおかしいかを診断します。

そしてよく出てくる診断結果が「ソフトウェアをアップデートせよ」というもの。

この指示が出てくると、クルマを通信でつなぎます。

そうすると新しく改定されたソフトウェアが本社(外車の場合は本国)からネットで送られてきてクルマにインストールされます。

修理はこれで終わります。

【事例2】

Aさんがクルマを運転していると後方からかなりのスピードで近づいてくるクルマがありました。

Aさんのクルマは危ないと認識し、自動でブレーキが少しかかり、ブレーキランプを点灯させることで後続車に警告しました。

私が運転しているクルマはここまで賢くありませんが、日本の路上ではAさんのクルマのような賢いクルマがどんどん増えています。

* * *

このように、あらゆるものにマイクロプロセッサーが組み込まれ、そして、あらゆるものがインターネットにつながる「IOTの世界」が現在急速に進展しています。

そうした中でのソフトバンクによるアームの買収。

これはもう見事と言うしかありません。

Arm_2

    (アームの株価推移~過去10年)

この買収により、ソフトバンクは、ネットの根源とも言うべきコアの部分を押さえることが出来たわけで、今後の成長が大いに期待できます。

かつてアップルがiPhoneを発表した時、ソフトバンクの孫さんはスティーブ・ジョブズのところに駆けつけ、「ぜひともこれをソフトバンクで扱わせて欲しい」と懇願しました。

ジョブズは、ドコモなどの既存勢力にチャレンジャーとして挑むソフトバンクに共鳴したこともあり、どこよりも先にソフトバンクでiPhoneが取り扱われることを認めました。

これによりソフトバンクの業績はぐんと伸びて今日の地位を築きました。

これから先、3年後、5年後はどうなっているのでしょう。

アップルやサムスンにとっては、川上はアームに抑えられています(アームはスマホに搭載される通信用半導体の回路設計シェア9割超)。

そして川下には米国のスプリントであり、日本のソフトバンクであり、いずれにせよソフトバンクグループが存在します。

川上も川下もどちらもソフトバンクグループに抑えられてしまったわけで(もちろん川下には競合他社がたくさんいるので抑えられたわけではないですが)、その昔にジョブズと孫さんとの間で交わされたやり取りは、ひょっとすると、これから先、数年後には、立場が逆転しているかもしれません。

それにこの買収をするにあたってソフトバンクが手放したのは:

【1】アリババ株、1兆0900億円、これによりソフトバンクのアリババ持株比率は32.2%から約27%へ。

【2】ガンホー株、730億円、これによりソフトバンクのガンホー持株比率は28.41%から4.94%へ。

【3】スーパーセル株、7700億円、これによりソフトバンクのスーパーセル持株比率は72.2%から0%へ

【2】と【3】はゲームの株です。ゲームはこれから先1年くらいはポケモンGOに客を奪われそうですから、売却のタイミングとしては良かったものと思われます。

そして英国の国民投票でEU離脱が決まったこともあって、ポンドもぐんと安くなっていた・・(よって買収価額が高いと一部で批判されていますが、円ベースにするとそれほどでもない)。

いろんな意味で見事と思わせる買収劇でした。

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2016年7月18日 (月)

中国の過剰債務問題

中国はリーマンショックに際し4兆元(62兆円)もの景気刺激策を断行し、世界経済の底割れを防ぎました。

しかしそれが過剰資本ストック、過剰債務となって、その後の中国経済をじわじわと苦しめるようになってきました。

いったいどの程度の過剰債務なのでしょうか。

本日の朝日新聞に中国の政府系有力シンクタンクの試算が報じられていました。

以下、記事の一部のみ引用します(全文については『こちら』をどうぞ。あるいは新聞の第4面をご覧ください)。

『中国全体の負債額が国内総生産(GDP)の2.5倍にのぼるとの試算を、中国の政府系有力シンクタンクが発表した。

国際通貨基金(IMF)も「切迫している」と警戒を強める借金問題に、中国政府が抜本的な対策を示せるかが注目を集めている。  

借金の総額は2015年末時点で168兆元(約2650兆円)。

GDPの249%に達し、うち企業分が156%を占める――。  

中国社会科学院国家金融・発展実験室の李揚理事長は先月、こうした試算を公表し、

「企業の債務に問題が生じれば、銀行にも波及する」

と警鐘を鳴らした。  

IMFの見方は

「今日の借金問題は明日のシステム不安になりうる」(リプトン筆頭副専務理事)

とさらに厳しい。

効率の悪い国有企業が借金を重ねる構造が温存されれば問題は深刻化するとして、先月、中国政府に速やかな対策を促した』

ポイントはGDPの249%のレベルがはたしてどういった水準であるか、他国と比べてどうかという点です。

日本は政府債務の残高だけでGDPの232%に達します(『こちら』)。

ですから、全体の債務がGDPの249%と言っても、日本の感覚からすれば大したことはありません(その日本の『感覚』が実は問題なのですが、ここでは日本のことに深入りせず、中国に絞ってみていきます)。

さて中国のこの『全体の借金』には、政府部門、家計部門、非金融民間企業部門が含まれ、金融機関の債務は含まれないものと思われます。

そして、ここで特に問題なのは上記記事で企業部門156%とあるように、企業部門の負債がGDPの156%にも達することです。

これは、日本の企業部門の債務残高の対GDP比率の過去最高値(94年末、149.2%)を上回る水準。

日本では当時ゾンビ企業の存在が銀行を苦しめ、97-98年の金融危機(97年の北海道拓殖銀行破綻、98年の日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の破綻)に結びついていきました。

こういった事態に陥らないためにも、中国が過剰債務問題に抜本的に取り組むことを期待したいものです。

世界は連鎖しているので中国の問題は日本を含む他国に波及してしまうからです。

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2016年7月17日 (日)

中国の外貨準備高

『中国の外貨準備高は今年6月末の時点で3兆2100億ドル。5年ぶりの低水準となった5月末時点から134億ドル増と予想外に増加、過去14ヵ月で最大の伸びとなった』(北京/上海 7月7日 ロイター;『こちら』)。

しかしながら増加したと言っても、この水準はピーク時(2014年6月)に記録した3兆9900億ドルに比べれば2割減。

下図の白線のように外貨準備高は2014年以降、趨勢としては減少を続けている(注:下図はクリックすれば約4倍に大きくなる)。

China_4

中国の人民元相場は前日比変動幅2%以内になるようコントロールされている。

それを超える変動があった場合には中国人民銀行が為替介入を実施する。

ちなみに市場圧力が人民元安の時には、中国人民銀行は外貨準備を使って(ドルを売って)人民元を購入する。

その人民元相場だが、上図の青線のように人民元は対ドルで2013年末の0.165ドル/元をピークに減少を続け、最近では0.149ドル/元まで下がってきている。

中国の外貨準備高が趨勢として減少トレンドにあると言っても、世界2位の日本(外貨準備高1兆2700億ドル)を上回り、世界最大の水準にある。

為替介入を続ける余力はまだまだ有るというのが一般的な見方だ(もっとも中国人民銀行の発表する外貨準備高は必ずしも正確ではないという見方もある)。

いずれにせよ、中国の人民元は下落のトレンドにあり、外貨準備高もピーク時2割減のところまで下がってきている。

これが中国経済の先行きを暗示するものなのか、今後ともこういった指標に注目していく必要があるだろう。

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2016年7月15日 (金)

Pokémon GO のヒット

米国でPokémon GOが大ヒットしているとのニュースを耳にし、思わずマイクのことを思い出しました。

米国IBM本社で企画担当の幹部をしていたマイクは、JPモルガンのマネージングダイレクターにヘッドハントされ、部下のマルコ(『こちら』)とともによく日本にやってきていました。

1999年ころの話です。

彼は、IBM時代から日本の総合電機メーカー幹部の人たちとも付き合いがあり、単なる投資銀行家以上に説得力のある話をするので、日本企業に歓迎されていました。

そのマイクが日本に来るたびに「息子から頼まれたポケモン・カードを買いたいのでポケモンショップに連れていって欲しい」と言っていたのです。

1泊2日の来日で数社の日本企業を訪問する合間を縫って、米国モルガンの幹部が息子のためにポケポンショップに立ち寄る・・。

その息子さんは今では30歳前後になっているはず。

米国で大人たちも夢中になって街に出てピカチュウを探しているのが何となく理解できるような気がします。

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2016年7月 8日 (金)

Googleと任天堂とのコラボ

このところ毎日冴えない展開が続く東京株式市場。

その中で本日異彩を放ったのが任天堂の株価です。

東京証券取引所第一部には1,972の会社がありますが、本日の上昇率トップだったのが任天堂。

1,335円高(+8.94%)でした。

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      (上図は今週1週間の任天堂株価推移)

何が起きたのでしょう。

実は米国などで先行配信が始まった新作アプリ『Pokémon GO』が米国のApp Store売上ランキングでいきなり首位に立ったのです。

   Poke

      『Pokémon GO』のPVより

Google 社内スタートアップ、Niantic Labs が、昨年Googleから独立する(spin-out)ことによりして設立された Niantic Inc. 。

この会社の Head of Asia Pacific Operations (アジア太平洋統括本部長)の川島優志さんがフェイスブック上で明らかにしたところによると、『Pokémon GO』のプロジェクトはいまから2年以上も前にスタート。

Niantic には、Google のみならず、任天堂、そして株式会社ポケモンも出資。

当時このプロジェクトの実現に期待を寄せていたという岩田さん(任天堂前社長)も、今日の出来事をきっと天国で喜んでいるに違いありません。

ところで、Pokémon GO は、いったいどんなゲームなのでしょうか。

1分55秒のPV(プロモーションビデオ)は『こちら』です。

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2016年7月 6日 (水)

ファンドの解約凍結

ファンドの解約凍結というと、恐らくは多くの人はリーマン破綻のほぼ1年前の出来事のことを思い出すのではないでしょうか。

2007年8月9日、フランスの銀行BNPパリバが傘下のファンドの解約凍結を発表、その影響で各通貨が暴落し、ドル円は約10円、ユーロ円は約15円、ポンド円は約20円、それぞれ1週間で下落しました。

今回は一昨日(7月4日)、英保険大手スタンダード・ライフ(SL.L)傘下のスタンダード・ライフ・インベストメンツが規模29億ポンドの不動産ファンドの解約を停止。

そして5日、英保険大手アヴィヴァ(AV.L)傘下のアヴィヴァ・インベスターズは、総額18億ポンドの規模を持つ不動産投資信託(REIT)の解約を停止。

さらに5日午後には、英生保プルーデンシャル(PRU.L)傘下M&Gインベストメンツが運用する44億ポンド規模のプロパティー・ポートフォリオも解約を停止。

2007年の時のように、これは危機の序章なのか・・。

あるいは2007年とは違って、これは一過性なのか・・。

誰もが悩ましく思うところです。

そんな中でドイツ銀行の株価が下げ止りません。

下図は過去20年間の株価チャートですが、現在最安値を更新中。

マーケットでは「ドイツ銀行が次のリーマンショックを始めることになるかもしれない」といったセンセーショナルな記事も出始めました(『こちら』)。

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2016年7月 1日 (金)

丁半どちらかに賭けるようなことはしない

サイコロを振って奇数が出るか偶数が出るか、確率は50%です。

有能な投資家は50%の確率に賭けるようなことはしません。

他の人に見えないものを見ることが出来て確率60%と思えば話は別ですが、50%で賭けるのは博打です。

英国によるEU離脱について、事前の日本の報道では、「離脱はないだろう」とのニュアンスの報道が多かったように記憶しています。

しかし直前まで欧州にいた私は正直分からない(五分五分)と書きました(『こちら』)。

こうした状況下でどちらかにベットするという有能な投資家はいません。

一部メディアでは「ジョージ・ソロスは今回の英国によるEU離脱を当てた」と報じられましたが、これは必ずしも正確ではありません。

彼は、

「もし英国がEUを離脱すればポンドは対ドルで15~20%も下落することになるだろう。

そして離脱が判明する6月24日(金)は Black Fridayとして人々の記憶に残るだろう」

と発言したのです。

結果は、1ポンドが1.49→1.19ドル(20%の下落)になることはなくて、今のところ1.33ドル(11%の下落)でとどまっています(日本時間7月1日午後9時43分現在)。

しかしソロスが述べたように、「英国によるEU離脱」は、たしかに Black Friday に近いインパクトを人々の脳裏に焼き付けました。

ところでソロスが運用する Soros Fund Management の今年3月末時点での運用状況は5月16日(月)付にて政府に報告され、その内容が報道されています。

これを見ると、ソロスは今回の英国によるEU離脱にかけてポジションを取っている様子は見受けられません。

もしもソロスが英国によるEU離脱を読み、それに賭けたというのであれば、ソロスは大胆にポンドをショート(ポンド売り)したはずです。

ところが実際に彼が行ったのは、「米国株の売り」と「金(および金関連株式)の購入」です。

50%の確率でどちらに転ぶか分からない「人々の行動」に賭けるようなことはしなかったということだと思います。

詳しくは『こちら』の記事をどうぞ。

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