ザッカーバーグのハーバード卒業式スピーチ
フェイスブックの創業者、マーク・ザッカ―バーグ(33歳)。
ハーバード大学を中退していますが、先般同大学に呼ばれ、卒業生たちを前に、雨のなかスピーチを行いました(2017年5月25日)。
若者らしく元気良く話し始めますが、スピーチの終りの方で不法移民の高校生の話をするところでは感極まってしまう場面も・・。
いずれにせよ内容の濃い、素晴らしいスピーチでした。
32分間の動画は『こちら』。
スピーチ全文(英語)は『こちら』。
日本語訳は『こちら』。
CC BY 2.0 Wikimedia Commons
分かりやすい英語ですので是非上記動画をご覧になってみてください。
以下、とくに印象に残ったところを一部抜粋します 【翻訳は基本的には上記日本語訳サイトに従いました(ただし一部修正したところがあります)。なお青字部分は読みやすくするために私が勝手に付けた小見出しです】。
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【完全なアイデアなんてない。とにかくまず初めよ】
But let me tell you a secret: no one does when they begin. Ideas don't come out fully formed. They only become clear as you work on them. You just have to get started.
しかし、秘訣をお教えしましょう。誰もそれを始めたときは知らないんです。アイデアはいきなり完成形でやってきたりしない。それについて取り組んでいるうちにだんだんクリアになってくるんです。とにかくまずは始めなくては。
【失敗する自由】
An entrepreneurial culture thrives when it's easy to try lots of new ideas. Facebook wasn't the first thing I built. I also built games, chat systems, study tools and music players. I'm not alone.
起業家文化は、多くの新しいアイデアを簡単に試せるようになっている時に栄えます。フェイスブックは僕が最初に作ったプロジェクトではありません。僕はゲームも作ったし、チャットシステムも作ったし、スタディツールも、音楽プレイヤーも作りました。こういうのは僕だけの話じゃないです。
JK Rowling got rejected 12 times before publishing Harry Potter. Even Beyonce had to make hundreds of songs to get Halo.The greatest successes come from having the freedom to fail.
JKローリングはハリーポッターを出版できるまでに12回も断られました。ビヨンセですら!”Halo”を作るまでに何百曲と作ったんです。大きな成功は「失敗する自由」によって生まれます。
【緩衝材としての経済的余裕】
Look, I know a lot of entrepreneurs, and I don't know a single person who gave up on starting a business because they might not make enough money. But I know lots of people who haven't pursued dreams because they didn't have a cushion to fall back on if they failed.
僕は色んな起業家を見てきて、その仕事じゃあ十分稼げないだろうから始めなかったっていう人は一人も知りません。しかし、それが失敗した時に致命的なことにならないようにする緩衝材としての経済的余裕がないために夢を追うこと自体をそもそも諦めてしまう人は沢山見てきました。
【自由、開放 vs. 権威主義、孤立主義】
This is the struggle of our time. The forces of freedom, openness and global community against the forces of authoritarianism, isolationism and nationalism. Forces for the flow of knowledge, trade and immigration against those who would slow them down.
これは僕らの時代の課題です。自由と開かれたグローバルコミュニティに対する、権威主義や孤立主義、そして国家主義との争い。知と交易、移住する人の流れを促進していく力と、それをスローダウンさせようとする力とのぶつかりあい。
【不法移民の高校3年生の話】
One day after class I was talking to them about college, and one of my top students raised his hand and said he wasn't sure he could go because he's undocumented.
ある日授業の後で、僕は彼らに大学の話をしました。そして彼らのうち最も優秀な一人が手を上げて、自分は不法移民だから大学に行けるかどうかわからないと言いました。
Last year I took him out to breakfast for his birthday. I wanted to get him a present, so I asked him and he started talking about students he saw struggling and said "You know, I'd really just like a book on social justice."
去年僕は彼を誕生日に朝食に誘いました。何かプレゼントをあげたかったので何がいいか聞きました。そしたら彼は苦労している学生たちのことを話し始め、社会正義に関する本が欲しいかな・・・と言ったんです。
I was blown away. Here's a young guy who has every reason to be cynical. He didn't know if the country he calls home -- the only one he's known -- would deny him his dream of going to college. But he wasn't feeling sorry for himself. He wasn't even thinking of himself. He has a greater sense of purpose, and he's going to bring people along with him.
僕はびっくりました。彼は人生についてシニカルになってしまっても当然な状況にいるんですよ。彼のことを唯一知っている故郷であるまさにその国が、彼の大学への夢を断ってしまうかもしれない状況にいる。でも彼は自分を悲観したりしません。彼は自分のことを考えてすらいない。より大きな目的感の中で生きていて、人々を巻き込んで行くのでしょう。
But if a high school senior who doesn't know what the future holds can do his part to move the world forward, then we owe it to the world to do our part too.
しかし将来どうなるかも知らない高校三年生が世界を前に進めるために自分の責任を果たしているなら、我々にだって、我々の責任を果たすことでその世界に対して借りを返す義務があるのではないでしょうか?