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2018年7月29日 (日)

フェイク・アカウントの駆逐

4-6月期決算に対する期待から、これまで上昇してきた7月の米国株式市場ですが、フェイスブックやツイッターの決算の影響を受けて、一転、下落の方向へ(下図の上段がナスダックの今月の動き、下段はダウ)。

Nasdaq_5

Dow_2

決算がかなり良かったアマゾンでさえ、発表後のアフターマーケットと翌朝の株価は上がりましたが、その後、じりじりと下落(下図は先週1週間のアマゾンの動き)。

Amazon_2

そもそもフェイスブックにせよツイッターにせよ、偽りのアカウントを削除するとか、健全な成長のために妥当なことをしていての減速なのですが、市場全体のセンチメントがcautiousになっていたことも影響しているのかもしれません。

日経新聞7月25日(夕刊)によれば、6月に投信・ETFから221億ドルの資金が純流出。

これは2015年8月以来の流出額なんだとか・・。

これまであまり減ることのなかったパッシブ運用からも37億ドルほど流出。

「高齢化が進む中、投資家の多くが既存の資産を守ることに注力し、新たな株式投資への需要は低水準が続く」

とのコメントを日経は載せていました(これは日本市場に関するコメントではなく、米国市場に関するコメントです。念のため)。

話はそれますが、先日米国から来日したインスタグラマーのAさんとの会話。

(私)『フォロワー数が大事って言うけれど、「40ドルで、あなたのためにフォロワー数5,000人をゲットします」なんていう広告が来るよね』

(A氏)『そういったフェイク・フォロワーは投稿に「いいね」をしてくれません。「いいね」の数を「フォロワー数」で割ると、ある一定の範囲に収まります。この数字が極端に低いインスタグラマーはフォロワー数を金で買っているのかもしれません。こうしたことはインスタグラマーの間では広く知れ渡っている、いわば「常識」です』

フェイク・アカウントの削除を進めるツイッター。

下図は金曜日に発表されたツイターの投資家へのプレゼン資料です。

Twitter_2

100万人もユーザーが減ったとして株価急落につながりましたが、フェイク・ユーザーの駆逐を進めるツイッターの姿勢は評価されてしかるべきだと思います。

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2018年7月21日 (土)

テレビ最終戦争

今週月曜日、ネットフリックスの4~6月期決算が発表されました。

ユーザー増は市場予想を約100万人も下回り、520万人でした。

このため同社の株価は下図の通りかなり下落。

Netflix_3

    (ネットフリックスの今週1週間の株価推移)

メディア関連ではもうひとつ、大きなニュースがありました。

一昨日、コムキャストが21世紀フォックスの娯楽資産買収を断念すると発表したのです。

フォックスを巡る買収合戦は、これでウォルト・ディズニーに軍配が上がることになりました。

このように今週は、世界のメディアビジネスで大きな動きがあった週でした。

そんな中で読んだ本が、大原通郎さんの著作『テレビ最終戦争』

これを読むと、改めて世界の動きの速いことを実感させられます。

たとえば、日本のJリーグ。

いまや J2とJ3の試合はフェイスブックによるライブ配信で楽しむことが出来ます。

つまりメディアの世界で存在感を増しつつあるのは、ネットフリックスだけではありません。

アマゾン、フェイスブック、ツイッター、グーグル、アップル、パフォームなどが、こぞってメディアビジネスに参入してきています。

そして、そのスピード感の凄まじさ。

ネットフリックスのユーザー数(paid subscribers)を見てみましょう。

冒頭で述べたように、増加のペースが市場予想を下回ったと言っても、いまや全世界で125百万人がネットフリックスのユーザーです。

1年前は99百万人でしたから、1年間で26%増加したことになります(『こちら』)。

一方のアマゾン・プライムはどうでしょう。

日本でも、アマゾン・プライムで、映画やアメリカのテレビ番組を観ている人が多いと思いますが、この会員数も全世界で1億人を超えています。

ちなみに米国での料金は、ネットフリックスが月 $10.99(スタンダードプラン)。

対するアマゾン・プライムは月 $12.99 (1年だと割引となり、年 $119)。

つまり両者の料金設定は比較的近いものになっています。

なお、どちらも日本の料金の方が安く設定されていて、ネットフリックスはベーシックプランが月650円、アマゾンプライムは年3,900円。

そう言えば、話は少し横道にそれてしまいますが、今週は、年に1度のアマゾン「プライムデー」が開催された週でもありました。

もっとも売れた商品の1つがアマゾン・エコーなんだとか。

通常11,980円のエコーがこの日だけ 7,980円。

私も思わず買ってしまった1人です。

米国では39百万人がこの種のスマート・スピーカーを所有しているのだとか(『こちら』)。

世帯の単位で見る(『こちら』)と、すでに3世帯に1台の割合で普及していることになります。

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2018年7月14日 (土)

26年前の戦争

26年前の1992年。

あなたは何をしていたでしょうか。

まだ生まれていなかったという人もいるかもしれません。

私は、日本興業銀行という銀行の審査部で5年目の勤務を迎えていました。

そしてその年の6月に営業第三部というところへ異動になりました。

この年、日本経済が謳歌した「バブル」はすでに崩壊のさなかにありました。

23,030円で始まった日経平均は、年が終わる頃には16,924円になりました。

* * *

この年の8月です。

クロアチアのヴラーホ君(写真の少年です)が、戦火に巻き込まれて亡くなりました。

      Photo_2

私が5年前にクロアチアを訪れたときに会ったドゥーロ・オブラドヴィックさん(タクシーの運転手さんです)も、次のように語っていました(『こちら』

「当時私は26歳だった。

セルビア人は内陸にいるだけでは飽きたらず海に出たかったんだ。

それでこの町(ドゥブロヴニク)に攻めてきた。

モンテネグロもドゥブロヴニクに攻撃をしかけてきた。

我々は必死になって戦ったが、1日に3000発もの爆弾を落とされた時もある。

今でも町のあちらこちらに戦火の傷跡が残っている」

* * *

四半世紀前の、そんな記憶を持つクロアチアが今回のワールドカップ決勝を戦います。

ダリッチ監督の「決して諦めないのが我々の国民性だ」という言葉の背景には、こういった国民としての記憶があるのかもしれません。

もちろん四半世紀前の戦争についてコメントすると、例えばセルビアの立場からすると、全然違った見方になるのだと思います。

いずれにせよ時が経つことによって、クロアチア人、ボスニア人、そしてセルビア人の関係が徐々に融和に向かうのを願ってやみません。

『こちら』の記事を読みながら、そんなことを思ったので、思わずブログを書いてしまいました。

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2018年7月12日 (木)

独裁 vs. 市場

一昨日(10日の夜)は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

トピックスは「独裁 vs. 市場」。

    Veritas  

以下はジョージ・ソロスが1998年に著した『グローバル資本主義の危機』の一文(177頁)。

『経済開発には資本の蓄積が必要であり、資本の蓄積には低賃金と高い貯蓄率が必要だ。

これは、選挙民の要望に応える民主政府より、政府の意志を国民に押しつけられる専制政府の方が達成しやすい』

ソロスは、自らを「国境なき政治家」と名乗り、自らが稼ぎ出した資金の大半を、途上国・新興国が「開かれた社会」になるために使ってきています。

そんな彼にとっては、資本主義と民主主義の関係は大きなテーマ。

一昨日の番組では、「独裁的傾向を強める一部の国家にマネーはどう対峙していくのだろうか」といった観点からこの問題に切り込んでいきました。

ところで番組の最後の方で出てくるクラスBのシェア。

マーク・ザッカ―バーグのFacebookの持ち株比率は16%ですが、議決権は60%を持っています。

これは彼の持つクラスB株がクラスA株の10倍の議決権を持つから。

グーグル(アルファベット)はクラスA(通常の株)、クラスB(10倍の議決権)、クラスC(議決権なし)の3種を発行しています。

クラスBを持つのは、ペイジ、ブリンの創業者2人とシュミット前会長のみ。

ラッセル3000社(全米上場企業の98%をカバー)のうち12%がこの種の「議決権の異なる種類株」を発行しています(dual voting-class structure)(『こちら』)。

なお一昨日のテレビ番組は『こちら』でご覧になれます。

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2018年7月 9日 (月)

トゥキディデスの罠(The Thucydides Trap)

「トゥキディデスの罠」とは、アメリカ合衆国の政治学者グレアム・アリソンが作った造語。

トゥキディデスは古代アテナイの歴史家。

アリソンは、約2400年前の覇権国家スパルタと新興のアテネとの間で生じた「対立・戦争」を例に、

『新興の国家(たとえば中国)と従来の覇権国家(たとえば米国)とがぶつかり合う構図』

を論じました。

最近読んだ『ロシアと中国 反米の戦略』(廣瀬陽子著;ちくま新書)は、こうした国際情勢を主としてロシアと中国の動きに焦点をあてながら描き出したものです。

1956年のフルシチョフによる「スターリン批判」に端を発した中ソ対立は、1965年には武力衝突にまで発展。

しかしペレストロイカを経て、1991年にソ連が解体。

1996年にはエリツィン大統領と江沢民が、

戦略的パートナーシップを掲げて共同宣言に調印します。

この共同宣言に基づき、1996年に結成された「上海ファイブ」(中露に加えてカザフスタン、キルギス、タジキスタン)は、2001年にはウズベキスタンを加え、「上海協力機構(SCO)」へと発展していきます。

そして、2017年にはインドとパキスタンがSCOに同時加盟します。

なおSCOは、現在では、面積と人口の双方の尺度において、世界最大の多国間協力組織、地域協力組織となっています。

このように中国とロシアは、一見、両者が協力して国際社会における勢力拡大を図っているようにも見受けられます。

それでは、かつては大きな問題であった「中露の国境問題」は、いったいどうなってしまったのでしょう。

一時は軍事衝突も起きたほどだった「中露の国境問題」ですが、

実は2004年に「中露国境協定」が妥結され、解決を見ています。

中国とロシアの両国は「米国による一極的支配に対抗し、多極的世界」を構築するとの共通目的のもと、2009年には初の「BRICs」を開催。

2011年には南アフリカが「BRICs北京サミット」に招待され、BRICsは、「BRICSに拡大」していきます。

ところで、ロシアのプーチンが強力に推し進めているのは「ユーラシア連合」構想。

この前提をなすのが、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンからなる「ユーラシア経済共同体(EAEC)」です。

なおこれに並行してロシア、ベラルーシ、カザフスタンとの間で「関税同盟」が結成されています(2010年)。

2000年から15年まで機能した「ユーラシア経済共同体(EAEC)」は、2015年には「ユーラシア経済同盟」へと発展。

当初はロシア、ベラルーシ、カザフスタンでしたが、のちにアルメニア、キルギスもこれに参加しました。

一方、中国の習近平が推し進めるのは「一帯一路」の勢力圏構想。

これに加えて「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」を2015年に発足させています。

また2014年にはIMFに反発する形で「新開発銀行(NDB)」をBRICSの5ヵ国で設立。

ところで、ロシアは「新開発銀行(NDB)」の設立メンバーであるのみならず、「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」にも中国、インドに次ぐ第3位の出資比率で参画しています。

このように中国とロシアは、国際社会において、自らの勢力圏拡大を目指して、着々と駒を進めてきていますが、両者の思惑は一致しておらず、舞台裏では、熾烈な主導権争いが闘わされています。

廣瀬陽子氏の『ロシアと中国 反米の戦略』では、その辺を見事に描き出しています。

はたして「トゥキディデスの罠」は必然なのか。

トランプが気にするのは今年秋の中間選挙であり、さらには精々のところ、2年後の2020年の大統領選挙までです。

これに対して、習近平は9年後、2027年までを見据えており、

一方、今年再選されたプーチンの任期は、6年後の2024年までです。

このホライズンの違いが気になるところです。

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2018年7月 7日 (土)

アセット・アロケーションとリバランス (その6)

株と債券の保有割合が、(双方の値動きの結果)当初予定に比して崩れてしまった場合、これを元に戻す、あるいは再検討の上、適当と思われる比率に調整し直すことを「リバランス」と言っています。

ファンドなどが運用する資産は投資家に対して「こういった比率で運用します」と予め開示しています。

たとえばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、

国内債券35%、

国内株式25%、

外国債券15%、

外国株式25%

の比率で運用すると決めています。

よって保有金融資産の価格変動の結果、実際の比率が、この目標比率から大幅に逸脱してしまえば、これをキープする(元の比率に戻す)為の売買(リバランス)が必要になります。

ちなみにGPIFでは、例えば国内債券の保有比率については乖離許容幅を±10%と設定しています。

ですので、国内債券の保有割合は全体の25%~45%の範囲内に収めるようにしています。

それでは個人投資家はこうしたリバランスを行う必要があるのかどうか。

2つの考え方があります。

(1)個人投資家といえども当初設定した比率(たとえば「120マイナス年齢」の割合で株式を持つ)にはそれなりの意味があったはずだ。

つまり、「リターンが下方に振れる確率(=リスク)を少しでも抑え込む」との観点に立ち、なおかつリターンの期待伸長率をさほど犠牲にしないようなポートフォリオバランス(6月16日の記事参照)を当初見出したのであれば、当然のことながら、それをキープすべきである(ゆえに、リバランスを行うべきである)。

(2)2つ目の考え方は、もう少し積極的なものです。

保有ポートフォリオにおいて、例えば株の比率が当初に比して高まったということは、株価が高くなりすぎたということに違いない。

このときに株を売って、より安全な資産の債券に乗り換えておく。

逆に株の比率が低くなりすぎたということであれば、株価が安くなりすぎたということ。

このときは債券を売って安くなった株を買っていく。

こうした観点からのリバランスを行うことは長い時間軸の中で、トータルのリターンを押し上げる。

上記(2)の考え方は平均回帰性(mean reversion)の考え方に沿うものです。

つまり株価は、上がり過ぎれば下がるし、下がり過ぎれば上がる・・。

こうして「平均的なトレンドライン」に回帰していくという考え方です。

ここでのポイントは:

①何をもって「上がり過ぎ」(あるいは下がり過ぎ)と考えるか(→つまり我々に「上がり過ぎ」、「下がり過ぎ」が把握できるのか)、

そして、

②本当に平均への回帰傾向があるのかといった点です。

この問題にアプローチし、画期的研究結果を発表(1998年)したのは、ノーベル賞学者のロバート・シラー(イェール大学教授)とジョン・キャンベル(ハーバード大学教授)です。

『こちら』から両教授の論文全文をダウンロードできます)。

2人は単純なる「株価」ではなくて、

「配当利回り(配当金額÷株価)」

「PER(株価収益率)」

に着目しました。

この論文が発表された後で、とくに注目されるようになったのは、2人が(論文で)使った「price smoothed earnings ratio(滑らかなPER;滑らかな株価収益率)」の概念です。

これは、通常使われているPER、すなわち「株価を1株当たりの予想利益(EPS)で割ったPER」ではなくて、

分母に、「インフレ調整後の1株当たり利益の10年間の平均値」を使うものです。

後に、この値はCAPEレシオと名付けられるようになりました

(CAPEレシオは、Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratioの略で、単純にシラーPERと呼ばれることもあります)。

すなわち

CAPEレシオ(シラーPER) = 現在の株価 ÷ 過去10年間の1株あたり純利益の平均値

で算出されます。

両教授によれば、CAPEレシオには平均回帰性があるとされ、1872年から1997年までの125年間の平均値は15.3

ちなみに1997年の値は28で、「CAPEレシオが28に達したのは(1997年を除けば)125年間で1929年だけだ」として、2人は論文発表当時の米国株高について警鐘を鳴らしました。

ところで、CAPEレシオについては、これを毎日計算してくれる便利なサイトがあります。

『こちら』です。

これによると、現在(2018年7月6日)のCAPEレシオ(シラーPER)は、32.8です。

Per_2

上図は1872年から2018年までのCAPEレシオをプロットしたもの。

これを見ると現在の値(32.8)は、

1929年の大恐慌や2007年から8年のリーマンショック前を上回る値です。

これを見て、「米国株、大丈夫か?」と心配になる方も多いかもしれません。

(当然、米国株が暴落すれば、いかに日銀やGPIFが買い支えようとも、日本株も暴落します)。

このように平均回帰性(mean reversion)CAPEレシオシラーPER)をどう考えるかは、アセットアロケーションやリバランスの枠を超えた大きなテーマです。

実は、ここで結論めいたことを書きたいのですが、簡単ではありません。

平均回帰性(mean reversion)やCAPEレシオ(シラーPER)については、現在の米国でも論争が続いているからです。

長くなってきたので、3点だけ関連する事項を書いておきます。

(1)当然のことながらCAPEレシオに反対する学者もたくさんいます(賛成する学者も同じようにたくさんいます)。

2017年5月、フィラデルフィアで「CFA Institute Annual Conference」が開かれ、シラー教授と(本ブログでも何回か紹介している)ジェレミー・シーゲル教授が論争を展開しました。

論点はCAPEレシオをどう判断するか(賛成か反対か)。

詳しくは『こちら』の記事に載っていますので、関心のある方はご覧になってください。

(2)平均回帰性を考えて運用するには:

米国人のAさんのお勧めは、自分の定年退職予定日(30歳の人はたとえば35年後)を設定するだけで、あとはファンドが適当なリスクポートフォリオを組み、自動的にリバランスしてくれるファンド(『こちら』『こちら』)で運用するというもの。

ちなみにこれらのファンドの「トータルコスト」は、年当たり 0.13%~0.22%。

(3)CAPEレシオを使った投資手法

『科学で勝負の先を読む』という本の289~317頁にCAPEレシオを使った種々の投資手法が紹介されています。

ホットハンド(バスケットボールのシュートの成功率に関する考察が出発点)やモメンタム取引などが出てきますが、ここでは省略させて頂きます(関心ある方は同書をお読みください)。

1点だけ、この本で書かれている一番単純な投資法を紹介します。

1881年から2013年までの132年間のデータに基づけば、この132年間で、

「CAPEレシオが13のときに株を買い、28で売るという投資戦略」を取ったとした場合、

株を持ちきる場合に比して約2倍のリターンを上げていたことになる(下図参照)。

Per_3

しかし著者のパウンドストーンが指摘しているように、「未来は過去とは違う」ので、この手法を使って、「現在のCAPEレシオが32.8だから株を全て売却してしまう」ことが成功につながるとは限りません(要は、シラーを信じるか、シーゲルに従うか、というのが、はっきりとしないという歯切れの悪い結論なのですが、それが現実)。

* * *

最後に、今回の「アセット・アロケーションとリバランス」(その1~6)で述べてきた話は、基本的にはすべて:

(1)効率的市場仮説と

(2)その限界(シラー教授の説は株価はランダムウォークであるとする効率的市場仮説に反するもの)

について、論じてきたものです。

しかし「限界」どころか、株価はそもそも(効率的市場仮説がよって立つ)「正規分布」ではなくて「ベキ分布」であるとする有力な見解もあります。

つまり、これは効率的市場仮説を「根本から否定」する考え方。

これについては、2冊の本を紹介しておきます。

最初の本は 『The [Mis]behavior of Markets』 という原書の邦訳なんですが、何で『禁断の市場』との訳にしたのか、正直、理解に苦しみます。

しかし内容は、ひじょうに読みやすく、一読の価値があります。

2番目の本は、最初の本を読んで、さらに勉強してみたいという人に向いています。

[1]禁断の市場

[2]市場は物理法則で動く

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