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2017年3月25日 (土)

行動科学

最近「決定木」という言葉をよく耳にします。

ウィキペディアを引くと、

「決定木(けっていぎ、decision tree)は、(リスクマネジメントなどの)決定理論の分野において、 決定を行う為のグラフ」

とあり、

「機械学習の分野においては決定木は予測モデルであり、ある事項に対する観察結果から、その事項の目標値に関する結論を導く」

「決定木学習はデータマイニングで良く用いられる方法でもある」

などと説明されています。

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、その基本コンセプトは実は簡単なことです。

その昔、スタンフォードのビジネススクールで、「行動科学(Decision Sciences)」という科目がありました。

以下は当時のコース概要書にあるこのクラスの説明です。

Decision_sciences

このクラスの中で、学生は決定木(けっていぎ、decision tree)を学ぶのですが、これは物事を科学的(scientific)に考える上で役に立ちます。

我々の人生は幾つかある選択肢のなかで判断を求められることの連続です。

「設備投資を行うか、否か」

「この製品を上市するか、どうか」

「出版社から依頼のあった本の執筆を受けるか、どうか」

「転職の誘いが来たが、とりあえず話だけでも聞いてみるか、どうか」

こうしたとき、ただ漠然と考えるのではなくて、確率と期待値に落とし込んでみると、的確な判断を下すうえでの一助となります。

Dt_2

上は、決定木をゴルフを例に説明したもの(『拙著』の183~188頁参照)。

パー4のホールで、最初の ショットを林のなかに打ち込んでしまったとします。

林からいったんフェアウェイに出して、安全策を取って3オンを狙う(A案)のか、林のあいだを抜けて2打目でグリー ンに乗せることを狙う(B案)のか。

それぞれのケースでどう確率を評価するかで答えは違ってきます(上は一例に過ぎません)。

ポイントは、幾つかの選択肢を選ぶとき、そして重要な判断をくだすときに、この種の場合わけと確率評価をきちんとして判断の一助としていくこと。

人工知能の場合、こうした決定木的なアプローチを繰り返し、的確な判断を瞬時に下し、間違っていたとしたら確率評価などに修正を加え、どんどん賢くなっていきます。

経験と勘による判断も重要ですが、この種のアプローチを併せて行うことで、考えが整理されていくことにも繋がります。

私自身の人生をふり返ってみても、「転職するか、しないか」など多くの判断をしてきましたが、その際、こうした decision tree に書き起こすことをしてきました(さすがにゴルフ場で decision tree を書くことはしてきませんでしたが)。

みなさんも利用されてみては如何でしょう。

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