今晩は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。
トピックスは、世界同時減益の足音。
米中による貿易戦争の激化が、企業業績を悪化させていると言われています。
Quick・ファクトセットが、世界で上場する企業の内、2万1000社を調べました。
その結果、4-6月期の最終損益は5%の減益でした。
【1】背景(その1)
米国と中国の覇権争い
かつて米国でベストセラーになった『China 2049』が描き出す世界。
これは中国は100年戦略のもとに、世界の覇権国家になることを目指しているというものですが、
米国としてこれを認めたくない。
中国の野望を阻止するためにも、今のうちに何とかしておきたいー
こういった考えが米中貿易戦争の背後にあります。
【2】背景(その2)
貿易の不均衡
中国から米国への輸出は、5400億ドル。
一方で、米国から中国への輸出は1200億ドルしかない。
つまり中国から米国への輸出を100とすると、米国から中国への輸出は22しかない。
残り78、額にして4200億ドルは米国にとっての対中貿易赤字ということになります。
いくら何でもこれはひど過ぎるから何とかして欲しい、
というのが、米中貿易戦争の背景にあります。
【3】米国企業はどの程度影響を受けるのか
先ほど述べたように、中国から米国への輸出を仮に100とすると、米国から中国への輸出は22しかない。
つまり米国が課す追加関税に対抗して、中国が報復として関税を高めても、米国企業は(中国ほどには)悪影響を受けません。
しかも米国が中国に輸出する1200億ドルのうち、およそ6割が大豆です。
もちろんボーイングなど中国への輸出が多い企業、あるいはアップルなど中国で製品を組み立てて、米国で販売している企業にとっては大きなダメージとはなりますが・・。
【4】問題はむしろ韓国などのアジア企業や欧州・日本企業
この辺は番組の中でも詳しく触れていますが、例えば先ほど挙げた4-6月期の最終損益でみても、世界全体は▲5%の減益(対前年同期比)。
それが、韓国などアジア(除く日本)企業は▲21%の減益。
欧州企業は▲14%減。
日本は▲15%減。
一方、北米は▲1%減でしかありません。
この辺のことも分かったうえで、米国は貿易戦争を中国に対して仕掛けているのでしょうが、
はたしてどのような着地になるのでしょうかー。