アセット・アロケーションとリバランス (その2)
アメリカでは 『金融資産は株と債券で持て。その比率は「100マイナス年齢」で株式を持て』 と言われてきました。
それがなぜ最近は 「110マイナス年齢」 あるいは 「120マイナス年齢」 といったように株式の比率が多めに変わってきたのでしょうか。
その理由は 『こちら』 の記事にありますように、
(1)平均寿命が延びてきたこと(20年前に比しアメリカ人の平均寿命は3年も延びている)
(2)低金利化で従来の「100マイナス年齢」で株式を持つようにすると、債券部分がじゅうぶんなリターンを生まず、結果的に資金ショートになる(老後しばらくしてから資金が足りなくなる)恐れが出てきた
という2点にあるようです。
実際のところ、1980年代初頭の10年物国債(10 year Treasury Notes) の利回り(yield)は15%を超えていました(下図;出所は『こちら』)。もちろん当時はインフレ率も高かったのですが・・。
政策金利を取ってみても、『1965年から2000年の政策金利は平均7%超あった』(イエレン前FRB議長)ものの、最近では『これから先、3%程度で打ち止めにする』案が出てきている(5月29日、日経)と言います。
いずれにせよ「債券という比較的安全な資産に資金を置いておくことの報酬」(=金利)が少なくなってきた(『こちら』)ことから、アセット・アロケーションの配分比に関する考え方が変わってきたという事情があるようです。
アメリカでさえこうした状況になっていることを考えると、「ゼロ~マイナス金利」の国(下図参照)に住む我々日本人はどのようにアセット・アロケーションを考えたらよいのでしょうか。
2000万円の金融資産を持つ人がアセット・アロケーションを考え、2割を日本国債に置くとして、10年物の日本国債の金利は現状0.04%(『こちら』)。
たとえ手数料を勘案しなくとも、
2000万円×2割×0.04%=1,600円
20年置いても1,600円×20年=3万2000円。
こう考えると債券部分のリターンはあまり意味がありません。
メガバンクに定期預金で置くと、金利は0.01%(三菱UFJ)
ネット銀行では取引開始に際してはキャンペーン金利が適用になることがありますが、それも1年まで。
通常はたとえば期間5年で年0.03%がやっと。
いずれにせよ債券や預金から金利をもらうこと自体、あまり意味のない世界に入っていってしまいます。
もちろんそういった環境下であっても、(アセット・アロケーションといった考え方を取るかどうかは別にしても)、
金融資産のうち価格変動に曝される 株式は『一定割合に抑えておく』(他は定期預金だろうと普通預金だろうと、そんなに大差ない)という考え方自体は重要でしょう。
ところで日本の特殊事情はさておき、『長期的には株式のほうが債券よりもずっとリターンが高く、リスクも低い』と主張する(とされている)シーゲル教授はアセット・アロケーションについてどう考えているのでしょうか。
次回は教授が著した名著『株式投資』の視点からアセット・アロケーションについて考えてみましょう。
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