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2018年12月31日 (月)

投資家に求められるもの

投資家に求められるもの、それは自分なりに会社のことを研究して、こうなるに違いないと判断したら、他人の言葉や、たんなる印象論に惑わされないことだと思います。

まぁ、言うのは簡単で、実際に実行に移すのは、難しいのですが・・。

2010年5月13日。

私はアップルの株を買い、ブログでそのことを書きました(『こちら』)。

すると、多くの人たち(知人、かつての仕事仲間)から、

『こんなに上がってしまった後で、買うなんて』

とのコメントをもらいました。

実際のところ、アップル株はその後、しばらく低迷。

しかし当時の株価、261.68ドルは、7分割前のものですから、分割調整後のベースでは、37.38ドル。

現在ではそれが156ドルへと、4倍以上になっています。

2016年9月12日。

このときはテレビで、 「IoT時代に岩崎さんが一番注目している(一押しの)銘柄は何か」と聞かれ、その少し前に自分自身で買っていた「NVIDIA」と答えました。

このときのやり取りもブログに残しています(『こちら』『こちら』など)。

当時のNVIDIA株価もすでにかなりの勢いで上がってきた『後』でした。

『ちょっと無謀な発言だったんじゃないか』

テレビを見て、わざわざ電話で忠告してくれる友人もいました。

しかしこの年の1月に発表された自律走行車向けの車載人工知能エンジン「Nvidia Drive PX 2」は、人の脳に近いプロセスを行うニューラールネットワークを用いたディープラーニング(いわゆる深層学習、機械学習)を特徴とし、1秒間に24兆回の演算を可能とするものでした。これは当時のMacbook Pro150台分の演算性能に相当。

ちなみに今では、320 TOPS (tera-operations per second)と、もっとずっと進化しています(『こちら』『こちら』)。

私がテレビで発言した時のNVIDIA株価は 60.75ドル。現在では 133.65ドルと2倍以上になっています。

会社のウェブサイトを頻繁にチェックして、技術の動向を理解する―地味な作業ですが、こうしたことの繰り返しが、会社の持つ本源的価値(intrinsic value)に関する自分なりのconviction (確信)に繋がっていくような気がします。

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2018年12月30日 (日)

トランプのツイート

8時間前にトランプがツイートしました。

『Just had a long and very good call with President Xi of China. Deal is moving along very well.

If made, it will be very comprehensive, covering all subjects, areas and points of dispute.

Big progress being made!』

自画自賛の感もありますが、月曜日のニューヨーク市場はポジティブに反応すると思います。

早速、ロイターやCNBCが

『Trump hails call with China's Xi, says trade talks are making good progress』

と報じていました。

詳しくは『こちら』をどうぞ。

もちろん中国に関する本質的な問題は、おそらくは解決しないのでしょうが・・。

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2018年12月29日 (土)

終わってみれば

昨日で、2018年の株式取引は終了。

今年1年間はどんな年だったのでしょうか。

【ダウ平均株価】

2018年末 23,062.40ドル (注:ダウは日本と違って31日、月曜日にも取引されます。ここでは28日(金)の終値の数字を使っています)

  1年前(2017年末)24,719.22に比べて、▲6.7%

  2年前(2016年末)19,762.60に比べて、+16.7%

  3年前(2015年末)17,603.87 に比べて、+31.0%

* * *

【日経平均株価】

2018年末 20,014.77円

  1年前(2017年末)22,764.94に比べて、▲12.1%

  2年前(2016年末)19,114.37に比べて、+4.7%

  3年前(2015年末)19,033.71に比べて、+5.2%

* * *

今年1年間で、日経もダウも共に下落しましたが、ダウの下落に比べて、日経の下落は、はるかに激しいものでした。

新聞を読んでいると、米国の下落がひどくて、その影響を日本も受けたとの印象を持ってしまいますが、どうやら実態は、

『米国が風邪を引いたら、日本が(肺炎とはいかないまでも)気管支炎になってしまった・・』

ということでしょうか。

* * *

なお今年1年間はダメでしたが、米国で、401Kなどで運用している人たちにとっては、さほどの影響はなさそう。

なにせ、3年前に投資した分は、今年1年の下落を経ても、いまなお3割強のリターンを出しているのですから・・。

やはり投資をする上では、時間分散をはかることが重要であることを知らされます。

詳しくは『こちら』から始まる3回連続の記事をどうぞ。

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2018年12月22日 (土)

大統領がFRB議長を解任?

米ブルームバーグによると、トランプ大統領はパウエルFRB議長の解任を議論しているとのこと(詳しくは『こちら』の記事をご覧ください)。

これに対して、トランプ大統領のアドバイザーたちは、「そんなことをすれば、かえって市場に悪影響、それも甚大なる悪影響を与える」と大統領に忠告。

さらに加えて、「そもそも大統領がFRB議長を解任することが法的に許されるのか」といった問題もあるようです。

ブルームバーグの記事によると、Federal Reserve Act says governors may be “removed for cause by the President.”と書いてあるとのことですが、必ずしもクリアではない様子。

いずれにせよ、大統領の怒りは頂点に達し、これを沈めることが難しくなりつつあることが記事からは窺えます。

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2018年12月20日 (木)

AR(拡張現実)の世界のハリーポッター

いよいよ来年。

ポケモンGOのデベロッパーであるNianticがハリーポッターを出すらしい・・。

AR(拡張現実)の世界のハリーポッター。

ちょっと興味があります。

ゲームの teaser は『こちら』で。

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やっぱり

マーケットの一部には、「もしかしたら」という期待が若干ながらあったのかもしれません。

しかし蓋を開けてみれば、「やっぱりね」という反応。

大統領が何と言おうと、FRBは金利を上げ、マーケットは続落。

昨日1日のダウ平均株価の動き(下図)が、この間の市場の失望感を物語っています。

Dow_2

2日前に、WSJは「無理して金利を上げなくても・・」と次のように社説を書き始めたのですが・・。

『自分の仕事がきついと考えている人は、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のことを思い浮かべるといい。

パウエル氏は何カ月も前から、FRBが今週追加利上げに踏み切ることを示唆してきた。

だが経済・金融面のシグナルは、立ち止まるべきだということを示している。

一方、ドナルド・トランプ米大統領は、ほとんど毎日のようにパウエル氏を攻撃し、利上げを思いとどまらせようとしている・・』

先ほど新しく出た記事(『こちら』)の見出しは、

『Fed Raises Rates, but Signals Slightly Milder Path of Future Increases』

というものでした。

労働市場を見れば、FRBが下した判断も分からないことはないのですが、原油価格は下がっているし、物価に過熱感はありません。

はたして、FRBは正しい判断をしたのかどうか・・。

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2018年12月15日 (土)

ジョンソン&ジョンソン

米国株は続落しましたが、なかでも目を引いたのが、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)。

ロイター通信によると、JNJ社はベビーパウダーにアスベストが混入した事例を把握しておきながら、隠し続けてきたとのこと(詳しくは『こちら』)。

ロイターの報道を受け、JNJ社の株価は10%以上も下落。

なおベビーパウダーへのアスベスト混入は、1971年から2000年代初めにかけて何十年も行われていたとのことで、

全米の消費者は大きなショックを受けているとのことです。

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2018年12月 9日 (日)

イノベーション

ネットでたまたま見つけた先日のモーニングショーの17分間の動画です(『こちら』)。

賛否両論、半々ぐらいかなと思って、お話したのですが、意外にも「納得」という方が多かったように感じました(twitter での視聴者の方々の反応は『こちら』)。

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2018年12月 7日 (金)

日本企業がイノベーションを生み出すには

「100倍になる可能性が10%あるのなら、絶対にその賭けをすべきだ」

ジェフ・べゾスはこのようにアマゾンの年次報告書で株主に対して書きました(『こちら』)。

しかし多くの日本企業では、

「投資額の100倍のリターンが得られるとしても、失敗する確率が90%もあるんだろう」

と捉えてしまいます。

同じプロジェクトでも、見方によって、見え方が違ってくるのです。

もちろん「100倍になる可能性が10%ある」プロジェクトは、

期待値が10倍(100倍×10%=10倍)

ですから、合理的(数学的?)に考えれば、べゾスの言うように、やった方がいいのですが・・・。

日本企業の場合は、どうしてもリスクの方に目が行ってしまいがちです。

Photo_5

昨日のテレビ朝日「モーニングショー:そもそも総研」では、そんな例も挙げながら、

日本企業がイノベーションを生み出すにはどうしたいいかを考えました。

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2018年12月 1日 (土)

ここが分からないー日産ゴーン事件

私は弁護士でもなく、法律問題を語る資格はありません。

しかし過去30年近く、企業のM&A(買収合併)や資本提携・業務提携などに係わってきました。

交渉や調印の現場で多くの弁護士の方たちから専門的意見を徴し、それなりに(耳学問ですが)学んできました。

そんな私の経験からすると、

今回の日産ゴーン事件、腑に落ちない点があります。

多分このブログを読んでいる方の中には、私よりも詳しい方がたくさんおられるのでしょう。

「教えて頂ければ」と思いつつ、納得がいかない点を1点だけ書きます。

まずゴーン被疑者(以下、便宜的に「ゴーン氏」と記します)の逮捕容疑ですが、新聞報道によれば

2014年までの5年間の報酬は約100億円だったのに、有価証券報告書には約50億円と虚偽の記載をしたという「金融商品取引法違反」の容疑。

ここで、2種類の50億円があることに注意しなければなりません。

実際にゴーン氏が役員報酬としてもらった50億円。

これは有価証券報告書にその通り記載されているので、なんら問題はありません。

問題は、100億円ー50億円=50億円の

もうひとつの50億円。

これはゴーン氏が将来日産を退社した後に数年間にわたって受け取ると約束されていた金額の総計。

これが50億円。

この分の50億円を有価証券報告書に記載してなかった容疑で、ゴーン氏は逮捕・拘留されています。

ゴーン氏については検察のリークをマスコミが華々しく書き立てているので、ベイルートやブラジルの別宅などいろいろなスキャンダルが報じられていますが、これらは逮捕容疑ではありません。

問題はただの1点。

ゴーン氏が将来もらうことになっているとされている50億円(未だもらっていない)を「有価証券報告書に記載する必要があったか、なかったか」です。

あったとすれば、有罪、なかったとすれば、無罪です。

この点に対するゴーン氏の主張は、

(1)弁護士でもあるケリー被疑者に事前に相談したが、有価証券報告書への記載は必要ないと言われた。

(2)自分は、将来50億円もらうという「合意文書」にサインさえしていない。

またケリー被疑者の主張は、

(1)事前に外部の弁護士など専門家に相談し、有価証券報告書への記載は必要ないと言われた。

(2)金融庁にも事前に確認し、必要ないと言われた。

というもの。

私が分からないのは、この「合意文書」なるものが、誰と誰が取り交わした合意文書なのかということ。

新聞報道では日産の秘書室幹部がこの文書の作成に関与したとか、ケリー被疑者が署名したとか報じられていますが、「少なくとも取締役会には諮られていない」と言います。

それでは、仮に日産が将来50億円をゴーン氏に支払わなかった場合、かかる文書の存在を理由に、ゴーン氏は日産を相手取って、「50億円を支払え」と訴えを起こすことができるのでしょうか。

訴えを起こしたとして、裁判所がそれを認めるのかどうか。

ゴーン氏が将来の受給を確たるものとするには、この合意文書の取り交わしに関し、日産の取締役会で決議しておく必要があります。

この場合、ゴーン氏は利害関係人になるので、取締役会の議決には参加できません。

つまりゴーン氏を除く取締役会で、斯かる合意文書の取り交わしを決議し、日産の然るべきサイン権者とゴーン氏との間で正式な合意文書を作成しておく必要があると思いますが、如何でしょう。

斯かる手続きを経ない文書の有効性、そしてそれに基づく将来の受け取りの確実性は極めて疑わしいものであり、有価証券報告書に記載する必要はないと思うのですが・・・。

このブログの読者で専門家の方、教えて頂ければ幸いです。

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