米国は大丈夫か
先日ご案内したTOPPOINTの拙著紹介記事。
たった4頁の記事なのですが、エッセンスが凝縮されています。
下記はその紹介記事の半頁強(記事全体の6分の1)を再現したもの。
さすがに上手くまとめられています。
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ダウ平均株価指数への投資を勧めると、必ず出てくる質問がある。
それは、「米国は大丈夫か?」というものだ。
【米国は大丈夫か】
米国が心配な人は、世界の先進23ヶ国の株式に投資する「MSCIワールドの指数」、あるいは日本を除く世界の先進22ヶ国の株式に投資する「MSCIコクサイ」に投資すればよい。
MSCIワールドなどに投資することによって、米国だけでなく世界の先進国株式に投資することができる。
ただし、MSCIワールドの63%は米国株である。
MSCIコクサイに至っては、69%が米国の株式だ。
従って、米国が心配な人が、これらに投資したとしても、結局のところ心配は解消しない。
【米国は中国に負ける?】
米国が心配な人の論調は、大きく分けて2つだ。
1つは、米国の覇権主義は終わり、中国に取って代わられる。
その結果、「米国はかつての英国と同じような道をたどるだろう」というものだ。
19世紀の基軸通貨だった英ポンドが、2度の世界大戦を経て、かなり安くなったように、ドルも1ドル=50円くらいになるかもしれない。
だとしたら、ドルベースで投資しても、結局は円に戻したときの資産は減価してしまうといった論調だ。
だが、既述の通り、ダウ平均銘柄の会社が相手とするのは、米国だけでなく「世界」だ。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の売上に占める北米(米国、カナダ)の割合は45%。
コカ・コーラに至っては、北米比率は30%にすぎない。
加えて、一党独裁の政治体制の中国が、ほんとうに世界の単一覇権国となり、これから数十年間にわたって、その地位を維持し続けることができるのか。
必ずしも盤石と言えないかもしれない。
これから30年後の世界を見てみよう。
日本の人口は1億人を切り始め、総人口の4割が65歳以上になる。
こうした国の通貨が強くなり、1ドル=50円といった時代が来るのかどうか。
今後30年という長期で見通すと、日本の場合、
①上述のような人口動態の推移予測
②現状GDPの236%にまで積み上がった日本の政府債務残高の帰趨
③日銀による異次元緩和の帰趨(出口戦略)
④ 地震リスク
などを勘案せざるを得ない。
つまり、米国リスクよりも、むしろ日本リスクの方が心配だ。
【米国は人口減少社会になる?】
2つ目は、米国への移民の数は減少気味で、米国もやがては高齢化、人口減少社会になる。これまでの成長は期待できないという主張だ。
たしかに米国への移民流入数は、2000年をピークに減少傾向にある。
しかし世界銀行の予測によると、米国の人口は2018年の3億2790万人から、30年後の2048年には3億8520万人へと17.5%増加すると考えられている。
2001年の9・11テロ以降、移民が減少傾向にあるからといって、米国の人口動態変化を心配するのは、やや行き過ぎのような気がする。