« ダイバーシティ | トップページ | 令和に求められる人 »

2019年5月 6日 (月)

首位奪還

今から6年半前。

2012年末の世界企業時価総額ランキングを見ると、マイクロソフトは世界第9位にまで下落していました。

時価総額の金額でみると、首位アップルの半分にも満たなかったのです。

その10年前の2002年には世界1位の時価総額を誇っていたマイクロソフト。

10年の間に起きた大きな時代の変化についていけませんでした。

PCからモバイルへと変化する波に乗り遅れ、クラウドや検索の世界でも競合他社の後塵を拝していました。

ビル・ゲイツの後を継いでCEOの地位にあったスティーブ・バルマー(スタンフォード・ビジネススクール時代の私の1年先輩)は、その約半年後の2013年8月に辞任の意向を表明します。

これを受け、マイクロソフトの取締役会は早速後継のCEO選びに取り掛かります。

そして翌年1月、白羽の矢が当たったのが、本書(『Hit Refresh』)の著者であるサティア・ナデラ氏でした。

世界190ヵ国以上の国々に10万人を超える社員を抱えるマイクロソフト。

彼はこの巨艦を如何にして再生させたのか(マイクロソフトは、現在再び時価総額ランキング世界第1位に返り咲いています)。

ナデラさん自身が本書で書いているように、

「ビジネスリーダーの書く本と言えば、のちに現役時代を振り返って執筆する場合がほとんどであり、ビジネスの渦中にある指揮官が執筆することはあまりない」。

本書の価値は、現役の指揮官が書いた企業再生の物語であると共に、これからのIT時代が(クラウドにせよ、MR(Mixed Reality;複合現実)にせよ、AI(機械学習)にせよ)、どう変化していくのか、我々はどう対応すればいいのかのヒントが積み込まれているところにあると思います。

(追記)本書の中に、私のクラスメート、ダグ・バーガムも出てきます。ダグはグレート・プレインというソフトウェア会社を所有・経営していましたが、この会社がマイクロソフトに買収されたことで、マイクロソフトのSVPに就任。Microsoft Dynamics の新規事業を運営していましたが、これをマイクロソフト社内でダグから引き継いだのがナデラさんでした。

     Dougburgum

     Wikimedia Commons;CC BY-SA 4.0

ダグ・バーガムは現在ノースダコタ州知事です。

|

« ダイバーシティ | トップページ | 令和に求められる人 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ダイバーシティ | トップページ | 令和に求められる人 »