値上げ力
今週の日経ヴェリタスの特集記事は『値上げ力』。
記事にも少し出てきますが、ヤマハの株価が今月に入って好調。
(上図は過去3か月間の株価推移)
株価が上昇したのは5月2日。
前日比で17%上昇しました(3,095円→3,630円)。
実は5月1日の市場終了後にヤマハは決算を発表。
今年度(2018年3月期)は、対前期増収増益、過去最高の営業利益を予想すると発表したのです(下図)。
(ヤマハによる説明資料;クリックすると大きくなります)
ここで気がつくのは営業利益率の増加。
16/3期 9.3%
17/3期 10.9%
18/3期(予想) 11.4%
思い起せば2015年4月30日。
ヤマハは2015年4月30日、『アップライトピアノ、グランドピアノ、一部ピアノ周辺商品 価格改定のご案内』と題するプレスルリリースを発表(『こちら』)。
2015年8月1日よりアップライトピアノ、グランドピアノ(The CFシリーズ除く)、一部ピアノ周辺商品の価格を改定(=値上げ)することを告知したのです(昨年10月1日からはハイブリッドピアノを値上げ;『こちら』)。
日経新聞の記事(『こちら』)によると、「各国市場に合わせた値上げなど楽器の価格適正化が浸透」とありますので、値上げは恐らくは日本だけに留まらず主力の海外市場でも実施されていることがうかがわれます(ヤマハは売上の66%が海外)。
何が値上げを可能にしているのでしょうか。
最大のポイントは地道な企業努力とそれによって築き上げられたブランド力だと思います。
この辺については昨年2月に会社四季報オンライン(『こちら』)に書いたので繰り返しませんが、ポイントのみ下記に再掲します。
『現在ヤマハは世界最大のピアノメーカーになっていて、世界シェア32%を握るに至っている。それでも世界の著名なピアニストたちのコンサートを聴きに行くと、彼らの弾くピアノはスタインウェイであることが多い。スタインウェイのウェブサイトによれば、スタインウェイピアノは「世界で活躍しているソリストの98%以上から選ばれている」という』
『2015年10月の「ショパンコンクール」ではファイナリスト10人のうち、7人がヤマハ、3人がスタインウェイを弾いて、3次予選までを勝ち進んだ。「やっとヤマハがスタインウェイに勝ったのか」と胸を躍らせる関係者も多かったが、最後の決勝の段になって、2人のピアニストが演奏ピアノをヤマハからスタインウェイに変更、決勝は「ヤマハ奏者5人」対「スタインウェイ奏者5人」とで分け合う形になった。結局6人の入賞者のうち2位、5位、6位がヤマハのピアノを弾き、1位、3位、4位がスタインウェイを弾いた』
『ヤマハの中田社長はテレビ番組のインタビューに答え、「フェラーリは商売としては世界一ではないが、誰もが憧れるすごい車をつくっている。(ヤマハとしても)誰もが憧れる、そういうものを作りたい。音楽というのは必需品ではない。(だから)みんなが憧れるものを作って、初めて『これを使ってみたい』と思われるようになる」と語った。クリエイティブ・エコノミーの時代には世界のトップランナー、トップブランドであることが重要なのだ。シェアだけを追っていたら、いずれは韓国や中国のメーカーに追いつかれてしまうことにもなりかねない』
ブランド力構築に関するこうした地道な企業努力があって、はじめて値上げをしても顧客があまり逃げないということが可能となり、営業利益率の増加が達成されます。
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