クルマを運転して移動するのが好きな人たち
少し前の話ですが、ミュンヘンのA社を訪問した時のことです。
事前にアムステルダムに立ち寄って、B氏と打ち合わせ。
そしてB氏と一緒にいよいよこれからミュンヘンへ向かおうという時。
私はてっきり空港に行って、そこから飛行機でと、勝手に思い込んでいたのですが、B氏が運転するポルシェは高速道路をそのまま一路ミュンヘンへ。
距離にして約820 km。日本でいえば東京から広島へといった感じですが、この程度の距離をクルマで行くのは欧州ではそれほど珍しくはないようです。
ちなみにドイツのアウトバーンでは制限速度のない区間もあり、なかには時速300キロを超える速度で走行するクルマもあると言います。
B氏が運転するポルシェも結構なスピードだったのですが・・。
日本なら飛行機や新幹線で行くところも、このように車に乗って高速道路で移動する・・。
欧州、とくにドイツではクルマを運転して移動するのが好きな人たちが多いように思われます。
事実、ドイツでの車1台あたりの年間走行距離は、14,259 km。 これに対して日本は、10,575 km (『こちら』)。
そういった国民性やクルマの使われ方の差によるのかもしれませんが、日本のハイブリットカーは残念ながら欧州ではあまり見かけません。
2014年にPHV(プラグイン・ハイブリット)のコンセプトカー「アステリオン」を発表したランボルギニでさえ、
『PHVは、現状では重量が増加して、動力性能の低下につながる』(ドメニカリCEO)
と市販化に否定的なニュアンス。
(アステリオン)
しかし欧米メーカーといえども、いつまでもガソリン車やディーゼル車に頼り続けるわけにはいきません。
米国カリフォルニア州だけでなく欧州でも環境規制(燃費規制)がこれからいっそう厳しくなるからです。
そんな中で注目されるのは、今年のパリ自動車ショーでも明らかになったように、EV車(電気自動車)です。
EVもPHVのようにバッテリーが重いという問題を抱えていますが、たとえばテスラモデルS P100D。
このクルマは重いバッテリーをものともしない動力性能を達成しています。
最高速度は250キロ。
0−100 km/h加速タイムは2.7秒。
これはフェラーリ488GTB(3.0秒)を軽く凌駕します。
しかもフェラーリとは違って、4ドアで大人5名+子ども2名が乗れるとのこと(『こちら』)。
テスラモデルS P100Dはすでに8月24日に発売開始となっています。
気になる航続距離も 613 km(『こちら』)。
(テスラモデルS P100D)
もちろん航続距離 613 kmであったとしても、アムステルダムからミュンヘンに行くには途中1回充電する必要が生じてしまうのですが・・。
欧州のメーカーはどうでしょう。
メルセデスはジェネレーションEQを発表。
(ジェネレーションEQ)
EQは、メルセデスがEV(電気自動車)用に立ち上げた新ブランドで、コンセプトカーのジェネレーションEQは、0-100 km/h加速タイムが4秒台。
航続距離は最長500km。
一方、フォルクスワーゲンは次世代EVコンセプトカー「I.D.」を発表。2020年発売予定で1回の充電で、およそ400-600km走行できると言います。
(フォルクスワーゲン I.D.)
コンセプトカーではなくて、すでに量産開始、今年の年末までに納車されるのは米国GMの電気自動車ボルト。
0-60マイル(約100 km)/h加速タイムは7.5秒。
(GM ボルト)
航続距離は最長383km。
価格は37,000ドル(約380万円)。詳しくは『こちら』。
アムステルダムで会ったB氏のように、クルマを運転して移動するのが好きな人たちにとっても、EVの持つ巨大パワー&トルクは魅力的。
「日本が得意とするPHVは?」
と聞くと、
「新型のPHVプリウスでも、EV走行での最高速は135km/hで、EV航続距離は60km超。アウトバーンで移動するには結局はガソリンモードで、ということになってしまうのではないか」
との感想。
走りを楽しむ欧州の人にとっては、ガソリン、ディーゼルの次は一気にEVに、ということになっていくような気がします。