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2016年8月 7日 (日)

トヨタ株の今後

今週の日経ヴェリタスは「トヨタ株は買いか」の特集。

トヨタ株の今後を(1)自動運転、(2)電動化、(3)シェアリングの切り口から占っています。

詳しくは記事の方をご覧になって頂きたいのですが、ここでは私の感想を少し。

トヨタ株については、私が思うに、投資家の懸念は主に次の点にあるような気がします。

『いかにトヨタといえども(1)燃料電池車(2)プラグインハイブリット(3)電気自動車といった全方位的なアプローチは無理で、もっと絞り込む必要があるのではないか』

将来、何が勝ち組になるから分からないから、トヨタとしては燃料電池車やプラグインハイブリットに軸足を置きつつも全方位的アプローチを行っているのでしょうが、テスラや日産は電気自動車に賭けているように思います。

はたしてトヨタのアプローチが正しいのかどうか。

かつてFPD(フラットパネルディスプレイ)を巡って、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)などが鎬を削りました。

パナソニックはプラズマにかけ、キヤノンはSED(FEDの一種)を推し進めていました。

今から10年前のことですが、私は幕張で開催されたCEATECでSEDを見ました(『こちら』)。

「これは見事なディスプレイだな」と鮮烈な印象を持ったのを今でも思い出します。

しかし液晶における技術革新が予想以上に早く進みました。

その結果、パナソニックやキヤノンはプラズマやSEDからの撤退を余儀なくされてしまったのです。

キヤノンは2010年の段階で早々とSEDから撤退。

パナソニックはプラズマからの撤退が遅れて2013年度末となってしまいました。

投資家としては「こうしたことと同じようなことが自動車に起こると・・」と不安を覚えてしまうのです。

ある時点で進んでいた技術が、他の技術が進むことで追い越されてしまうということが起こりえるからです。

例えばこれから先、技術革新によってもし仮にリチウム電池の性能が更に格段と進化するとした場合、いったいどういうことになるのでしょうか。

燃料電池車やプラグインハイブリットに軸足を置きつつも全方位的アプローチを行なうトヨタが勝つのか、それとも将来を見据えて電気自動車を推し進めるテスラのような会社が勝利するのかー。

その答えはそれほど遠くない将来に出てくるように思います。

なおご関心のある方はこの辺についてもう少し詳しく論じた『こちら』の記事もご参照ください。

* * * 

もうひとつ気になる点は自動運転に向けての技術。

先月日本でも発売されたメルセデスのEクラスは、

(1)前走車との最適な車間距離のサポート(注:日本の規制上、敢えて「サポート」といった表現にしているのかもしれません)

(2)車線維持のサポート(車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識)

(3)車線変更をアシスト(移動したい車線側のウィンカーを2秒以上点滅させる)

(4)交通標識を画像認識で読み取り制限速度をドライバーに知らせる

(5)歩行者飛び出し検知機能

(6)ミリ波レーダーを使って側面衝突の事故を検知し、ぶつかる直前に、シートのサイドサポートに仕込まれたエアチャンバーを膨らませて、乗員をクルマの中央に向かって押し出すシステム

(7)iPhoneを使ってリモートコントロールの自動パーキング(日本仕様車では今回採用されず)

といった具合に、至れり尽くせりの内容。

当然トヨタもこういった技術はすべて持っているのでしょうが、実際にこういった車を売り出すといった点ではメルセデスが一歩先を行ったように思いました。

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