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2016年10月30日 (日)

クルマを運転して移動するのが好きな人たち

少し前の話ですが、ミュンヘンのA社を訪問した時のことです。

事前にアムステルダムに立ち寄って、B氏と打ち合わせ。

そしてB氏と一緒にいよいよこれからミュンヘンへ向かおうという時。

私はてっきり空港に行って、そこから飛行機でと、勝手に思い込んでいたのですが、B氏が運転するポルシェは高速道路をそのまま一路ミュンヘンへ。

距離にして約820 km。日本でいえば東京から広島へといった感じですが、この程度の距離をクルマで行くのは欧州ではそれほど珍しくはないようです。

ちなみにドイツのアウトバーンでは制限速度のない区間もあり、なかには時速300キロを超える速度で走行するクルマもあると言います。

B氏が運転するポルシェも結構なスピードだったのですが・・。

日本なら飛行機や新幹線で行くところも、このように車に乗って高速道路で移動する・・。

欧州、とくにドイツではクルマを運転して移動するのが好きな人たちが多いように思われます。

事実、ドイツでの車1台あたりの年間走行距離は、14,259 km。 これに対して日本は、10,575 km (『こちら』)。

そういった国民性やクルマの使われ方の差によるのかもしれませんが、日本のハイブリットカーは残念ながら欧州ではあまり見かけません。

2014年にPHV(プラグイン・ハイブリット)のコンセプトカー「アステリオン」を発表したランボルギニでさえ、

『PHVは、現状では重量が増加して、動力性能の低下につながる』(ドメニカリCEO)

と市販化に否定的なニュアンス。

   Asterion

        (アステリオン)

しかし欧米メーカーといえども、いつまでもガソリン車やディーゼル車に頼り続けるわけにはいきません。

米国カリフォルニア州だけでなく欧州でも環境規制(燃費規制)がこれからいっそう厳しくなるからです。

そんな中で注目されるのは、今年のパリ自動車ショーでも明らかになったように、EV車(電気自動車)です。

EVもPHVのようにバッテリーが重いという問題を抱えていますが、たとえばテスラモデルS P100D。

このクルマは重いバッテリーをものともしない動力性能を達成しています。

最高速度は250キロ。

0−100 km/h加速タイムは2.7秒。

これはフェラーリ488GTB(3.0秒)を軽く凌駕します。

しかもフェラーリとは違って、4ドアで大人5名+子ども2名が乗れるとのこと(『こちら』)。

テスラモデルS P100Dはすでに8月24日に発売開始となっています。

気になる航続距離も 613 km(『こちら』)。

   P100d_4

        (テスラモデルS P100D)

もちろん航続距離 613 kmであったとしても、アムステルダムからミュンヘンに行くには途中1回充電する必要が生じてしまうのですが・・。

欧州のメーカーはどうでしょう。

メルセデスはジェネレーションEQを発表。

    Generation_2

       (ジェネレーションEQ)

EQは、メルセデスがEV(電気自動車)用に立ち上げた新ブランドで、コンセプトカーのジェネレーションEQは、0-100 km/h加速タイムが4秒台。

航続距離は最長500km。

一方、フォルクスワーゲンは次世代EVコンセプトカー「I.D.」を発表。2020年発売予定で1回の充電で、およそ400-600km走行できると言います。

     Vw 

        (フォルクスワーゲン I.D.)

コンセプトカーではなくて、すでに量産開始、今年の年末までに納車されるのは米国GMの電気自動車ボルト。

0-60マイル(約100 km)/h加速タイムは7.5秒。

Volt_2

         (GM ボルト)

航続距離は最長383km。

価格は37,000ドル(約380万円)。詳しくは『こちら』

アムステルダムで会ったB氏のように、クルマを運転して移動するのが好きな人たちにとっても、EVの持つ巨大パワー&トルクは魅力的。

「日本が得意とするPHVは?」

と聞くと、

「新型のPHVプリウスでも、EV走行での最高速は135km/hで、EV航続距離は60km超。アウトバーンで移動するには結局はガソリンモードで、ということになってしまうのではないか」

との感想。

走りを楽しむ欧州の人にとっては、ガソリン、ディーゼルの次は一気にEVに、ということになっていくような気がします。

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2016年10月21日 (金)

父ブッシュ(パパブッシュ)からビル・クリントンへの手紙

テキサス州にある George H.W. Bush のPresidential Library and Museum (ブッシュ大統領記念館)。

そこに父ブッシュ(パパブッシュ)からビル・クリントンへの手紙が展示されています。

Letter1_2

   (クリックすると大きくなって読めるようになります)。

第41代大統領に就任した父ブッシュは1992年の大統領選でビル・クリントンに敗北。

この手紙は、93年1月にホワイトハウスに着任するビル・クリントン宛てに前任の父ブッシュが残していたものです。

実は、今回の大統領選でヒラリーは20年以上も前のこの手紙の写真を今年6月彼女のインスタに載せていました(『こちら』)。

そして、昨日の第3回TV討論後のことです。

今度はヒラリーの手によってではなく、自然とこの手紙の写真がネット上で次から次へと拡散するようになりました(『こちら』の記事を参照)。

  【邦訳】 

1993年1月20日 

親愛なるビルへ 

たった今このオフィスに足を踏み入れた時、私は4年前と同じ感嘆と畏敬の念に打たれました。 

あなたもきっと同じように感じると思います。 

ここでの大いなる幸せを祈っています。 

何人かの大統領たちが言っていたような孤独を ここで感じたことは一度もありませんでした 。 

これから先ひじょうに難しい時が来るでしょう。 

公平とは思えない批判によってより一層 困難な状況になるかもしれません。 

私はアドバイスをするのが得意ではありませんが、どうか批判 によって思いとどまったり流されたりしないでください 。

この手紙を読むときに、あなたは(民主党も共和党も関係なく)我々みんなの大統領になっているでしょう。

あなたの幸せを祈っています。

ご家族の幸せを祈っています。

今やあなたの成功は我々の国の成功です。

あなたを心から応援しています。

幸運を。

ジョージ

* * *

大統領選を闘って、自分が敗れ、相手が勝った・・。

自分をやぶった相手に対して、こうした手紙を残す度量の大きさが第41代大統領のブッシュにはありました。

以下はWikipediaからの引用です。

『クリントンは自らの退任後、同じ「元大統領」としてブッシュをさまざまな非政治的な式典や被災地の慰問などに誘った。

そうしたことから両者の仲は極めて親密なものとなり、その関係は相互の家庭を時折訪問するほどまでになった。

息子の嫁のローラ夫人はその親密ぶりを「うちの家族にはミスタープレジデントが三人もいるんですよ」と評したこともある』

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2016年10月15日 (土)

長時間労働という誤解

我々は長時間労働という問題に真剣に立ち向かわなければならない。

経営者が従業員の長時間労働を望んでいないことは明らかだ。

電通のように東京労働局と三田労働基準監督署の立ち入り調査を受けるに至っては、場合によっては経営陣の一角の首が飛ぶことにもなりかねない。

最悪の場合刑事事件として立件されることもありえる。

経営陣が望んでいないにもかかわらず何故長時間労働がなくならないのか。

多くは現場の部長、課長に責任がある。

(1)部下に長時間働いてもらうことで仕事の量と質が上がり、それが自分の部署のパフォーマンス評価に繋がると誤解している人がいる。

(2)新卒一括採用のシステムの下では、各部門が新人の争奪戦を繰り広げる。

目一杯働いている部署の方が、新人を入れてほしいという主張が通りやすいと誤解している人がいる。

(3)そして何よりも部課長の中には帰宅恐怖症の人がいる。

自分が早く帰ると部下も早く帰ってしまうのではないか。

すると同期との競争に負けてしまうのではないか。

そういった誤解が引き起こす帰宅恐怖症だ。

* * *

興銀で22年間サラリーマンをしたが、私が仕えた上司の半数以上が上記の(1)~(3)に分類される人たちだった。

私より3年先輩のA氏は帰宅恐怖症の上司には付き合ってられないとばかり、7時半ころには退社していた。

その時の上司はA氏が帰った後、夜9時過ぎから班のミーティングを開始していた。

その結果、何が起きたかというとA氏は同期の中で昇進が遅れた。

そういうのを見て知っていた我々は、仕事を終えてやることがなくなっても仕事をする振りをして上司と一緒に深夜12時前後に退社することにしていた。

* * *

それでは日本企業と違って外資系は長時間労働ではないのかというと、必ずしもそんなことはない。

外資も、とくに投資銀行は、日本企業以上に長時間労働だ。

『ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち』という本に詳しく書かれているのだが、投資銀行ではアソシエイト、アナリストの人たちが酷使される。

彼らアソシエイトたちから依頼を受ける渉外弁護士などは、彼らの依頼が深夜に来る結果、朝の4時とか5時まで働かされたりする。

これも投資銀行での上司の部門長が過大な資料を要求するからだ。

しかしプレゼンを受ける方の取引先の経営陣はそうした過大な資料を評価するのだろうか。

たしかに厚いプレゼンを評価するサリーマン社長も多いのだが、本当に実力ある会長・社長の場合は細かい資料などどうでもいい。

私自身、外資系投資銀行でもっとも成功したと思うプレゼンはたった1枚の紙で行った。

それも1枚紙の左と右に2つの絵を載せただけのものだった。

これを見せられたB会長はこの絵の前で「うーん」と考え込み、「なるほど。有難うございます」と一言。

この案件では競合他社に勝った。

* * *

長時間労働を変えるのは簡単ではない。

夜8時以降は会社に残れないからと、自宅に仕事を持ち帰る人も多い。

規制を監督する立場の霞ヶ関が夜遅くまで働かされている。

30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいことでは、著者の宇佐美典也氏が月300時間を超える残業を数ヶ月続けたと書いている。

こうした長時間労働の結果、日本企業が世界で勝ち進み、日本にいる人たちが豊かになっているかというと、そんなことはない。

日本のGDPは過去20年間で減少し、世界シェアは90年の13.8%から2013年には6.6%へと劇的に転落した。

半導体、ディスプレイ、携帯電話機器の分野でも海外勢に負け、頼みの自動運転でも日産が車線変更可能なレベル2の自動運転車を出すのは2018年、トヨタに至っては2019~20年と言われている。

テスラやメルセデスEクラスはすでにこれらを達成している。

ちなみに現在市販されているメルセデスEクラスは量産車で初めてネバダ州の自動運転許可のナンバープレートが交付されている。

シリコンバレーに行けば街中を50台ものグーグルの自動運転車が走っている。

赤信号になれば運転手が操作しなくともピタッと止まる。

* * *

話はそれてしまったが「長時間労働=価値の創造」ではない。

我々はどうでもいい些細なことに時間を投入するのを止めて、価値の創造に努めなくてはならない。

デパートで綺麗に包装してくれるのが日本式の顧客サービスだという意見もあるだろうが、私は無駄だと思う。

飛行機に乗れば客室乗務員の人がいろいろと世話してくれるが海外のエアラインではそこまでの過剰サービスはない。

必要なのは安全に目的地に届けてくれることだ。

「些細なことにこだわるのが日本のおもてなし」、「お客様は神様」、「出来るだけいろんな機能を一つの製品に投入しよう」・・・こういったことは一面正しいのかもしれない。

しかしそれに係るコストやその達成のために犠牲になること(たとえばボタン機能が多すぎて使いにくいリモコン)を考え合わせるべきだと思う。

そして何よりも上に立つ人が意識改革を徹底させなければならない。

政治家からの質問提出が遅れれば、霞ヶ関では明け方近くまで残って回答を準備しなくてはならない。

経営者が10を言って、それに15で答えて評価を得ようとする管理職に対しては、経営者は15を出されて感心するのではなくて、そのコストに思いを馳せなければならない。

『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』 (中島聡著) に次のようなエピソードがある。

Windows 3.1に続く次世代OS開発のためにマクロソフト社内にカイロとシカゴという2つのプロジェクトチームが作られた。

2つのチームは競い合っていた。

カイロは博士課程を修了したようなバリバリのエリートたち。

一方のシカゴはハッカーを寄せ集めた職人集団というイメージ。

筆者の中島氏はカイロに配属されたが、退屈なミーティングが多く上司と喧嘩し、シカゴに移った。

その際、カイロのアイデアをシカゴに持っていったとしてビル・ゲイツが出席する社内裁判にかけられた。

社内裁判は中島さんへの裁判といった側面だけでなく、そもそもカイロの仕事のやり方が良いか、シカゴが良いのかさえも問われる状況になっていったらしい。

カイロは400ページの資料を作成して、それを元にシカゴの仕事がいかに適当でダメかを話した。

中島氏は400ページの資料を読んでさえいなくて、あるデータが入ったCD-ROMの中身を披露しながら、「カイロ・チームの主張にも一理あるけれど、完璧なアーキテクチャ(基本設計)を追い求めていては、永遠にものは出せません」と訴えた。

これに対してビル・ゲイツはたった3分で結論を出した。

「カイロ・チームを解散させる」

詳しくは上記著書を読んでほしいが時間の無い人は中島氏の『こちらのサイト』にだけでも目を通してほしい。

* * *

こうしたことをいろいろと考えていくと長時間労働はトップの資質の問題でもある(このブログの冒頭で経営者は従業員の長時間労働を望んでいないと書いたのだが、長時間労働が起きるのはやはりトップの資質の問題だ)。

もっと言うと、(トップに限らず)上から下まで無駄なこと(カイロ・チームの社内向け400頁の資料作成のように)を平気で行ってしまうカルチャーの問題かもしれない。

我々はものの見方を変えるべきだ。

長時間労働は無駄、もしくは余分な仕事を強いられているということだ。

とくに40歳以上で長時間労働をしている人、部下にそれを課す人は抜本的な意識改革をする必要がある。

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2016年10月12日 (水)

ディベートの感想

先日の第2回テレビ討論。

90分間のディベートで最初の18分間くらいはヒラリーが圧勝していたように思いました(以下の文章も含めてすべて私の個人的な感想です)。

何よりも話題がトランプの女性蔑視発言についてであったこと。

そしてそのトランプに対しては、司会者(モデレーター)が「あなたは質問に答えていない」と追求したりして、この間ヒラリーは余裕をもって、「司会者」対「トランプ」のやり取りを聞いていればよかったのです。

しかしながらトランプはクリントンのe-mail 問題を持ち出し攻勢を強めます(ディベート開始後18~19分)。

「あなたは召喚状(subpoena)を受けた後で33,000ものメールを削除したではないか(after getting the subpoena you deleted 33,000 emails)」

「私が大統領になれば司法長官(Attorney General)に命じて特別検察官(Special Prosecutor)に捜査させる」

「(その結果によっては)あなたは投獄されることにもなるだろう(You would be in jail)」

こういった追及に対してクリントンは正面からは答えず、

「トランプの言っていることは全て完璧なウソだ(Everything he has just said is absolutely false) 」

と反論しました。

どこがウソなのかについては触れず、

「hillaryclinton.com(注:彼女のウェブサイト;https://www.hillaryclinton.com/)に行けば事実をチェックできる」

と答えるのみ。

やや物足りなさを感じました。

【注】私は実際にクリントンのウェブサイトに行ってみました。

すると、そこからFactCheck.Org(http://www.factcheck.org/2016/10/factchecking-the-second-presidential-debate/)に飛ぶようになっていて、 

A contractor managing Clinton’s server deleted the emails. There is no evidence Clinton knew when they were deleted.

とのみ記されていました。

ディベート開始後25分くらいからは医療保険改革(オバマケア)、シリア問題、エネルギー政策など政治的な諸問題が取り上げられ、これらに関して両候補が各々の立場を明らかにしていきました。

この部分(開始後25分以降、終了まで)の空中戦は、両陣営五分五分といった感じ。

司会者(ABCのCo-AnchorとCNNのAnchorの2人)はどちらかというとクリントン寄りで、途中トランプは「これじゃあ、One on three (1対3)だ」と言い出す始末。

今から14時間ほど前ですが、ツイッタ―でもトランプは

「Wow, @CNN Town Hall questions were given to Crooked Hillary Clinton in advance of big debates against Bernie Sanders. Hillary & CNN FRAUD!」

とつぶやいていました(『こちら』)。

なおReal Clear Politics による両陣営の獲得選挙人数の予想は『こちら』です。

【追記】

以下はFacebookへのコメントに対する私の回答(要旨)です。

『説得性はともかくとして、トランプの言っていることはあまり論理的ではありません。

しかし彼の支持層は論理よりも感情で動かされる人たちのようです。

(もし仮に) トランプが大統領になったら・・ですが、例えば世界の株式相場は相当下がると思います。

少なくとも11月以降半年くらいの期間は・・。

脇役の人たちがしっかりしないと世界は危なっかしくなっていくような気がします。

その昔、日本の銀行も何行か、彼の不動産プロジェクトへの融資で傷ついたと記憶しています(なにせ4回もデフォルトを起した人ですから)。

トランプが「ビジネスで成功した」と宣伝するなら、「まずはおカネを返してから」といった感情を持つ銀行家も多いのではないでしょうか』

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2016年10月 9日 (日)

テレビ討論

正式なクラス名は忘れてしまいましたが、スタンフォードに留学中(78-80)、テレビカメラを前にして模擬形式の記者会見だとかテレビ討論をやらされたことがあります。

幾つか異なった状況設定があり、たしか私が担当した役は環境問題でトラブルを起こした会社のCEO。

クラスメートがこれを追及する環境団体役員の役で、追及する人とこれに対応する人とのやりとりの模様をクラスに持ち込んだテレビカメラで教授が撮影し、後で動画を映しながらクラス全員でコメントし合うという内容です。

(その他にもいろいろな状況設定がありクラスのメンバーの過半が何らかの役で “出演” しました。)

この種の授業は私のような日本語訛りの強い英語を話す日本人留学生には頭痛の種。

しかし映し出された動画を見てクラス全員が感想を言い合う段になると、「激しい追及を受けながらもたどたどしい英語で一所懸命答える様子がかえって好感を持てた」といったコメントも・・・。

授業の終わりで教授が総括し、「テレビカメラを前にするときにはカメラの後ろにいる視聴者に向かって語りかけるように話すんだ。たとえ相手との討論に勝ったとしても視聴者のsympathy(同情)を得なければ負けてしまう。追及する側も追及し過ぎると視聴者の反感をかってしまうことがある」

* * *

4日(米国時間)に行われた民主党のティム・ケーン(Tim Kaine)上院議員(58)と共和党のマイク・ペンス(Mike Pence)インディアナ州知事(57)による副大統領候補テレビ討論会。

この討論会は教授が授業でコメントしたような状況だったようです。ケーン候補はトランプ陣営を強烈に追及しましたが、ペンス候補が冷静に対応。ケーンは議論には勝ったものの視聴者の軍配はペンスに上がったようでした。

米国の大統領選挙も投票日(11月8日)まで残り1か月を切りました。

今日9日(米国時間;日本時間では明日10日)にはいよいよ第2回目のクリントンvs. トランプのテレビ討論会が開かれます。

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2016年10月 2日 (日)

国債買入れ量の減額

1日の朝日新聞(『こちら』)によると、先月30日の市場調節で日銀は、満期10年を含む5年超10年以下の国債の買入れ量を減らしたとのこと。

日銀が買ってくれる量が減れば、市場では国債がだぶつき、価格は下落(金利は上昇)。

この結果、長期金利は一時、マイナス0.070%まで上昇し、前日終値より0.020%幅マイナス幅を縮めました(金利上昇;国債は値下がり)。

市場では「マイナス0.1%」が日銀の許容限度(それ以上のマイナスにはさせない)との見方が強く、今回の市場調節はそれを裏付けるものであったと見られています。

なお日銀が先月30日に発表した『当面の長期国債等の買入れの運営について』(『こちら』)。

これによると、10月初回の購入額は5年超10年以下の国債が4,100億円程度。

これは従来(『こちら』)に比して▲200億円、10年超25年以下が1,900億円程度(従来比▲100億円)。

このように10月の運用でも日銀は長めのものの国債買入れ額を減らしていくことを打ち出しています。

つまりこうしたオペレーションによって日銀は10年金利をゼロに引き上げようとしているのです。

一方で、1年以下の国債、1年超5年以下の国債については10月の初回買入れ量を従来同様にそれぞれ700億円、8,200億円としており、短めの国債については従来方針を維持。

この結果、日銀はイールドカーブが右肩上がりに立つことを期待しているわけです。

しかし、このオペレーションは5年以下の部分については従来同様の緩和、5年超の部分は緩和縮小ですので、トータルとしてみればテーパリング(緩和縮小)ということになってしまいます。

つまり長期金利(10年)をマイナス圏からゼロへと引き上げつつ、国債保有残高を従来同様の年約80兆円をめどに増加させるという、2つの相反する目標が達成できるのかどうか・・・。

これに対して日銀は「マネタリーベースの残高は、上記イールドカーブ・コントロールのもとで短期的には変動しうる」と述べており(『こちら』)、(緩和の)量を犠牲にしてでもイールドカーブ・コントロールを優先して行う旨を鮮明にしています。

ただ一方で(それだけでは市場で緩和縮小ととられてしまうので)マネタリーベースの残高については、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続することを約束。

2%超過型の約束であることから日銀はこれを“オーバーシュート型コミットメント”と呼んでいます。

そしてこうしたコミットメントによって市場にフォワード・ルッキングな期待形成がなされる(下図)ことを目指すとしているのです。

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    (上図は29日付の日経新聞第29面、『こちら』です)。

以上が今回の日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策なのですが、現実には長期金利の世界では、テーパリング、すなわち緩和の量の縮小(あるいは場合によっては引き締め)になりうるだけに、日銀の思惑通りに期待形成がなされるのかどうか・・・。

ところで下図は誰が日本国債を保有しているかの図で過去10年間のトレンドを示すものです。

このままの状態が続けばあと2年もすれば2つの曲線が交わると予想されています。

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当初短期決戦を予定していた日銀の金融緩和も今回の検証を経て、長期戦の様相を呈してきました。

しかし時間が経てば経つほど政策のオプション(選択肢)は限られてきてしまいます(例えば日銀が買える国債がだんだんとなくなってしまう)。

日銀に過度な期待はできません。

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2016年10月 1日 (土)

RIP

RIPとは欧米の墓に刻まれる文字。

ラテン語 Requiescat in Pace の頭文字で、「安らかに眠れ」という意味。

今日から興銀のビルの取り壊しが始まるのですが、そのことについてウォールストリート・ジャーナルが記事にしていました。

その記事(下記)の見出しが、『R.I.P.: Japanese Bank Tower That Embodied Nation’s Industrial Might』というもの(記事の全文は『こちら』でどうぞ)。

* * *

Rip_2

一昨日ですが私も取り壊し前の興銀ビルの写真を取ってきました(下記)。

* * *

 Ibj_2

ビルは取り壊されても「業を興す」という興銀の精神が次の世代に引き継がれていくことを期待したいと思います。

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