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2018年4月 7日 (土)

ドルコスト平均法(2)

世界で最も読まれている株式投資本の一つがジェレミー・シーゲル教授の『株式投資』です。

1994年に初版が出て、現在原書(Stocks for the Long Run)では第5版。

私の手元にあるのは第4版の翻訳本ですが、この本では複数箇所においてドルコスト平均法が紹介されています。

この本の3頁(4月1日付の私のブログ記事を参照)や92頁の一節などですが、これらを読む限りシーゲル教授はドルコスト平均法についてポジティブな評価を下しているようです。

全世界で150万部を売り上げたというバートン・マルキール教授(プリンストン大学教授)の『ウォール街のランダム・ウォーカー』(原書はA Random Walk Down Wall Street)。

こちらの本では、ドルコスト平均法はどう扱われているのでしょうか。

私の手元にあるのは、第8版の翻訳本(2004年)ですが、397頁に『ドルコスト平均法はリスクを効果的に軽減する』との1節を設け、402頁まで5頁もかけてこの手法について説明しています。

その昔、私がゼミを取ったノーベル賞学者のウィリアム・シャープ(スタンフォード大学教授)も、『INVESTMENTS』という教科書の中でドルコスト平均法について説明しています。

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525~526頁です。

以下に解説部分の画像を載せます。

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3

いま読み返してみるとシャープ先生の説明は面白いですね。

画像はクリックすると2倍の大きさになるので興味ある方は読んでみてください。

いずれにせよドルコスト平均法は米国の学者の間では真面目に検討されている投資法です。

日本の一部のマネー評論家が指摘するような『医学的に誤った民間療法のような「もっともらしいダメな話」』として、一刀両断に切って捨ててしまうような話ではありません。

きちんと検討に値する投資方法であることだけは確かなようです。

ただし、これから述べていきますが、ドルコスト平均法にはプラス面もあれば、マイナス面もあります。

残念ながら世の中に『これだ! これさえ守れば大丈夫!』といったような投資手法はありません。

きちんとプラス面とマイナス面を理解したうえで、これを採用すべきかどうかを、個人投資家の各々が決めるべき性格のものなのです。

それではドルコスト平均法のマイナス面とはいったいどういうものなのか。

これを取り上げた記事としては、(英語になりますが)下記のサイトを上げておきますのでクリックしてみてください。

『Why Dollar-Cost Averaging Is a Lousy Retirement Investing Strategy』  

以下、簡単にこの記事の要点を述べます。

『アメリカの投資信託運用会社であるヴァンガード社は、1926年から2015年までの期間に、ある投資金額を(a)一気に投資するのと、(b)12か月間にわたって12分の1ずつ投資するのと、どちらが最終的に多くの富に結び付いたか、1,069の例で調査をしました』

さて、ここで注記しますと、

①1926年1月~12月の12か月間、

次に

②1926年2月~1927年1月の12か月間・・

といった具合に、

1か月ずつずらして2015年12月まで進めると、1,069例になります。

『1,069例を調査した結果、全体の3分の2の割合で、(a)の一気に投資する方が(ドルコスト平均法よりも)有利な投資結果をもたらしたとの調査結果に辿り着きました』

ということは、ドルコスト平均法はやはり『医学的に誤った民間療法のような「もっともらしいダメな話」』なのでしょうか。

ジェレミー・シーゲル教授やバートン・マルキール教授の解説はどう解釈すればいいのでしょうか。

次回、もう少し詳しく説明します。

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