Apple(リンゴ)と Orange (オレンジ)を比較してはならない
どうでもいいことなのですが、新聞(日経ヴェリタス紙;10月1日~7日号)を読んでいたら、
「アマゾンは、創業から23年で株価は一時1,000ドルと初値の36倍になった」(同紙第1面)
との記述が・・。
えっ !?
たったの36倍?
思わず目が点になってしまいました。
これはどう読んでも、IPO時にたとえば10万円を投じていれば、360万円になったと読めてしまいます。
なおここでは為替の影響を無視して考えていますが、実はアマゾンIPO時の為替レートは1ドル116円で、現在(112円)とさほどは変わっていません。
また現在のところアマゾンの株価は961ドルですが、1,000ドルになったこともあるので、日経ヴェリタスの記事に従い、1,000ドルで以下の記述を進めます。
さて話を元に戻すと、IPO時にたとえば10万円を投じていれば、実のところ、あなたは360万円どころか、その12倍の4,000万円以上のおカネを現時点で手にしています。
株式が3度にわたって分割されたからです。
* * *
米国のビジネススクールで教授たちがよく語っていた言葉に、「apple(リンゴ)と orange (オレンジ)を比較してはならない」というものがあります。
リンゴはあくまでもリンゴ同士で比較する。
意味の無い比較をしてしまうと、かえって間違った判断に結び付いてしまうといった教えです。
アマゾンのように株式分割を繰り返してきた企業にとっては、日経ヴェリタス紙のように、初値の絶対値と、現在の株価とを比べて、〇〇倍になったと記述しても意味ありません。
むしろ、こうした比較は、ミスリーディングな(誤解を招くような)結果に結びついてしまいます。
* * *
ここで、事実関係を追ってみましょう(『こちら』は当時の新聞記事)。
アマゾンのIPO時の公募価格は18ドル。
1997年5月15日のトレーディング初日。
初値は29ドル(資料によっては28ドルとしているものもある)でした。
その後、アマゾンの株式は下記のように分割を繰り返していきます。
1998年6月 2/1 Stock Split (2分割)
1999年1月 3/1 Stock Split (3分割)
1999年9月 2/1 Stock Split (2分割)
つまり初値で1株買った人は現在では12株持っているわけです。
すなわち分割調整後のベースでは、29ドル → 1,000ドル×12株
となっているのですから、413倍になっています。
別の見方をすると現在の1株はIPO当時の12分の1株でしかないわけです。
よって当時の株価を12分の1にして、現在の株価と比べやすくする方法もあります。
この場合は
29ドル÷12株 → 1,000ドル
やはり413倍です。
いずれにせよ株式が分割されたので、これを調整したうえで、同じ土俵にして(つまりリンゴ同士にして)比較します。
なお通常この種の比較には、初値ではなく公募価格を使うのが一般的。
これを使って計算すると
18ドル → 1,000ドル×12株
で、公募価格の667倍に。
当時15万円ほど公募でアマゾンの株を買った人は、今では1億円を手にしていることになります。
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