定年バカ
定年本ブームだそうです。
「定年」という言葉がタイトルにつくだけで、本が売れるのだとか。
22万部を超えるヒットとなった『定年後』(楠木新著)。
どうやらこの本がブームの着火点となったようなのですが・・。
お蔭で私が6年前に書いた『本』にも何度か増刷がかかり累計3万部超えに。
こういうのを「おこぼれ頂戴」とでも言うでしょうか。
更に、別の出版社からは「定年後のお金」について何か書いてほしいといった誘いも頂戴するに至りました(とくに新しく書くこともなかったので、お断りしましたが)。
そんな中、本日ある版元から送られてきた本が『定年バカ』という本。
またかーと思って頁をめくってみたのですが・・。
いやー、この本は面白い!
ついつい夢中になって(実は明日講演があって結構忙しかったのですが)、あっという間に最後まで読んでしまいました。
なんと言ったって、この本、数多くある定年本をバッサ、バッサと痛快に切りまくっています。
タイトルだけ並べてみても想像つくと思います(タイトルの横の括弧内は著者の言っていることを一言でまとめてみたもの)。
- 定年バカに惑わされるな
- 定年からがおもしろいという輩 (「定年からがおもしろい」なんて、んな訳ないだろう)
- 市民講座などにつられない (30歳の大学の先生の「定年」に関する講義を聞いてどうする)
- 「ライフシフト」なんかどうでもいい (「100年ライフになるから長寿化の恩恵を手にする」って、現在の人生80年でも困難続出なんだが)
- 退職金や年金の平均額を知っても無意味
- 「生き生き」定年バカ
- 社交バカ
- 「ひとり」がそんなに寂しいか (「昔の友人を探して」というが、なぜいまさら音信不通だった人をわざわざ探すのか)
- 社会と「つながり」たがるバカ
- 定年不安バカ
- 定年の準備などできるわけがない
- 「地域デビュー」なんかしない方が互いの幸せ
「それまでは挨拶程度だったのに、定年になったからといって、いきなり賑やかな顔と声に変えるのかね。・・・相手がいることだしね。それになんだか功利的な気分もして、気持ちもよくない」
いやー、実に爽快でした。
世に出回る定年本を、バッサ、バッサと、ほぼ全否定。
定年関係の本を何冊か読んで、なんとなくムラムラ感が溜まってしまった・・。そんな人にお勧めの1冊に見事に仕上がりました。
こういった本が出るということは、書籍の分野での定年ブームもそろそろ終わりなのでは・・(たぶんこの本がトドメを刺す?)。
個人的には出版社の誘い(ありがたいことですが)にのらずに「良かった」と思っています。
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