読書好きの経営者
Kazuo Ishiguro ノーベル賞受賞のニュースにすぐさま反応した経営者がいました。
アマゾンのジェフ・ベゾスです。
彼は即座にTwitter(ツイッター)に次のように書き込みました(『こちら』)。
The Remains of the Day--Long my favorite novel. Teaches pain of regret so well you will think you lived it. Congrats, Mr. Ishiguro, so earned!
(『The Remains of the Day』(邦訳:日の名残り)は、何年も前からの私のお気に入りの小説。後悔の痛みをひじょうに良く教えてくれ、あたかも自分が経験したような気になる。おめでとう、イシグロさん、まさに受賞にふさわしい)
もともとベゾスは頻繁にツイートするタイプではなく、先月は2度ツイートしただけ。
自分のお気に入りの小説家がノーベル賞を受賞したことがよほど嬉しかったのでしょう。
実は、かねてからベゾスは『日の名残り』が彼のお気に入りの小説であることを公言していました。
以下は、2012年に来日した際、wired.jpによるインタビューに答えたベゾスの発言の抜粋です(wired.jpによるインタビュー全文は『こちら』)。
『わたしは同じ本を何度も読むタイプなんですね。
いちばん好きなのは、カズオ・イシグロの「日の名残り」ですね。何度も読んでます。素晴らしいです』
『フィクションは、自分が体験しえないことを、体験させてくれるものだとわたしは思っています。つまり、人生について教えてくれるわけです。
「日の名残り」に関して言えば、あれは後悔をめぐるお話なんです。主人と老執事の関係よりも、わたしのフォーカスはむしろ老執事が、かつての同僚だったミス・ケントンに寄せる思いのほうなんです。
人生の終わりを迎えて、自分が愛する人に対して自分は何のアクションもおこさなかった、そのことに対する後悔がポイントなんです。
後悔をするときには、すべてがもう遅すぎるんですね。こういう後悔はしたくないなと身に染みて感じますね』
──『日の名残り』にあるような後悔をご自身でおもちだったりします?
『いまのところ幸いなことに、そこまでの後悔はないですね。
ただ、こういう思い出はあります。
1994年に、オンラインの古書店を始めることを思い立って、そのことを当時勤めていた金融会社の上司に相談したんですね。
「散歩しながら話そう」と言うので公園を歩きながら話したのですが、彼はわたしの話を聞いて、こう言ったんです。
「面白いアイデアだと思うよ。ただし、すでに立派な仕事と肩書きをもっている人がやることかどうかは疑問だな。2日間、よく考えてごらんよ」。
で、考えたんです。妻とも相談しました。
そのときにこう思ったんですね。
自分が80歳になって人生を振り返ってみたとしたら、仮にこの新しい事業に失敗したとしても、さほど後悔はしないだろうと。
けれども、これをやらずにいまのところに勤め続けたらきっと後悔するだろうなって。
つまり、人生の最も深い後悔は、Commissionによって生じるのではなく、Omissionから生じるんだと。
怖がったり、不安がったりして何もしないことが、きっと後悔を生むんじゃないかと』
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