8年ぶりの減産合意
OPECによる「8年ぶりの減産合意」の割には、原油価格は5%程度の上昇で終わっています(昨日のWTI)。
(過去2日間のWTI推移)
この程度の上昇で終わったのは、
(1)減産の中身が「現状の33.2million BPD から、32.5~33.0million BPD にする」という、ややマイルドな内容(詳しくは『こちら』)であったということ(BPDとは、barrels per day のことで日量換算のバーレルベース生産量)
(2)そしてそもそもOPECによる「世界の原油生産量に占めるシェア」が、ジリジリと低下傾向にあること
この2つの要因によると思われます。
10年前(2005年)、OPECは世界全体の原油生産量の42.9%を産出していました(このデータも含め、以下、数字はすべて『こちら』から取りました)。
それが2015年は41.4%。
2015年の「世界の産油国トップ3」を見てみましょう(数字は千BPDです)。
1位 米国 12,704
2位 サウジ 12,014
3位 ロシア 10,980
この1年前、2014年の米国の産出量は11,723千BPDでした。
つまり 2015年の1年間で米国は 981千BPDほど増産したわけです。
今回のOPECの決定は、OPEC全体で700千BPD程度減産するというもの。
減産を機に油価が上昇しても、すぐに米国のシェールオイルが増産に入って減産分が帳消しにされてしまう、こんな展開が透けてみえます。