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2016年11月27日 (日)

コーセラ (Coursera)

スタンフォード大学、ペンシルバニア大学、ジョンズ・ホプキンズ大学などの著名な大学の教授たちによるオンライン形式の授業を無料で受けたいと思いませんか。

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    (上の写真はコーセラのウェブサイト)

例えばAI(人工知能)の分野で注目を浴びている機械学習、とくにディープラーニングの授業を受けてみるとか・・。

それも世界の最先端を走るスタンフォード大学Andrew Ng准教授(Baidu, Inc. 百度のチーフ・サイエンティストでもあります)の授業が日本にいながら無料で受講可能。

コーセラ (Coursera)に登録して受けたい授業を選べば、後は定期的にメールが送られてきて授業を修了まで受けることが出来ます。

すでに2,200万人以上が登録しているというコーセラ。

ちなみに私も登録しています。

詳しくはコーセラのウェブサイト(『こちら』)をクリックしてみてください。

ネット上にはコーセラを受講した日本の方たちの体験記がたくさん載っています。

その一部を下記にご紹介しましょう。

「8月頃から受講していたCourseraのMachine Learningを修了しました」『こちら』

「Coursera Machine Learning 機械学習オンラインCourseのススメ」『こちら』

どちらも機械学習の受講体験記ですが、コーセラには1,600もの講座があります。

たとえば企業財務のコースだけでも次の7講座。

・Financial Accounting: Foundations  

・Financial Accounting: Advanced Topics 

・Investments I: Fundamentals of Performance Evaluation 

・Investments II: Lessons and Applications for Investors 

・Corporate Finance I: Measuring and Promoting Value Creation 

・Corporate Finance II: Financing Investments and Managing Risk 

・Financial Management Capstone

エール大学の音楽学部教授による「Introduction to Classical Music」(『こちら』)も人気のコースだということです。

まずは英語を勉強したいという人にも、70以上の英語のコースが用意されています(『こちら』)。

コーセラのクラスを修了すれば希望する人には修了証が発行されます(修了証は有料で29ドルから99ドル)。

米国の会社では社内教育の一環として社員にコーセラ受講を慫慂し、修了書の費用は会社で負担するというところも少なくありません。

ちなみにコーセラは営利組織なので、基本的にはこの修了書で収益を上げようとしています。

(修了書がいらない人は最後まで無料でほとんどの授業を受けられます)。

日本では大学受験や司法試験、公務員試験受験までは良く勉強していたのに、大学生や社会人になると止めてしまうという人が少なくありません。

でも例えば投資顧問業など株式投資の世界にいる人がディープラーニングの何たるかを単なる耳学問、書籍からの情報だけしかなくて投資先を決めているとしたら、ちょっと不安ではありませんか。

仕事に関係ある分野も、直接関係ない分野も、何歳になっても学ぶことはできます。

とくにネットの時代には自宅で世界最高峰の授業を受けることが出来るのです。

我々は恵まれた時代に生きています。

これを活かさない手はありません。

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2016年11月20日 (日)

「持たざる国」からの脱却

このところ読んだ本で幾冊か印象に残ったものを若干の感想と共に紹介。

【1】「持たざる国」からの脱却

スタンフォード大学ビジネススクールで一緒だった松元崇さんの最新作。

松元さんの著作は「大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清」(2009年)をはじめとしこれまで全て読んできています。

その中でおそらくこの本がいちばん今日的意味合いを持って読めます。とくに20~50代の現役世代の方々にお勧め。

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高橋是清、山縣有朋など戦前の財政史を研究してきた松元さんの目からすると、現在の日本の状況は日露戦争後の日本に似ている・・。

当時の日本は日露戦争後に行うべきだった改革を実施できず、昭和に入って農村部が疲弊、本来「持たざる国」などではなかったにもかかわらず、自ら「持たざる国」へと落ち込んでいき、戦争への道を歩んでしまった・・。

これまでの松元さんの著作同様、この本もこういった問題意識のもとに書かれていますが、今回の著作ではとくに日本人の働き方がIT( Information Technology)の進んだ現況に合っていない、このことにメスを入れています。

新卒一括採用、終身雇用といった日本独特の雇用慣行。こうした慣行の下では企業はひとたび正社員を雇ってしまうとこれを減らすことは相当難しい。いきおい投資に対して臆病になってしまう・・。

「日本を車にたとえれば、それは雇用調整というブレーキが備わっていない車のようなものです。(略)高度成長の時代には(略)せいぜい景気後退時に企業内失業というエンジン・ブレーキを使うくらいで(略)高度成長を続けていった」(本書81-82頁)

ところが「今日、雇用調整というブレーキが利かない車では怖くてスピードを出せなくなっている」(本書82頁)

松元さんは、人生の途中で職を変わることが当たり前にならなければならない、そうでなければ人的資源がじゅうぶんに活用できないと説き、ドイツとスウェーデンの復活事例を紹介しています。

話は逸れてしまいますが、先日の新聞に香川俊介さん(財務省で松元さんの後輩にあたります)が主計官だったときに米軍へ直接面会に行き「思いやり予算」を切り込み削減することに結びつけた話が出ていました。

我々一人ひとりが自分たちの持ち場で目の前にある必要な「改革」に取り組まなければ、日本はほんとうに「持たざる国」へと落ち込んでしまう、これがこの本を読んだ私の感想です。

【2】教養としての「昭和史」集中講義

この本は版元から献本して頂きました。

「集中講義」という名の本はこれまで何冊か読んだことがあります(光文社新書が多かったと記憶しています)。しかし読んで印象に残ったものはほとんどありません。

「集中講義」本の多くは、大学の先生や大学で教える金融の実務家たちなどが日ごろの講義内容を本としてまとめたもの。読者目線で書かれておらず、大学の講義録のようなものが多かったのです。

ですから本書も献本されなければ、本屋で見かけても題名だけで敬遠、素通りしていたと思います。

しかしこの本には良い意味で期待を裏切られました。

著者が話した内容を原稿にまとめたというライターの腕と編集者の力量によるのでしょう。

読み物としてひじょうに読みやすかったと思います。

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「日本とアメリカが戦争をする可能性はきわめて低かった・・。実際、よくいわれているように、アメリカは原爆を日本ではなくドイツに落とすために開発していた」(本書157-158頁)。

「もし日本が真珠湾を攻撃しなければ、アメリカは第二次欧州大戦のみに専念し、一方でアジア・太平洋ではイギリスやオランダと日本が植民地をめぐって戦争を繰り広げる状態が続いていたのではないかと思われます」(本書159頁)。

これは至極まっとうな指摘なのでしょうが、であればなぜ真珠湾攻撃などという無鉄砲なことをしてしまったのでしょうか・・。

この本は当時「海軍が戦争をせざるをえない状況に陥っていった」(185頁)と説き、ちまたで言われている「海軍善玉論」は、研究者レベルでの議論ではないと切って捨てています。

それでは陸軍出身の東條はなぜ開戦の決定をしたのか、本書はその辺のところも追及していきます。

【3】住友銀行秘史

著者の國重さんの名前は、板倉雄一郎さんの「社長失格」という本の中で住友銀行日本橋支店長の肩書と共に実名で出てきていたので知っていました(ちなみに「社長失格」も実名でいろんな人が登場し、読んで面白い本です)。

話は戻って、「住友銀行秘史」。

この本は新聞でも大々的に広告され、話題になっていたので買ってみました。

しかし読んで後味の悪い本。

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出てくる登場人物が全員が全員、社内政治のみに奔走しており、「社会に対して価値を創造する」という志や気概がまったくない・・。

住友銀行幹部ともなれば高い年収を手にしていたのでしょうが、それは本来は価値を創造することの対価のはず。

そもそも平和相互を合併し、いたずらに店舗網を増やすことが、住友銀行の企業価値、株主価値の向上につながると考えていたのでしょうか。

若い読者にはこの本を読んで誤解をしないで頂きたいのですが、ここに出てくる話は銀行という規制業種において一時期に見られた特殊な世界での話。

競争原理が働く普通の業界で、この本にあるように経営陣が社内政治のみに奔走すれば、その会社はすぐに淘汰されてしまうのではないでしょうか。

もちろん最近の東芝などの事例をみれば明らかのように、多くの大企業でもこの本と似たような状況がある程度は散見されるのかもしれません。

しかしこんなことをしていては日本は世界からどんどん置いていかれてしまいます(というのが、本書を読んだ私の感想)。

人生は長いようで短い。はたして本書の登場人物たちは、こういった社内政治に明け暮れる人生を送ってきて、ほんとうに後悔しなかったのでしょうか。

【4】国家とハイエナ

黒木亮さんの最新作。

80年代初め、私は興銀の外国部でユーゴスラビアなどの東欧諸国の債務リスケジューリングの仕事をしていたことがあります。

そのため本作に出てくる国際金融の場面はそれなりに馴染みがあり興味深く読めましたが、新興国の債務問題に無縁の人には本書は取っ付きにくいかもしれません。

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この本に書かれていることはこれまで日本のメディア(新聞、雑誌、出版)でほとんど報じられたことがありませんでした。

そういった意味で価値ある本であり、多くの人は知らない世界を本書を通じて垣間見ることが出来ると思います。

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2016年11月17日 (木)

2ヶ月間で50%

日経ヴェリタストークなどのテレビ番組や講演会などで比較的よく聞かれる質問は、「どの株が上がるか」、「為替はどうなるか」といったものです。

こうした質問に対する安全な答えは

「そんなことは分からない、相場がどう動くか分かれば誰でも大儲けできる」

と言って正面から答えないこと。

しかし私は極力自分の考えていることを発言するようにしています(「間違ってしまったらすみません。しかしその時は私も損しています」といったスタンスです)。

2ヶ月ほど前に日経ヴェリタストークに出たとき。

番組冒頭の質問は、

「IoT時代に岩崎さんが一番注目している(一押しの)銘柄は何か」

というもの(『こちら』)。

私は「NVIDIA」と答えました。

この会社の株価はすでにかなりの勢いで上がってきており、この時点で7かヶ月前に比して2倍になっていました。

「ちょっと無謀な発言だったんじゃないか」

テレビを見て、わざわざ電話で忠告してくれる友人もいました。

しかし会社が11月に入って発表した決算は市場予測をさらに上回るもの(『こちら』)。

結局2ヶ月前にテレビで発言したとき(9月12日、60.75ドル)に比して、50%ほど高い91.63ドルになって昨日引けています。

「ほっとした」というのが正直な感想です。

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2016年11月13日 (日)

永遠の絆

イタリア語で Legame Eterno。

11月末の配信のスマホゲーム「グランドサマナーズ」のPV(プロモーションビデオ)に使われている曲の題名です。

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よくあるような曲なのですが 贔屓目で見ているせいでしょうか、なかなか上手くできていると思います。

2分間のPV動画は『こちら』です。

曲の制作はElements Gardenの織田あすか(作詞)、上松範康(作曲)、藤永龍太郎(編曲)。歌は桜川めぐ。

肝心のゲームの方は事前登録者数がすでに10万人を突破(『こちら』)。

ゲームの開発はNextNinja社。

数年前まで私も役員を務めていました。現在も投資家の1人として毎回役員会に出ています。

思い起こせば今から10年以上も前になります。

渋谷のエクセルホテル東急の喫茶店で打ち合わせをしているところへ山岸さん(NextNinja 社長)が現れました。

ナップサックを背負っていて若い研究者といった風貌。

これが山岸さんと私との最初の出会いです。

山岸さんはネットやモバイルのコンサルタント的な仕事もしていて、我々のチーム仲間が「山岸さんに依頼しよう」と提案、我々のチームの助っ人として現われたのでした。

当時山岸さんはすでに起業していて恵比寿のマンションの一室で2~3人の仲間たちと仕事をしていました(まだ早稲田の大学院生だったのかもしれません)。

あれから10数年。

いろいろ苦労を共にしてきたと言いたいところですが、これは正しくなく、山岸さんの苦労の2~3%を私がシェアしただけです。

いずれにせよ資本金1円でスタートした会社がこういった本格的RPG(ロールプレイングゲーム;roleplaying game)を開発するようになったというのは感無量。

10数年の間の多くの出来事、場面が、脳裏をよぎります。

NextNinja社が高田馬場のオフィスに引っ越そうとしたとき、「連帯保証人を出さなければ貸せない」と渋るビルのオーナーを相手に一緒に交渉したこと(しかし最後まで聞き入れてもらえませんでした)。

バケツをひっくり返したようなどしゃ降りの雨の夜、渋谷のすし屋に駆け込み、山岸さんと稲垣さん(現在はクルーズ㈱のCFO)、私の3人で打ち合わせをしたこと、などなど。

ゼロから1を作るというのは(そして1を100にするというのも)たいへんなことですが、やりがいがあります。

2分間のPV動画(『こちら』)のLegame Eterno、是非聞いてみてください。

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2016年11月12日 (土)

Apple Watch Series 2 を使ってみて

10月28日に発売開始になった Apple Watch Series 2 Nike+。

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実際に使ってみた感想ですが・・・

【1】Suica、Apple Pay

iPhone 7 を持っていなくとも iPhone5以上があれば Apple Watch Series 2 に Suica を取り込むことが可能。

地下鉄の駅の改札を時計をタッチして通ったり、コンビニでの支払いに使ってみたり・・。

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もちろん何もわざわざ時計を使わなくても従来同様Suica カードを使えばそれで済むわけですが、少なくともカード1枚分は財布が軽く、そして薄くなります。

【2】スポーツウォッチとして

iPhoneのヘルスケアやアクティビティでかなりカバーできるので、わざわざウォッチに頼ることもないと言えます。

とは言え、 Apple Watch をして長い時間座り続けていると、「少しは立って」と示唆してくれたり、あるいは「深呼吸をしましょう」とか、いろいろ言ってくれます。

心拍数を測ったりもしてくれます。

ランニングやウォーキングをするとき、iPhone を持たずに時計さえしていれば iPhone の音楽を聴くことが出来ます(Bluetoothのイヤホンが必要)。

【3】メール、メッセージなど

時計の上でメールを見たり、メッセージやLineの通知を知ったりと、いろいろな機能があるのですが、四六時中そういったものに追われるのはチョットという人(私もその一人)にはあまり意味を持たないかもしれません。

【4】天候、気温

意外に便利なのは気温。

もちろんiPhoneでも天候は分かるのですが、時計をさっと見れば外が何度か分かるというのは意外に便利。

【5】ポケモン

年末までにポケモンGOに対応するようになるとのことです。

【6】マイナス面

マイナス面を2つ。

Apple Watch は腕から外して机に置くと、すぐに真っ暗になる。つまり置時計としては使えません。

そして最後に恐らくはこれが(少なくとも私にとっては)いちばん悩ましいところですが、Apple Watch をすると、時計をしないということの解放感を味わえません。

そして機械式時計が好きな人は機械式時計をするということも諦めることになります。

機械式時計には機械式時計の良さがあり、これも捨てがたい・・。

結論としてはマイナス面はあるもののプラスの機能面も多く、個人的にはしばらくはApple Watch 中心でいこうと考えています。

いずれまた機械式時計に戻るかもしれませんが、その時でもスポーツをするときにはApple Watch を使うと思います。

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2016年11月11日 (金)

シリコンバレーからピオリア(Peoria)へ

ダウ平均株価は史上最高値を更新し続けています。

しかし米国の株式市場は、その中身をよく見てみると、上がるものと下がるもの、かなり大きな違いを示しています。

ダウは2日間で475ドルも上げましたが、昨日のナスダックは▲0.8%の下落。

足を引っ張っていっるのは、アップル(▲2.8%)、グーグル(▲3.1%)、アマゾン(▲3.8%)、フェイスブック(▲1.9%)など。

カッコ内は昨日の下落率です。

これは選挙期間中、シリコンバレーの多くの企業がヒラリーを支持し、これに対してトランプが

「アマゾン(本社はシアトル)は独禁法違反の疑いがある」とか

「アップルはもっと米国内で製品を作る必要がある。さもなければ不買運動をする」

などと発言してきたからです。

一方で、トランプは公共投資を活発化させると繰り返し発言してきました

(彼らしく分かりやすい言葉で、「我々は橋を作る、道路を作る、トンネルや鉄道を作る、港湾や空港も作る」と発言)。

ということで、例えばキャタピラーの株価はこの2日間で10.4%も上がっています。

マネーは「シリコンバレーからピオリア(イリノイ州Peoria;キャタピラーの本社がある)へ」と動きました。

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2016年11月10日 (木)

最後の詰め

最後の1週間。

ヒラリーは人気歌手のブルース・スプリングスティーンやジョン・ボンジョビを積極的に登壇させる作戦(『こちら』など)。

一方、トランプは家族の力を借りて、現在の奥さんのメラニアさんが「私自身、スロベニアからの移民です」とスピーチ。

ヒラリーの作戦をニュースで聞いて、私は都知事選で真っ先に森進一に応援演説を依頼して選挙戦をスタートさせた鳥越候補のことを思い出しました。

有権者が聞きたかったことはセレブの応援演説などではなかったはず。

ところでニューヨーク市場、オープン後30分(日本時間0時現在)で40ドルほど上げています。

市場が開く前は先物や時間外取引とも下げていましたが、いざオープンすると、するすると上げていきました。

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2016年11月 8日 (火)

アルツハイマー病

認知症、アルツハイマー病などに関する講演会が20日(日曜日)に開かれます(下記)。

関心のある方は下記(クリックすると大きくなります)の申込書をプリントアウトしてFAXにてお申込みください。

  Npo

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主催はNPO法人「医師と団塊シニアの会」ほか。

縁あって設立時からこのNPOの理事を務めています。

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2016年11月 6日 (日)

36年ぶり

米国の株価指数S&P500が9日連続で下落した。

これは1980年12月以来。実に36年ぶりの記録ということらしい(『こちら』)。

先週金曜日の朝の米CNBCテレビで、その前日(木曜日)までで「8日連続の下落、これはリーマンショックのあった2008年以来」と言っていたのだが、金曜日の下落で更に記録が大幅に更新されてしまった。

もっとも下落の幅はこの9営業日で、2,151.33(10月24日) → 2,085.18(11月4日)と3.1%の下落なので、さほど大した下落ではない。

9日間かけて連続で、じりじりと下げたということなのだろう。

市場はトランプ大統領の可能性が高まったことで身構えている。

しかし織り込み済みかというと、そんなことはなくて、実際にトランプとなれば更にもっと下がることが予想される。

ヒラリーではどうか。

彼女が大統領になっても議会はメール問題を追及してくるだろう。かつてヒラリーが議会に提出したメールはかなりのものが消去されたものだったが、仮にこれが彼女の指示によって意図的に消去されたものであったと証明されたりすると、大統領の立場さえあやしくなる。

いずれにせよ米国の政治はこれから先ゴタゴタするだろう。

ちょうど8年前にオバマが当選(2008年11月4日)してから米国の株価はほぼ2倍になった(ダウ平均株価9,625.28ドル → 17,888.28ドル)。

政治的側面だけから見れば、そうした時代はおそらくもう来ない。

これから先の政治的ゴタゴタをはね返すだけの企業の収益力とイノベーションを産み出す力があるのかどうか。

誰が大統領になってもクルマの自動運転化は進み、より多くの人々がアマゾンで買うようになるとは思うのだが。

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2016年11月 3日 (木)

あと5日

大統領選まであと5日。

ネットではこんな投稿が拡散しています。

* * *

『ヒラリーの長所:トランプではないこと。

ヒラリーの短所:ヒラリーであること。

トランプの長所:ヒラリーではないこと。

トランプの短所:トランプであること』

* * *

投票の間際になって何が起きたのでしょう。

ヒラリーの側近フマ・アベディン(Huma Abedin)女史。

ヒラリーの選挙運動組織(2016 presidential campaign of Hillary Clinton)の副議長を務めています。

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     (フマ・アベディン(Huma Abedin)女史;From Wikipedia)

彼女には別居中の夫がいます。

アンソニー・ウィーナー(Anthony Weiner)という元下院議員。

FBIは、ウィーナー元議員が15歳少女に性的なメールを送っていたとか児童ポルノの写真を所持していたとの疑いで、令状を取って元議員のラップトップPCを押収(今年10月3日)。

このPCの中に、650,000 通ものメールが見つかりました。

メールには彼の妻(別居中)のアベディン氏のアカウントのものも含まれていて、ヒラリーとのメールのやり取りも見つかりました。

ヒラリーのメールは数千通にも及ぶ可能性があると見られています。

これらの情報をFBI長官が10月28日に明らかにしたというもの。

(以上、ウォールストリートジャーナル紙;『こちら』 並びにNY Times紙;『こちら』

* * *

そもそもヒラリーのメール問題とは何なのでしょうか。

いちばん詳しく、かつきちんと報じているのは、少し長いですが Wikipediaの『こちら』の記事だと思います。

一部に誤解があるようなのですが、ヒラリーは、グーグルのGメールなどのメールを使っていたわけではありません。

ヒラリーは、3つのドメイン名を使ってメールを送受信していました。

clintonemail.com,

wjcoffice.com,

presidentclinton.com

の3つです。

これらのドメイン名はいずれもEric Hotehamという個人名で登録されていました(住所はニューヨーク州のヒラリーの住所)。

Eric Hotehamとはいったい何者なのか。

米国のメディアはいっせいにこの情報を追ったのですが、結局はよく分からず(ABC News の『こちら』の記事を参照)。

一方ヒラリーのメールサーバーは自前のもので、ヒラリーのニューヨークの自宅に設置させていました(2013年まで)。

それではヒラリーはなぜ国務省のメールでなく、特注のサーバーでメールを送受信していたのでしょうか。

ヒラリーに好意的な解釈は、『国務省のメールは○○年後といった具合にいずれは情報公開の対象となる。ヒラリーはそれを嫌った』というもの。

しかし何か隠すべき情報があって特注サーバーを使ったという見方も根強くあります。

下記の地図はリビア北東部港湾都市Benghazi(ベンガジ)を示すもの。

    Photo

      (Benghazi;From Google Earth)

2012年9月、このベンガジで、アルカイダと関係のあるイスラム組織によって、クリストファー・スティーブンス米大使、ショーン・スミス外交官、そして米Navy SEALsの元隊員であるタイロン・ウッズとグレン・ドハティの4人の米国人が殺害されました(ベンガジ事件;『こちら』)。

米国務省のDeputy Chief of Mission for LibyaだったGregory N. Hicks氏は25年間勤めた国務省を今年8月に退職、先月Fox Newsに出演(『こちら』)して、警備の増強を請う現地の要請が国務省に拒絶された事実を明らかにしました(注:Foxはメディアの中では珍しくトランプ寄りで知られています)。

ベンガジ事件が起きる前の月(8月)、国務省は現地の警備人員を34人から6人へと大幅に削減。当時の国務長官はヒラリーです。

                Ambassador_christopher_stevens

       (殺害されたクリストファー・スティーブンス米大使

そもそもその前の月(7月)にクリストファー・スティーブンス米大使が13人の警備人員増員を頼んだにもかかわらず、国務省はこれを拒否して、逆に大幅に減員し、9月にスティーブンス米大使たちが殺害されるという事件に結び付いてしまったのです。

『俳優のベン・アフレックがヒラリーのメールアドレスを知っていたにもかかわず、スティーブンス米大使はこれを知らず、ヒラリーに直接危機を訴えようにも訴えるすべがなかった』

欧米のメディアはこう報じてメール問題にからめてヒラリーの対応を批判しました(『こちら』『こちら』)。

ベンガジ事件に関連してはいろいろな噂が報じられており、さらにはその1年前の反カダフィ部隊によるカダフィ殺害に関してもメディアでは様々な憶測が報じられています。

クリントンのメールはこうした種々の憶測との関連でも注目されるに至っています。

『トランプ、クリントン、いずれかが大統領になるよりは、ペンス、ケインのいずれかの副大統領候補が大統領になった方がいい』

とは私の知人の米国人A氏のコメント。

5日後が投票日です。

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